理科3年 化学

イオン 電池 酸アルカリ エネルギー

 イオン
 [要点-原子・イオン]
 
・原子核は+の電気を帯びた陽子電気を帯びていない中性子から成り立っている。
 原子核の周りを,-の電気を帯びた電子が飛び回っている。陽子と電子の数は同じである。
・原子が電子の一部を失うと+の電気を帯びた陽イオンになる。
 (例:Na→Na) 逆に,電子をもらうと-の電気を帯びた陰イオンになる。(例:Cl+→Cl)

 
 原子



ドルトンは,物質がそれ以上分割できない小さな粒(原子)から
できていると考えた。

現在では,原子は原子核と電子からできていることがわかっている。
原子核は原子の中心にあり,
+の電気を帯びた陽子と,
電気を帯びていない中性子からできている。

原子核のまわりには-の電気を帯びた電子が運動している。
陽子(+)と電子(-)の個数は同じであり,
原子全体としては電気的に中性になっている。

 原子とイオン
 




原子によって電子の数(=陽子の数)は決まっている。

例えば,上図のように,
水素原子は電子1個と陽子1個をもっている。
また,ヘリウム原子は電子2個と陽子2個をもっている。
(この電子の数(=陽子の数)を原子番号といい,
原子番号1が水素(H),2がヘリウム(He),3がリチウム(Li)・・・と
順番に並んでいる。)

電子はいくつかの軌道上に順番に並ぶ。
一番内側の軌道には最大2個の電子がはいる。

水素はこの軌道に1個,ヘリウムは2個の電子がはいっている。
リチウムは3個の電子をもっているが,
最初の2個は一番内側の軌道に入り,
残りの1個は2番目の軌道にはいる。
2番目の軌道は最大で8個の電子がはいる。

図のように,ナトリウムは陽子11個,電子11個をもっているが,
最初の2個は一番内側の軌道にはいり,
次の8個が2番目の軌道にはいる。
残りの1個は3番目の軌道にはいる。

ここで重要なのは,一番外側の軌道である。
一番外側の軌道が定員に達している場合,
その原子は安定した状態になる。

例えば,ヘリウム(He)は2個が定員の軌道に2個の電子が入っているため,
電子が外に出たり,外から電子がはいってきたりすることはない。

これに対し,ナトリウム(Na)は1番外側に
1個の電子があるだけなので不安定である。

この1個の電子を外部に放出すれば,
定員に達している2番目の軌道が一番外側の軌道になるため安定する。

-の電気をもつ電子1個を放出すると,
ナトリウムは+の電気をもつ11個の陽子(+11)と
-の電気をもつ10個の電子(-10)から構成されることになり,
(+11)+(-10)=+1で,電気的に+1の状態になる。
すなわち,+の電気を帯びた状態になる。

このようにして,電気を帯びた原子をとくにイオンという。
ナトリウムイオンのように+の電気を帯びたものを陽イオンとよぶ。
記号でNa+のように表す。

水素も1個の電子を放出すると安定した状態になるため,
陽イオン(H+)になりやすい。

これに対して,図の塩素の場合は,
一番外側の軌道にある電子は7個と,定員(8個)に近い場合は,
逆に外側から1個の電子を取り込んで安定した状態になりやすい。

1個の電子を取り込んだ場合,陽子が+17,電子が-18で,
全体として-1の電気を帯びる。
このようなイオンを陰イオンとよび,例えば,Cl-のように表す。

食塩(塩化ナトリウムNaCl)の場合,
ナトリウム(Na)は電子1個を放出してNaになり,
塩素(Cl)は電子1個を取り込んでClになるが,
電気の+と-は引き合うので,
NaとClは引き合って結合した状態になる。

 イオンのイオン式
 

 [要点-電離]
 
水にとかしたとき,陽イオンと陰イオンに分かれることを電離といい,
電離する物質を電解質という。

例えば,塩酸は,HCl→H+Cl,水酸化ナトリウムは,NaOH→Na+OH
塩化ナトリウムは,NaCl→Na+Clのように電離する。
水にとかしても電離しない物質(エタノールや砂糖など)を非電解質という。

 電離①
 


例えば,塩化ナトリウム(食塩)(NaCl)は
NaとClが電気的に引き合って結びついているが,
水に溶かすと,結びつきが弱くなって,
NaとClがばらばらに分離する。

このように物質が水に溶けて,
陽イオンと陰イオンに分かれることを電離という。

電離した水溶液中では,
電気を帯びたイオンが移動することによって電流が流れる。
このように水にとかしたとき電離して電流が流れる物質を
電解質という。

よく出題される電解質としては,
・酸(酸はすべて電解質):塩酸(HCl),硫酸(H2SO4)など
・アルカリ(アルカリはすべて電解質):水酸化ナトリウム(NaOH)など
・塩:塩化ナトリウム(食塩)(NaCl),塩化銅(CuCl2)など

水にとかしても電離せず,
電流も流れない物質を非電解質という。
よく出題される非電解質としては,
エタノール,砂糖などがある。

 電離②
 


電解質は,水に溶かすと電離して
陽イオンと陰イオンに分かれる。

電解質はおおまかに,
酸,アルカリ,塩に分けることができる。


酸はすべて電解質である。
酸は水溶液にしたとき電離して、H(水素イオン)が生じる。
このHが酸のさまざまな性質をもたらすのである。

代表的な酸は塩酸と硫酸である。
塩酸(HCl)はH(水素イオン)とCl(塩化物)イオン)に分かれるが,
その電離の様子は,HCl→H+Cl という式(電離式)で表わされる。

硫酸(H2SO4)は電離すると,
2個の水素イオン (2Hと表す)と硫酸イオン(SO42-)に分かれる。
その電離式は,H2SO4→2H+SO42- である。
(SO42-はS(硫黄)原子と4個のO(酸素原子)が
ひとかたまりになったものであるが,
SO42-が1つのイオンとしてはたらく。)


アルカリもすべて電解質である。
アルカリは水溶液にしたとき電離して
OH(水酸化物イオン)が生じる。
このOHがアルカリのさまざまな性質をもたらすのである。
(OHは酸素原子Oと水素原子Hがひとかたまりとなって
-1の電気を帯びたもので1つのイオンとしてはたらく) 

代表的なアルカリは水酸化ナトリウム(NaOH)で,
その電離式は,NaOH→Na+OH である。


塩のあるものは水溶液にすると
+イオンと-イオンに電離する。
塩とは酸とアルカリが中和してできるものである。
 
電解質の塩として覚えておくべきは,
塩化ナトリウム(食塩)(NaCl)と塩化銅(CuCl2)の2つである。
それぞれの原子のイオンは,Na,Cl,Cu2+ なので,
電離式は,それぞれ次のようになる。
NaCl→Na+Cl,CuCl2→Cu2++2Cl

 [要点-塩化銅や塩酸の電気分解]
 
 
塩化銅は水溶液中では,CuCl2→Cu2++2Clのように電離している。
陽極(+)に引きつけられる●は塩化物イオン(Cl)で,陽極で電子1個を放出する。
イオンを失った塩素原子2個が結びついて,塩素分子(Cl2)となり,気体となって発生する。

塩素はプールの消毒薬のようなにおいをもつ気体で,漂白作用もある(赤インキに加えると赤色が消える)。
陽極で放出された電子は図のaの方向に流れ,陰極(-)に移動する。
電流はbの方向に流れる。

陰極(-)に引きつけられる○は銅イオン(Cu2+)で-極から電子2個をもらって銅原子(Cu)となって,電極に付着する。
付着する銅の色は赤色で,こすると金属光沢が現れる。
塩化銅の水溶液はCu2+(銅イオン)が原因で青色をしているが,
電気分解が進むにつれてCu2+が少なくなっていくので,青色はだんだんうすくなっていく
イオンが少なくなるにつれて電流は流れにくくなるが,
このことから,水溶液中を流れている電流の正体はイオンの移動であることがわかる。
 塩酸の電気分解①
 


塩酸を電気分解したとき,
+極と-極でどのような変化が起こるかは,
塩酸の電離式(HCl→H+Cl)から判断できる。

電気の+と-は引き合うので,
Hは-極に引かれてH2(水素)になり,
Clは+極に引かれてCl2 (塩素)になる。

この反応を化学反応式で表すと,
2HCl→H2+Cl2となる。

 塩酸の電気分解②
 
[問題]



上図は塩酸の電気分解のしくみをイオンで説明している。
次の各問いに答えよ。

(1) ○+は陽イオンを表している。
  このイオンをイオン式で表せ。
(2) 陽極でイオンが原子に変化する式をイオン式,
  原子記号と電子記号を使って表せ。
(3) 塩酸の電気分解でしばらく電圧を加え続けると,
  流れる電流の強さが弱くなる。その理由を答えよ。

[解答]
(1) H 
(2) Cl→Cl+ 
(3) 水溶液中のイオンの数が減少するため。

[解説]

 

塩酸(HCl)は電解質なので,
水溶液中ではHCl→H+Clのように電離している。

このうち,Cl(塩化物イオン)は
右側の陽極(+極)にひかれて移動する。

ClはCl(塩素原子)に電子1個がくっついたものであるが,
この電子は+の電極に引かれて電極の中に入り,
陽極(+極)→電源→陰極(-極)と移動する。

電子をうばわれたCl(塩化物イオン)はCl(塩素原子)となり,
さらに,塩素原子2個が結び付いて塩素分子(Cl2)となる。
(2Cl→Cl2) 

陽極で発生するプールの消毒剤のような刺激臭のある黄緑色の気体は,
この塩素(Cl2)である。

これに対し,H(水素イオン)は
左側の陰極(-極)に引かれて移動する。

電極の中の電子1個がH(水素イオン)にひかれてその中に入り,
水素イオンは水素原子になる。
さらに,水素原子2個が結び付いて水素分子(H2)となる。
(2H→H2) 

水素は無色無臭の気体で,
火を近づけるとポンという音を立てて燃える。

実験を続けていくと,
水溶液中のイオン(Cl,H)が減少して,
Cl→(陽極)→電源→(陰極)→Hという
電子の流れる量が少なくなり,
流れる電流の強さが弱くなる。

 塩化銅の電気分解①
 
図のように,塩化銅水溶液に電流を流し、電気分解させた。

 
 

①塩化銅の電離式は(CuCl2→Cu2+2Cl)である。

 陰極(-極)に引かれるのはCu2+(銅イオン)なので,
 陰極では赤色の銅ができて電極に付着する。
 陽極(+極)に引かれるのはCl(塩化物イオン)なので,
 陽極では塩素(Cl2)が発生する。

 塩化銅の電気分解を化学反応式で表すと,
 CuCl2→Cu+Cl2となる。

②塩化銅を電気分解したとき,
 陽極にCl(塩化物イオン)が引かれ,
 塩素(Cl2)が発生する。
 塩素はプールの消毒剤のような刺激臭のある気体であるので,
 においをかぐときは手であおぐようにする。
 塩素には漂白作用もある。

 陰極にはCu2+(銅イオン)が引かれ,
 電極に赤色の銅(Cu)が付着する。
 軽くこすると金属光沢が現れる。

 塩化銅の水溶液はCu2+(銅イオン)が原因で青色をしているが,
 電気分解が進むにつれてCu2が少なくなっていくので,
 青色はだんだんうすくなっていく。

 塩化銅の電気分解②
 
[問題]



ビーカーに塩化銅水溶液を入れて電気分解をしたところ,
一方の電極からは気体が発生し,
もう一方の電極には銅が付着した。

図は電気分解の様子をモデルで表したものである。
次の各問いに答えよ。

(1) 塩化銅が電離している様子をイオンの記号を使って式で表せ。
(2) 図の■,●は何を表しているか。
  次の[  ]からそれぞれ1つずつ選べ。
  [ 塩素イオン 銅イオン 銅原子 塩素原子 水分子 
   塩化銅分子 塩化銅イオン 塩化物イオン ]

[解答]
(1) CuCl2→Cu2++2Cl 
(2)■:銅イオン ●:塩化物イオン

[解説]





上の図1のように電源に電極をつないだとき,
右側の電極のAにある電子は電源の+側に引かれて,
右の電極→電源→左の電極→Bへと移動する
(電気の+と-は引きつけあう)。

その結果,右の電極は+,左の電極は-の電気を帯びる。
しかし,一定量の電子が移動した後は
それ以上電子は流れない。

図2のように,電極を塩化銅水溶液にいれると,
様子は一変する。
塩化銅(CuCl2)は電解質なので,
水溶液中では,CuCl2→Cu2++2Clのように電離している。

このうち,Cl(塩化物イオン)は
右側の陽極(+極)にひかれて移動する。

ClはCl(塩素原子)に電子1個がくっついたものであるが,
この電子は陽極に引かれて電極の中に入り,
陽極(+極)→電源→陰極(-極)と移動する。

電子をうばわれたCl(塩化物イオン)はCl(塩素原子)となり,
さらに,塩素原子2個が結び付いて塩素分子(Cl2)となる。

陽極で発生する刺激臭のある黄緑色の気体は,
この塩素(Cl2)である。

次に,水溶液中のCu2+(銅イオン)は
左側の陰極(-極)に引かれて移動する。

電極の中の電子2個がCu2+(銅イオン)にひかれて
その中に入り,銅イオンは銅になる。
(Cu2+→Cu) 

その結果,陰極には赤色の銅が付着する。
以上の反応を化学反応式で表すと,CuCl2→Cu+Cl2となる。

水溶液中に,Cl(塩化物イオン)とCu2+(銅イオン)が残っている限り,
反応が続き,電子は陽極(+極)→電源→陰極(-極)と流れ続ける。

すなわち,電解質の物質がある限り,電流は流れ続ける。
(電流の流れは電子の流れとは反対方向で表す。) 

やがて,水溶液の中のイオンが少なくなっていくと,
電流は流れにくくなっていき,
塩素の発生量が減少し,
水溶液の青色はうすくなっていく。
(塩化銅水溶液が青色をしているのはCu2+(銅イオン)のためである)。

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 電池
 [要点-電池になるための条件]
 
   

 上左図のように,うすい塩酸に銅板と亜鉛板をいれると,電圧が生じて電流が流れる。
このような装置を電池という。

電池になるための条件の第一は,水溶液が電解質であることである(うすい塩酸,うすい硫酸,レモンの汁,食塩水など)。
エタノールや砂糖水などの非電解質では電流は流れない

条件の第二は,電極に異なる種類の金属を使うことである。
同じ種類の金属では電圧は生じない

 上右図のように,木炭にある食塩水をしめらせたろ紙とアルミニウムはくをまくと木炭電池ができる。
この電池に豆電球をつないで電流を流した後,アルミニウムはくをはがして調べてみると,
アルミニウムはくがとける化学変化をおこしぼろぼろになっている。

このことから,電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換していることがわかる。

 電池になるための条件
 
 

電池になるためには,
まず,2つの電極が異なる種類の金属であることが必要である。

例えばガラスなどの電気を通さない絶縁体は
電極としては使えない。
また,亜鉛と亜鉛のように同じ種類の金属では,
イオン化傾向が同じなので,
電圧の差は生じず,電気は流れない(電子は移動しない)。


 
 [要点-電池の中で起こる変化]
 
 

亜鉛(Zn),銅(Cu),水素(H)のイオン化傾向は,
Zn>H>Cuであるので,Znのみがイオンになろうとして,
Zn→Zn2+ の反応がおこる(は電子)。

亜鉛イオン(Zn2+)は水溶液中に溶け出し,電子は亜鉛板に残る。
電子がたまってくると,亜鉛板は-の電気を帯びて-極になり
その-に反発した電子が,亜鉛板→導線→銅板と移動する。

銅板に移動して来た電子に,水溶液中の水素イオン(H+)が引きつけられ,
銅板の電極から電子を受け取って水素原子になり,
さらに水素原子2個が結合して水素分子(H2)となって,
銅板の電極付近から気体として出てくる(2H→H2)。

イオン化傾向(Na>Mg>Al>Zn>Fe>Cu>Ag)の大きい方の金属が-極に,小さい方が+極になる
ZnとCuではZnが-極に,MgとZnではMgが-極になる。
またイオン化傾向の差が大きいほど電圧が大きくなる
例えば,(MgとCuのときの電圧)>(ZnとCuのときの電圧)となる。

 
 亜鉛板と銅板での変化

 

金属や水素は,電子を放出して
+イオンになろうとする傾向(イオン化傾向)がある。

亜鉛,銅,水素のイオン化傾向は,
(亜鉛)>(水素)>(銅)である。

したがって,図のような装置をつくると,
亜鉛のみがイオンになろうとして,
Zn→Zn2+ の反応がおこる(は電子)。

亜鉛イオン(Zn2+)は水溶液中に溶け出し,
電子は亜鉛板に残る。

電子がたまってくると,
亜鉛板は-の電気を帯びて-極になり,
その-に反発した電子が,
亜鉛板→導線(どうせん)→銅板と移動する。

銅板に移動して来た電子に,
水溶液中の水素イオン(H)が引きつけられ,
銅板の電極から電子を受け取って水素原子になり,
さらに水素原子2個が結合して水素分子(H2)となって,
銅板の電極付近から気体として出てくる
(2H→H2)。

亜鉛板(Zn)が-極なので,銅板(Cu)が+極になる。
電解質の水溶液(うすい塩酸,食塩水など)に
異なる種類の金属をいれると,
イオン化傾向の大きい方の金属が
-極になって電気が流れる。

このように化学変化によって
電気エネルギーを取り出す装置を電池(化学電池)という。

 +極と-極

[問題]



図のようにうすい塩酸に亜鉛板と銅板を入れたとき,電流が流れた。

(1) 電流の流れる向きは電子の流れと同じか,逆か。
(2) 図の装置で,+極になるのは亜鉛板,銅板のどちらか。
(3) 亜鉛板ではどのような変化が起こっているか。
 「亜鉛」「電子」「イオン」ということばを使って説明せよ。

[解答]
(1) 逆 
(2) 銅板 
(3) 亜鉛原子が電子を2個失って亜鉛イオンとなり,
  うすい塩酸の中に溶け出していく。

[解説]



(1)電気の存在が発見された最初の頃,
 導線の中を流れる電気は+の電気を帯びた粒子だと
 考えられていた。
 その後,-の電気を帯びた粒子(電子)が流れることが確認された。
 導線の中を流れるのは-の電気を帯びた電子であるが,
 「電気の流れ」と表すときは,
 あたかも+の粒子が流れているものとして扱うのが慣例になっている。
 そのため,電気の流れは電子の流れとは反対である。

(2)亜鉛板では亜鉛原子が電子を2個失って亜鉛イオンとなり,
 うすい塩酸の中に溶け出していく(Zn→Zn2+)。

 このとき,亜鉛板には-の電気をおびた電子がたまるので,
 亜鉛板は電気的に-になる(-極)。
 -の電気どうしは反発するので,電子は押し出されて,
 導線を通して銅板へ流れる。

 亜鉛板が-極になるので,銅板は+極になる。
 以上より,電子の流れは,亜鉛板(-極)→銅板(+極)となる。

 もし,導線の中を流れる粒子が+の電気を帯びているとしたら,
 +と-は引き合うので,
 電気は,銅板(+極)→亜鉛板(-極)と流れることになる。

 亜鉛板と銅板を使った電池では,
 「銅板が+極,亜鉛板が-極になる」と暗記しておくとよい。

[問題]



図は亜鉛板と銅板を塩酸に入れたようすをモデルで表している。

(1) 図のように,金属と水溶液を使って
  電気エネルギーをとり出す装置を何というか。
(2) 図の亜鉛板では●は電子を放出してイオンとなっている。
  ●2+は何イオンか,名称を答えよ。
(3) 図の銅板では,○+は,電子を受けとって原子となっている。
  ○+は何イオンか,名称を答えよ。
(4) 銅板のまわりでは,たくさんの気泡ができ気体が発生する。
  この気体を化学式で表せ。
(5) 電流の流れる向きは,図のア,イのどちらか,記号で答えよ。
(6) +極は,亜鉛板か銅板か。

[解答]
(1) 電池(化学電池) 
(2) 亜鉛イオン 
(3) 水素イオン 
(4) H2 
(5) ア 
(6) 銅板

[解説]
(1)
 電気を通す水溶液に異なる種類の2つの金属を入れると,
 電圧が生じて電流が流れる。
 このような装置を電池(化学電池)という。

 電池では,化学変化を利用して
 化学エネルギーから電気エネルギーを取り出している。

(5)(6)
 銅板が+極,亜鉛板が-極で,
 電流は+極から-極の方向に流れる。
 電子の流れは,-極→+極である。

 化学→電気エネルギー

図のように,うすい塩酸の中に,
銅板と亜鉛板を入れて電子オルゴールにつないだところ,
オルゴールが鳴った。


 

亜鉛板ではZn→Zn2+ の化学変化がおこり,
銅板付近では,2H→H2 の化学変化が起こっている。

電子が出入りするときには
化学エネルギーの出入りがおこる。

この実験では,反応前の状態(Zn,2H)より
反応後の状態(Zn2+,H2)のほうが
化学エネルギーは少なくなる。

減少した分の化学エネルギーは
電子の移動による電気エネルギーに変換される。

 イオン化傾向と電圧

[問題]



銅板,マグネシウム板,亜鉛板を使って
図のような実験をおこなった。

(1) 次のア~ウのとき,それぞれ+極になるのはどちらか。
金属の名前を書け。
   ア マグネシウム板と亜鉛板
   イ 亜鉛板と銅板
   ウ マグネシウム板と銅板
(2) (1)のア~ウのどの組み合わせのとき
  一番大きな電圧を得られたか。
  ア~ウから記号で選べ。

[解答]
(1) ア 亜鉛 イ 銅 ウ 銅 
(2) ウ

[解説]



(1) うすい塩酸のような電解質に,
  2つの異なる種類の金属をいれると,
  イオン化傾向の大きいほうの金属だけが
  電離して陽イオンになって水溶液中に溶け出し,
  電子が電極に残る。

  電子がたまると,その電極(電極Aとする)は
  -の電気を帯びて-極になり,
  その-に押されて電子
  もう一方の電極(電極Bとする)に移動する。

  「イオン化傾向の大きい方が-極になる」
  と覚えておくと便利である。
  (銅はふつう+極になる)

  アのマグネシウムと亜鉛では,
  マグネシウムのイオン化傾向が大きいので-,
  亜鉛が+になる。

  イの亜鉛と銅では,
  亜鉛のイオン化傾向が大きいので-,
  銅が+になる。

  ウのマグネシウムと銅では,
  マグネシウムのイオン化傾向が大きいので-,
  銅が+になる。

(2) マグネシウム,亜鉛,銅のイオン化傾向は,
  マグネシウム>亜鉛>銅 となる。

  イオン化傾向の差が大きいほど,電圧は大きくなる。
  したがって,マグネシウムと銅の組み合わせが
  もっとも大きな電圧が生じる。

 電池(化学電池)となるための条件
 
電池(化学電池)となるための条件は,
2つの電極が異なる種類の金属で,
水溶液が電気を通すことである。

砂糖水は電気を通さないので,電圧は生じない。
また,銅板2枚を組み合わせたときも,電圧は生じない。

銅はイオン化傾向がもっとも小さい。
電極に使う2つの金属のイオン化傾向の差が大きいほど,
生じる電圧は大きくなる。

 金属と酸の反応
 
[問題]



上図は,亜鉛板と銅板を塩酸に入れた電池のしくみを
モデルで表している。

(1) 亜鉛板でおこる変化を化学式,イオン式,
  電子の記号で表せ。
(2) 銅板でおこる変化を化学式,イオン式,
  電子の記号で表せ。
(3) 電流の流れる向きは図のア,イどちらか。
(4) +極は亜鉛板,銅板のどちらか。
(5) 銅板のかわりに亜鉛板に変えて(両極共に亜鉛板)
  同じ実験をしたところモーターは回転しなかったが,
  亜鉛板から気体が発生して塩酸に溶けていった。
  このときの化学変化を化学反応式で表せ。

[解答]
(1) Zn→Zn2+ 
(2) 2H→H2 
(3) ア 
(4) 銅板 
(5) Zn+2HCl→ZnCl2+H2

[解説]



(5)両極共に亜鉛板にしたとき電圧は生じず,
 電池にはならない。
 しかし,Zn→Zn2+ の反応はおこり,
 亜鉛イオン(Zn2+)は水溶液中に溶け出す。

 亜鉛の電極に残った電子にひかれて,
 水素イオン(H)が移動し,
 亜鉛の電極から電子を受け取って水素原子になり
 (H→H),
 さらに水素原子2個が結合して水素分子(H2)となって,
 亜鉛の電極付近から気体として出てくる。

 亜鉛(Zn)は水素(H)よりイオン化傾向が大きいので,
 水素にかわってイオンになるような反応が起こるのである。

 [要点-身のまわりの電池]
 
 

(一次電池と二次電池)
マンガン乾電池は,くり返し使っていくと,やがて電圧が低下してもとに戻らず,再利用することはできない。
このような電池を一次電池という。
これに対し,自動車のバッテリーとして使われている鉛蓄電池などは,
外部から逆向きの電流を流して充電を行うと,電圧が回復し,くり返し再利用することができる。
このような電池を二次電池という。

(燃料電池)
図1の実験は水の電気分解である。
水に電気エネルギーを加えてやると,2H2O→2H2+O2の反応が起こる。
図2はこの逆の反応(2H2+O2→2H2O)で,
水素と酸素が化学変化を起こすときに発生する電気エネルギーを直接取り出すもので,
燃料電池と呼ばれる。

 木炭電池
 


木炭電池は,備長炭(木炭)に,
こい食塩水でしめらせたろ紙を巻き,
その上からアルミニウムはくを巻いて作る。

備長炭(炭素C)は電気を通すが,イオンにはならない。
アルミニウムが陽イオンになって電子を出す。

すなわち,Al→Al3+ という反応が起こり,
電子が発生する。

電子は導線,オルゴールを通って備長炭(炭素C)へ流れる。
したがって,アルミニウム側が-極になり,
備長炭側イは+極になる。
電池の+側イに電流計の+端子カをつなぐ。

アルミニウムは化学変化(Al→Al3+)をおこし,
そのとき化学エネルギーが電気エネルギーに変換されて電流が流れる。

電流を流したあと,アルミニウムはくを観察すると
化学変化のためにぼろぼろになっている。

実験に使用しなかったアルミニウムはくの方は変化していない。

 一次電池と二次電池
 


マンガン乾電池は,くり返し使っていくと,
やがて電圧が低下してもとに戻らず,
再利用することはできない。

このような電池を一次電池という。
一次電池としては,
マンガン乾電池のほかに,
アルカリ乾電池,酸化銀電池,
リチウム電池,空気電池などがある。

これに対し,
自動車のバッテリーとして使われている鉛蓄電池などは,
外部から逆向きの電流を流して充電を行うと,
電圧が回復し,
くり返し再利用することができる。

このような電池を二次電池という。
二次電池としては,鉛蓄電池のほかに,
リチウムイオン電池,ニッケル水素電池などがある。

 燃料電池
 
[問題]



上の図のような装置で,
水酸化ナトリウム水溶液を加えた水に電流を流すと,
気体AとBが発生した。
しばらくして,
電源をはずして電極に電子オルゴールをつないだ。
次の各問いに答えよ。

(1) 水に電流を流して分解することを何というか。4字で答えよ。
(2) 気体AとBの物質名を答えよ。
(3) 電子オルゴールはどうなるか。
(4) (3)のとき,装置内で起こっている化学変化を化学反応式で答えよ。
(5) (4)の化学変化で発電するような装置を何というか。

[解答]
(1) 電気分解 
(2)A 水素 B 酸素 
(3) しばらく鳴り続ける。 
(4) 2H2+O2→2H2O 
(5) 燃料電池

[解説]



(1) 水に電流を流して分解することを
  水の電気分解という。

(2) -極に水素,+極に酸素が発生する。
  また,その体積比は,(水素):(酸素)=2:1である。
  これらのことから,
  Aが水素で,Bが酸素であることが分かる。

(3) 水の電気分解で蓄えられたエネルギーの分だけ電流が流れ,
  電子オルゴールはしばらく鳴り続ける。

(4) 装置内では,(水素)+(酸素)→(水) の反応がおこり,
  電気エネルギーが取り出される。
  化学反応式で表すと,2H2+O2→2H2Oとなる。

(5) 水素と酸素が結びついて
  水ができるとき発生するエネルギーを
  電気エネルギーとして取り出す装置を
  燃料電池という。

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 酸アルカリ
 [要点-酸,アルカリ]
 
(試薬・pH)
酸は青色リトマスを赤色に変え,BTB溶液を黄色にする。
酸に亜鉛などの金属を入れると水素が発生する。

アルカリは赤色リトマスを青色に変え,BTB溶液を青色にし,
フェノールフタレイン溶液を加えると赤色になる。

純粋な水のpHは7である。
酸のpHは7より小さく,アルカリのpHは7より大きい

(酸・アルカリとイオン)
酸とは,水にとかしたとき電離して水素イオン(H)を生じる化合物である。
例えば,塩酸はHCl→H+Cl,硫酸はH2SO4→2H+SO42-のように電離する。

アルカリとは,水にとかしたとき電離して水酸化物イオン(OH-)を生じる化合物である。
例えば,水酸化ナトリウムはNaOH→Na+OHのように電離する。

(イオンの移動の実験)
下図のAが塩酸の場合,水素イオン(H)が陰極に引かれて左側に移動するため,
BTBが入った寒天の左側の部分が黄色に変わっていく

  
 種類



酸性の水溶液は「~酸」という名がついていることが多い。
塩酸,硫酸,炭酸,酢酸(食酢),レモン水などは酸性である。

塩酸は塩化水素の水溶液で,
炭酸は二酸化炭素の水溶液である。

アルカリ性を示す水溶液は
「水酸化~」という名がついていることが多い。
水酸化ナトリウム水溶液,水酸化バリウム水溶液,
水酸化カリウム水溶液はアルカリ性である。

アンモニア水や石灰水もアルカリ性を示す。

中性の水溶液としては,
塩化ナトリウムの水溶液(食塩水),
エタノールの水溶液などがある。

 酸・アルカリの性質



BTB溶液は,酸性では黄色,中性では緑色,
アルカリ性では青色を示す。

リトマス紙については,酸性では青色リトマスが赤色に,
アルカリ性では赤色リトマスが青色に変化する。

フェノールフタレイン溶液を加えると,
アルカリ性の水溶液のみが赤色に変化する。

酸・アルカリともに電解質なので,電流を通す。

酸にマグネシウムや鉄(スチールウール)をいれると
水素が発生する。
アルカリは一般に金属と反応しない。



 酸・アルカリとイオン

 

「青色リトマスを赤色に変える」,
「亜鉛などの金属をいれると水素が発生する」
など酸に共通の性質は何が原因なのか。

また,そもそも酸とは何なのか。

代表的な酸としては,塩酸(HCl),硫酸(H2SO4),
硝酸(HNO3),炭酸(H2CO3)があるが,
これらの化学式を見てみると,
共通して水素原子(H)が含まれていることに気づくはずである。

酸はすべて電解質で,
水溶液中では,それぞれ次のように電離している。

塩酸:HCl→H+Cl    硫酸:H2SO4→2H+SO42-
硝酸:HNO3→H+NO3 炭酸:H2CO3→2H+CO32-

電離したときに,どの酸でも水素イオン(H)が生じるが,
このHこそ酸の正体なのである。

「青色リトマスを赤色に変える」などの酸の性質は
Hのはたらきによるものである。

そして,
「酸とは,水にとかしたとき電離して水素イオン(H+)を生じる化合物である」
ということができる。

では,アルカリはどうか。
代表的なアルカリとしては,
水酸化ナトリウム(NaOH),アンモニア(NH3)があるが,
水溶液中では,次のように電離している。

水酸化ナトリウム:NaOH→Na+OH
アンモニア:NH3+H2O→NH4+OH

電離したときに,
どのアルカリでもOH(水酸化物イオン)が生じるが,
このOHこそアルカリの性質をもたらすものなのである。

「アルカリとは,水にとかしたとき
電離して水酸化物イオン(OH)を生じる化合物である」
ということができる。

 pH



酸性・アルカリ性の強さを表すのに,pHが用いられる。

純粋な水(中性)のpHは7である。
pHの値が7より小さいとき,その水溶液は酸性で,
数値が小さいほど酸性が強くなる。

pHの値が7より大きいとき,その水溶液はアルカリ性で,
数値が大きいほどアルカリ性が強くなる。

 [要点-中和の実験]
 
   

上図の実験で,最初,塩酸中の水素イオン(H+)のために水溶液は酸性で色は黄色である。
これに水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと,
水酸化ナトリウム中の水酸化物イオン(OH)が水素イオン(H)と結びついて,
H+OH→H2O中和の反応が起こる。
H+が減少して,酸性が弱くなり,やがて水溶液のH+がなくなって,溶液は中性になる。
このときの液の色は緑色である。

この液を蒸発皿に入れて加熱すると白い食塩の結晶が出てくる。
酸の陰イオン(Cl)とアルカリの陽イオン(Na)が結びついてできる食塩(NaCl)のような物質を塩という。

中和した液にさらに水酸化ナトリウム水溶液を加えると,
水酸化物イオン(OH)が増えていくので液はアルカリ性になり,青色になる。
このときの化学反応式は,HCl+NaOH→NaCl+H2Oである。

下図のように,うすい塩酸にマグネシウムを入れると,
塩酸中に水素イオン(H)があるために,水素が発生する。
これに水酸化ナトリウムを加えていくと,中和によってHが減少し水素が発生しなくなっていく

  
 中和-中和とは



水溶液中にH(水素イオン)とOH(水酸化物イオン)があると,
この2つのイオンはすぐに結びつく。

すなわち,
H+OH→H2Oという反応が起こって水ができる。
この反応を中和という。

例えば,塩酸(HCl→H+Cl)の中に
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH→Na+OH)をいれると,
H+OH→H2Oという反応(中和)がおこる。

水溶液中のH(水素イオン)と
OH(水酸化物イオン)がすべて結びつくと,
水溶液中には,HもOHも存在しなくなるため
(正確には,それぞれごく少量存在するのだが),
水溶液は中性を示す。

 塩・中和の化学反応式



塩酸(HCl→H+Cl)の中に
適量の水酸化ナトリウム水溶液(NaOH→Na+OH)をいれると,
H+OH→H2Oという反応(中和)がおこり,
中和後の水溶液中には,
Na+(ナトリウムイオン)とCl(塩化物(えんかぶつ)イオン)が残る。

これを加熱して水分を蒸発させてやると,
NaとClが結び付いてNaCl(塩化ナトリウム)の
白い結晶ができる。

このように,酸の陰イオン(この場合はCl)と
アルカリの陽イオン(この場合はNa+)が結び付いて
できた物質(この場合はNaCl)を一般に塩という。

 中和とBTB溶液の変化



塩酸は酸性なので,
最初BTB溶液を入れると黄色になる。

塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えると,
(塩酸)+(水酸化ナトリウム)→(水)+(塩化ナトリウム)(塩)
という中和がおこる。

加えた水酸化ナトリウム水溶液の量が少ないときは
反応しないで残る塩酸があるため
酸性を示し液の色は黄色である。

やがて塩酸と水酸化ナトリウム水溶液が
過不足なくすべて反応すると,
液は中性になり,その色は緑色に変わる。

中性になった液の中にあるのは
水と塩化ナトリウム(食塩)である。

これを蒸発させると
塩化ナトリウム(食塩)の白色の四角い結晶ができる。

中性になった後,
さらに水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと,
これと反応すべき塩酸は残っていないので,
水酸化ナトリウムが増えて,
液はアルカリ性で青色に変わる。

 マグネシウムを使った中和の実験



酸(塩酸)は水素イオン(H+)があるために,
金属(マグネシウム)と反応して水素が発生する。
(化学反応式は,2HCl+Mg→H2+MgCl2) 

水酸化ナトリウム水溶液を加えていって,
ちょうど液が中性になったとき
水素イオンがなくなるため水素が発生しなくなる。

このとき,BTB溶液を加えると緑色になる。

中和によって中性になった液の中には,
水と塩(塩化ナトリウム)だけが存在する。

これをスライドガラスにとって加熱すると,
水は気体になって空気中に逃げ,
塩化ナトリウムの白い結晶が残る。

 操作上の注意



こまごめピペットは,
少量の液体を必要な量だけとるときに使われる。

液体がゴム球に吸い込まれないようにするため,
安全球がつけられている。

親指と人さし指でゴム球を操作し,
下の3本の指で,ガラス部分をもつ。

親指と人さし指でゴム球をおして,
ピペットの先を液体に入れ,
親指をゆるめて液体を吸い込む。

液をビーカーに出すときは,
親指でゴム球をおして,
必要な量の液体を出す。

 [要点-中和とイオン]
 
 

 塩酸に水酸化ナトリウム水溶液を加えていくときの各イオンの変化を調べる。
まず,HとOHについて考える。塩酸のHイオンは,中和が進むにつれて減少し,
中性になった時点ですべてなくなり,以降は0のままである


少しずつ加えていく水酸化ナトリウム水溶液の中のOHは,
H+が残っている間は,加えるとすぐにH+OH→H2Oの中和がおこるために,
中性になるまでの間は0のままである
中性になった後は,Hがないために,中和がおこらず,そのまま増加していく

次に,ClとNaについて考える。
Clは増えることはなく,また,ほかのイオンと結合することもないため,一定のままである
加える水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)の中のNaはほかのイオンと結合することがないので,
直線的に増加していく

 
 中和とイオン数の変化

[問題]
次の図はA液にB液を加えたときのようすを示している。
A液は塩酸,B液は水酸化ナトリウム水溶液である。





(1) ①~④の水溶液はそれぞれ何性か。
(2) ④の水溶液にフェノールフタレイン溶液を加えると何色になるか。
(3) 塩酸(A液)に水酸化ナトリウム水溶液(B液)を加えていくとき,
  まぜ合わせたビーカーの中のイオンの数はどのように変化するか。
  次のア~エについて,そのようすを表したグラフとして,
  適切なものを上右図のA~Dからそれぞれ選べ。

   ア H+  イ Cl-  ウ Na+  エ OH-

[解答]
(1)① 酸性 ② 酸性 ③ 中性 ④ アルカリ性 
(2) 赤色 
(3)ア B イ C ウ A エ D

[解説]
(1)(2)
 Hがあるとき酸性,OHがあるときアルカリ性になる。
 ①と②はHがあるので酸性である。
 ③はHもOHもないので中性である。
 ④はOHがあるのでアルカリ性である。
  フェノールフタレイン溶液はアルカリ性では赤色になる。

(3)
 まず,HとOHについて考える。
 塩酸のHイオンは,中和が進むにつれて減少し,
 中性になった時点ですべてなくなり,以降は0のままである。
 したがって,BがHを表す。
 少しずつ加えていく水酸化ナトリウム水溶液の中のOHは,
 Hが残っている間は,
 加えるとすぐにH+OH→H2Oの中和がおこるために,
 中性になるまでの間は0のままである。

 中性になった後は,Hがないために,中和がおこらず,
 そのまま増加していく。
 したがって,OHのグラフはDのようになる。

 次に,ClとNaについて考える。
 Cl-は増えることはなく,
 また,ほかのイオンと結合することもないため,
 グラフのCのように一定のままである。

 加える水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)の中のNa
 ほかのイオンと結合することがないので,
 グラフAのように直線的に増加していく。



 中和の計算問題

[問題]
ある濃度の塩酸15cm3に,
ある濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10cm3加えたときに,
過不足なく中和がおこり,混合液は中性になった。

(1) この塩酸15cm3
  この水酸化ナトリウム水溶液を15cm3加えると
  水溶液は何性になるか。
(2) (1)の水溶液を中性にするには,
  塩酸,水酸化ナトリウム水溶液のどちらの液を
  何cm3加えたらよいか。

[解答]
(1) アルカリ性 
(2) 塩酸を7.5cm3加える。

[解説]
(1)水酸化ナトリウム水溶液を10cm3加えたとき
  過不足なく中和がおこり,水溶液は中性になる。
  さらに,水酸化ナトリウム水溶液を加えると,
  水溶液はアルカリ性になる。

(2)「ある濃度の塩酸15cm3に,
  ある濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10cm3加えたときに,
  過不足なく中和がおこり」とあるので,
  過不足なく中和するときの2つの水溶液の体積比は,
  (塩酸):(水酸化ナトリウム水溶液)
  =15:10
  =3:2
  =1.5:1である。

  したがって,水酸化ナトリウム水溶液15cm3
  過不足なく中和する塩酸は,
  15(cm3)×1.5=22.5(cm3)である。

  よって,過不足なく中和させるためには,
  塩酸を,22.5(cm3)-15(cm3)=7.5(cm3)加えればよい。

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 エネルギー
 いろいろなエネルギー-エネルギーの移り変わり

A 光 B 位置 C 運動 D 電気



太陽光発電パネルは,光エネルギー(A)を
電気エネルギー(D)に変換する装置である。

水力発電は,ダムにためられた水を
高いところから低いところへ放流し,
水の勢いで水車とつながった発電機を
回転させて電気を作っている。

このとき,水のもつ位置エネルギー(B)は,
水の運動エネルギー(C)に変わり,
さらに発電機で電気エネルギー(D)に変換される。

このようにして作られた電気エネルギーは,
さまざまな電気器具によって他のエネルギーに変換される。

図の扇風機では運動エネルギーに,
電熱器では熱エネルギーに,
蛍光灯では光エネルギーに変換される。

 熱の伝わり方



湯に金属製のおたまじゃくしを入れると,
湯→おたまじゃくしと熱が直接伝わる。
このように,熱源から直接熱が伝わることを伝導という。

水を入れたなべをあたためると,
あたためられた水はなべの中を移動して熱が伝わる。
このように,液体や気体の状態で,
あたためられた物質が移動して,
全体に熱が伝わることを対流という。

光源(太陽光など)や熱源からはなれていても,
熱くなることがある。
このような熱の伝わり方を放射という。
放射の正体は,肉眼では見えない赤外線という光である。

 エネルギーの保存と損失

エネルギーの移り変わりを調べるため,
手回し発電機で豆電球をつけた。

 

この実験では,手回し発電機で運動エネルギーが
電気エネルギーに変換され,
豆電球で電気エネルギーが光エネルギーに変換される。

すなわち,運動エネルギー→電気エネルギー
→光エネルギーとエネルギーが移り変わっていく。

手回し発電機を回転させるとき摩擦熱が発生し,
摩擦音も生じるので,
加えられた運動エネルギーの一部は
熱エネルギーや音エネルギーに変わってしまう。

また,豆電球は光とともに熱も発生させるので,
送られてきた電気エネルギーの一部は
熱エネルギーに変わってしまう。

したがって,(運動エネルギー)>(電気エネルギー)>
(光エネルギー)と利用できるエネルギーの量は減少していく。

しかし,途中で発生する熱エネルギーや音エネルギーまでふくめれば,
エネルギー全体の量は,
エネルギーの移り変わりの前後で一定に保たれる。
これをエネルギーの保存という。

途中で発生する熱エネルギーや音エネルギーは,
電気エネルギーとはちがって,
つごうよく利用することはできない。

とくに,摩擦で発生する熱エネルギーは伝導して装置全体をあたため,
ついには周囲の空気中に熱として放出されてしまい,
エネルギーとして利用しにくくなる。

 エネルギーの変換効率

下の図の装置で,光電池に光を当て,
プロペラをつけたモーターを回転させた。
Aモーターは音をたてて回転し,熱くなった。



この実験では,
光エネルギー→(光電池)→電気エネルギー→(モーター)→運動エネルギー
と利用できるエネルギーが移り変わっていく。

モーターは電気エネルギーを
運動エネルギーに変える装置であるが,
同時に,熱や音を発生させるので,
電気エネルギーの一部は熱エネルギーや
音エネルギーなど利用しにくいエネルギーに変わってしまう。

初めに投入されたエネルギー量と
変換された利用可能なエネルギー量との比を
エネルギーの変換効率という。

すなわち,

となる。

例えば,最初に与えられた光エネルギーが100Jで,
モーターの運動エネルギーが20Jであれば,
エネルギーの変換効率は,
20(J)÷100(J)×100=20(%)である。

 コージェネレーションシステム



従来の火力発電の場合,発電効率は35%割程度である。
すなわち,石油や石炭のもっている化学エネルギーの
35%だけしか電気エネルギーとして使うことができなかった。

残りの65%のうち,5%は送電・変電のさいに失われ,
60%は熱エネルギーとして排出されていた。

これに対し,近年,
液化天然ガス等の化学エネルギーを使って自家発電するとともに,
そのときに発生する熱を給湯や暖房に利用する
コージェネレーションシステムが注目をあびている。

このシステムによれば,
エネルギーの30%を電気エネルギーとして,
熱エネルギーとして最大50%程度利用することが可能である。

 発電のしくみ-各発電におけるエネルギーの移り変わり
 
[問題]
次の図を見て,各問いに答えよ。
 



(1) 図は,何という発電方法か。漢字4文字で答えよ。
(2) 図の発電方法で使われる石油,石炭,
  天然ガスはまとめて何とよばれているか。
  漢字4文字で答えよ。
(3) 図の①~④にあてはまる語句をそれぞれ漢字で答えよ。

[解答]
(1) 火力発電 
(2) 化石燃料 
(3)① 化学 ② 熱 ③ 運動 ④ 電気

[解説]



①火力発電の燃料は,石油,石炭,
 天然ガスなどの化石燃料である。

 石油などは化学エネルギーをもっているが,
 ボイラー内で燃焼させることで化学エネルギーは
 熱エネルギーに変換され,
 水を加熱して水蒸気に変える。

 発生した水蒸気はタービンを回転させて,
 熱エネルギーは運動エネルギーに変換される。

 さらに,タービンとつながった発電機によって,
 この運動エネルギーは電気エネルギーに変えられる。



②原子力発電の燃料はウランなどの核燃料である。
 原子炉内でウランなどの核燃料を
 核分裂させて熱を発生させる。

 このとき,核エネルギーは熱エネルギーに変換される。
 火力発電と同じように,
 この熱を使って発生させた水蒸気はタービンを回転させ,
 熱エネルギーは運動エネルギーに変換される。

 さらに,タービンとつながった発電機によって,
 この運動エネルギーは電気エネルギーに変えられる。
 
 水力発電は,高い位置にあるダムの水を落下させて,
 水車を回転させ,水車とつながった発電機で電気に変えられる。
 すなわち,
 位置エネルギー→運動エネルギー→電気エネルギーの変換が行われる。

 原子力発電
 
火力発電の燃料となる化石燃料は,
植物が光合成によって太陽の光エネルギーを
化学エネルギーに変えてつくった有機物が
化石化したものである。

化石燃料を燃やして,熱エネルギーを取り出すが,
そのエネルギーは,もとをただせば太陽の光エネルギーである。

水力発電は水の位置エネルギーを利用する発電方式であるが,
その位置エネルギーも太陽の光エネルギーが変換されたものである。

すなわち,海水等が太陽の熱によって暖められて蒸発し,
上空で雲ができて雨が降り,ダムに貯められる。
ダムに貯められた水の位置エネルギーは
太陽の光エネルギーによってもたらされたものである。

原子力発電は核エネルギーがエネルギー源になっており,
太陽の光エネルギーは関係していない。

 各発電方式の特徴と問題点
 
 

①火力発電は,石油,石炭,天然ガスなどの
 化石燃料を燃焼させるが,
 これらの化石燃料は発熱量が大きく
 あつかいやすいという長所がある。

 しかし,温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を
 大量に発生させ,地球温暖化をもたらすという短所がある。

 また,これらの化石燃料の埋蔵量に
 限りがあることも問題である。

②原子力発電の問題点は,核燃料や廃棄物から
 生物に有害な放射線が発生するが,
 その管理が難しいことである。

③水力発電の問題点は,
 大規模なダムを造る場所が少ないことと,
 ダムをつくると自然環境が変わることである。

 放射線の性質
 
A アルファ線 B ベータ線 C ガンマ線

 

放射線にはクルックス管で発生させるX線のように
人工的に作られるものと,自然界に存在するものがあり,
わたしたちは日常的にある程度の放射線をあびて生活している。

放射線は,がんの診断や治療,Ⅹ線撮影,
製紙業や鉄鋼業における厚さや密度の測定などに利用されている。
これは放射線に,物質を透過する性質があるためである。

放射線の種類としては,
・アルファ線(α線):高速なヘリウムの原子核の流れ,+の電気
・ベータ線(β線) :高速な電子の流れ,-の電気
・ガンマ線(γ線),X線:電磁波で光の一種,電気をもたない

 再生可能なエネルギー資源-再生可能なエネルギーの種類
 


化石燃料(石油・石炭・天然ガス)や
原子力発電の燃料であるウランは,
一度使えばなくなってしまう再生不能なエネルギーである。

これに対し,太陽光,風力,水力,潮力,波力,
バイオマス(農林業から出る作物ののこりかすなど)は
太陽のエネルギーによって生み出されるエネルギーで,
何度でもくり返し使うことができる再生可能エネルギーである。

地球内部のエネルギーである地熱も再生可能なエネルギーである。

 再生可能なエネルギーを使った発電
 

 科学技術の発展-情報・通信技術
 
コンピュータはかつて電子計算機とよばれ,
ぼう大な計算をおこなうことが中心であった。

コンピュータの性能が向上したのは,
部品が真空管からICにかわり,
さらに,ICを1つの小さな板の上に作る集積回路(LSI)へと
変化したからである。

容量と処理速度の飛躍的向上によって,
コンピュータは,現在ではもっと広範囲で使用されている。

たとえば,それまでの手書きにかわって
ワープロとして使われたり,
インターネットとよばれる世界的なネットワークの端末として
使われたりしている。

インターネットでは,光通信ケーブルの普及によって瞬時に
大量の情報をやりとりすることが可能になった。

インターネット上では,情報収集やデーターの交換だけでなく
ウェブページを作成して情報を発信することもできるようになった。

その一方で,コンピュータウィルスのまん延,
プライバシーの侵害などの問題も起こっている。

また,近年,携帯電話の進歩はめざましく,
会話の道具としてだけではなく,
手紙のかわりになる電子メールの送受信や,
インターネットに接続したり,
写真や動画を撮影して送信したりすることもできるようになった。

コンピュータなどの発達によって,
高速道路ではETCとよばれる
ノンストップ自動料金支払いシステムが実用化された。

 動力源・交通技術
 
18~19世紀のイギリスで産業革命がおこった。
ワットは蒸気機関の改良を行い,
蒸気船や蒸気機関車が使われるようになった。

その後,交通においても,
ガソリンエンジンなどの内燃機関,
電気を使うモーター,
さらには,航空機のジェットエンジンが使われるようになった。

 ハイブリッド自動車
 
 

ハイブリッド自動車は
ガソリンエンジンと電気モーターを動力としている。

ガソリンエンジンは低速においては力(トルク)が小さいため,
比較的多くの燃料を消費する。

ハイブリッド自動車は,
発進のときは電気モーターを使うことで
エネルギー効率を高めている。

通常走行や高速走行のときはガソリンエンジンを使う。
減速するときは車輪の回転をモーターに伝え,
モーターが発電機になってバッテリーを充電する。

ハイブリッド自動車は,
ふつうの自動車に比べて燃料の消費量が少なく,
したがって,二酸化炭素の排出量も少ない。

 物質資源・新素材
 


科学技術は,新しく優れた特性や機能を持つ物質や
新素材をうみだしてきた。

電気エネルギーを光エネルギーに変える技術としては,
半導体からなり照明や信号機などに利用されている
発光ダイオードや,
有機物でできた発光層を重ねたもので,
ディスプレイなどに使われている有機ELがある。

そのほかには,炭素を原料として作られた繊維で,
軽くてじょうぶなため飛行機のつばさや
テニスラケットなどに使われている炭素繊維,

ある温度で一定の形を記憶させることができる
形状記憶合金がある。

酸化チタンをタイルやガラスの上にうすく塗っておくと,
光の働きでよごれが除去される。
このようなものを光触媒という。

 循環型社会の構築
 
大量廃棄での大きな問題は,ごみ問題である。
ごみの一部は焼却されているが,
この際のダイオキシンの発生が新たな問題になっている。

ごみの減量化のために,製品を回収したり,
再利用したりして新しい製品を作るという
リサイクルが積極的に行われるようになっている。

リサイクルには,
マテリアルリサイクル(素材を加工して物質はそのまま再利用),
ケミカルリサイクル(素材をもとの原料の物質にまでもどして再利用),
サーマルリサイクル(素材を燃焼させて熱を回収)がある。

飲料用ボトルに使用されている
ポリエチレンテレフタラート(PET)については,
資源の有効利用になるマテリアルリサイクルが行われている。

社会に必要なさまざまな天然資源の循環を可能にし,
再利用の割合をより高めた社会を
循環型社会という。 

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