社会3年 公民(経済)

消費・流通 価格・金融 企業・労働 財政 社会保障・公害

 消費・流通
 わたしたちの消費生活-家計の所得



家庭の生活を維持する経済活動の単位を家計という。
家計の収入を所得という。

所得には,
①会社などで働いて得られる賃金などの勤労所得,
②農業や商店を営んで得る事業所得(個人業主所得),
③利子・配当・地代・家賃などの財産所得などがある。

 家計の支出
 

家計においては,収入(所得)をもとに,
さまざまな支出を行って生活を維持していく。

支出のうち,
食料費,被服費,住居費,水道・光熱費,交通・通信費,
教育費,娯楽費などを消費支出という。

収入(所得)から消費支出と,
税金や社会保険料などの義務的な支出を差し引いた残額が貯蓄で,
家計の黒字分である。

貯蓄には,銀行預金のほかに,
個人で契約している生命保険料や損害保険料などが含まれる。

 かしこい消費生活
 


クレジットカードはデパートや専門店と
信販会社が提携してつくった代金後払い制のカードである。

クレジットカードがあれば現金がなくとも
サイン一つで買い物ができるので便利である。

例えば,12万円のパソコンを買いたいが,
給料日まで半月近くもあるため手持ちの現金がない場合でも,
クレジットカードを電気店に提示してパソコンを購入することができる。

電気店は,クレジット会社に代金を請求する。
クレジットカード会社は加盟店への支払いを肩代わりし,
後でカード利用者へ代金を請求する仕組みになっている。

また,クレジットで分割払いを利用すれば,
先にほしい物を手に入れて,後から毎月支払いを行うこともできる。

このようにクレジットカードは,
現金がなくても先にほしい物を手に入れることができる点で
非常に便利であるが,危険性もある。

クレジットも一種の借金である。
返済可能な範囲を超えてしまい,どうにもならなくなってしまうこともある。
最悪の場合は,返済に困ってサラ金などから金を借りることを繰り返し,
しまいには,どうしようもなくなって
自己破産を裁判所に申請するということもある。

クレジットカードを利用するにあたっては,
収入と支出の予算をたて,
返済可能な範囲を超えないように注意することが大切である。

 消費者の権利-消費者主権
 


消費者が自分の意思と判断によって商品を購入すること,
いいかえると消費者が商品のよしあしを自ら判断して
購入を決めることを消費者主権という。

しかし,企業の宣伝や広告につられて商品を購入するなど,
消費者が受け身の立場におかれて,
消費者主権が衰退しているのが現状である。

自立した消費者になるためには,
商品に対する知識や情報を収集し,
判断力を備えた自立した消費者になることが必要である。

 消費者の4つの権利
 


消費者主権を回復するために,
1962年,アメリカのケネディ大統領は
「安全を求める権利」
「知らされる権利」
「意見を反映させる権利」
「選択する権利」
の4つの消費者の権利を明らかにした。

 消費者問題と行政の対応-製造物責任法
 


1995年に施行された製造物責任法(PL法)により,
消費者が商品の欠陥によって,身体や財産に損害を受けたときに,
企業に過失がなくても,企業に被害の救済(損害賠償)の責任を
負わせることができるようになった。

製造物責任法が制定される以前でも,
商品の欠陥によって損害を受けた場合は,
民法709条を根拠に損害賠償を求めて訴訟を起こすことができた。

しかし、実際に企業の製品製造工程のどこに過失があったかを
証明することは困難な場合が多い。

製造物責任法(PL法)は,
たとえ企業に過失がなくても損害賠償の責任を企業に負わせるという点で
画期的であった。

 クーリング・オフ
 




クーリング・オフは,消費者を悪質商法から守るために,
1973年に取り入れられた制度で,
訪問販売や電話勧誘などで商品を購入した場合,
8日以内なら契約の解除ができるという制度である。

消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘されたときなど,
自らの意思がはっきりしないままに
契約の申し込みをしてしまうことがあるため,
消費者が頭を冷やし再考する機会を与えるために
導入された制度である。

一定の期間内(訪問販売や電話勧誘などの場合は8日間,
マルチ商法の場合は20日間)であれば
違約金などの請求を受けることなく,
上図のような書面によって契約の解除ができる。

クーリング・オフの対象となるのは,
訪問販売や電話勧誘販売などのうち政令で指定された商品である。
店舗で購入する場合やインターネットの通信販売などは,
購入の可否について判断するゆとりがあるので,
クーリング・オフの対象にはならない。

 その他の行政の対応
 


2000年に制定された消費者契約法は,
事業者が重要な情報でうそを言ったり,
自宅におしかけて契約するまで帰らなかったりした場合などに,
消費者が契約を取り消すことができることを定めている。

消費者基本法は,
消費者の権利を明確化するとともに企業と行政の責任を定めている。

消費者契約法,消費者基本法、製造物責任法のような
消費者保護のための法律が必要になった背景は,
企業の宣伝につられて商品を購入するなど消費者主権が衰退したことである。

さらに,2009年には,消費者行政を一元化するために消費者庁が新設された。

 悪質商法
 
次のような悪質商法(悪徳商法)がある。
・キャッチセールス:
 →路上で言葉たくみに呼び止めて,化粧品・健康食品などを高額で売りつける。
・マルチ商法:
 →「加入者を増やして売れば大もうけできる。入会しませんか。」として,
   健康食品などを買わせる。ネズミ講に似ている。
・霊感商法:
 →「霊がついている」などとおどかし,つぼや印鑑を売りつける。

 流通-流通のしくみ
 


商品を生産する企業はあちこちに散らばっていて,
生産地と消費地とは離れているのがふつうである。

もし,消費者が生産者から直接に商品を買い入れようとすれば,
どこにどのような商品があるかを調べて,
そのたびごとに各生産者のところに行って
買い付けを行わなければならないが,
それには大変な手間と費用がかかってしまう。

そこで,生産者と消費者を結ぶ商業の役割が重要になってくる。
商品が生産者から消費者に販売されるまでの間の流れを流通といい,
これに携わる仕事を商業という。
商業には,卸売業と小売業がある。

野菜や魚などの生鮮食料品の場合には,
産地から送られてきた野菜や魚は,
青果市場や魚市場でせりにかけられ,
生産者→卸売業者→仲卸業者と取引される。

小売業者は仲卸から買い入れて,
店先に商品を並べ,消費者に販売する。



工業製品の場合は,
生産者(メーカー)→卸売業者→小売業者→消費者と商品が流通する。

スーパーマーケットなどの大規模小売店は,
商品を生産者から直接仕入れて消費者に販売することもある。

 流通の合理化
 


流通のしくみが複雑になると,
人手を経る回数が多くなって
その分よけいな経費がかかり効率が悪くなってしまう。
その結果,小売価格も高くなってしまう。

スーパーマーケットなどの大規模小売店は,
商品を生産者からの直接仕入れによって
流通費用の削減をはかるなど流通の合理化に努めている。

フランチャイズ店やチェーン店では
商品の一括仕入れによって流通費用の削減をはかっている。

流通費用を削減することで,
より安い価格で商品を販売することができるようになり,
その分,売り上げを伸ばすことが期待できる。

近年,インターネットを利用した
オンライン・ショッピングも行われるようになってきた。
インターネットで商品を見た客から直接注文を受けて,
宅配便などで商品を発送するので,流通経路を短縮でき,
その分,流通費用をおさえることができる。

また,一般に在庫は少なくてよいので,
在庫費用を節約できるという利点もある。

 先頭に戻る

 価格・金融
 [要点-価格]
 
(1)
商品が売り買いされる場を市場という。
商品ごとに市場がある。
社会のすみずみまで市場が張りめぐらされている経済を市場経済という。

(2)
 

買おうとする量である需要量は,価格が下がると増加するので,上図のAの曲線で表される。
売ろうとする量である供給量は,価格が上がると増加するので,上図のBの曲線で表される。
この2つが一致するところで決まる価格を均衡価格(上図のイの価格)という。

(3)
市場において,1つのものやサービスを1つの企業が供給している状態を独占といい,少数の大企業が供給している状態を寡占という。
これらの市場を支配する企業が決める価格を独占価格という。
独占の規制を行うために,わが国では独占禁止法にもとづいて,公正取引委員会が監視を行っている。

(4)
電気,ガス,水道,鉄道,バス料金などのように,国や地方公共団体が決定したり認可したりすることによって決められる価格を公共料金という。

 市場価格-市場・需要・供給・市場価格



商品が売り買いされる場を市場という。
商店や市場やデパートなどでもさまざまな商品が売買されるが,
市場というときには,商店などの具体的な施設ではなく,
商品ごとにそれが売買される場を考える。

野菜については野菜市場,
労働力については労働市場,というふうである。

野菜市場・労働市場など,さまざまな市場が
社会のすみずみまではりめぐらされている経済を
市場経済とよぶ。

市場において,価格を見て,
消費者は買おうとする量(需要)を決め,
生産者は売ろうとする量(供給)を決める。

市場における価格(市場価格)は,
需要と供給が一致するように決まる。

 均衡価格

ある商品の価格が安くなれば,
それを買おうとする消費者が増えるので
全体の需要量は増加する。

逆に高くなれば,需要量は減少する。

商品の価格が高くなれば,
生産者は多少無理をして増産を行っても採算がとれるので,
供給量は増加する。

市場での価格を市場価格というが,
需要と供給がちょうど一致したときの価格を
とくに均衡価格という。

 需要・供給曲線

  



需要(買おうとする量)は価格によって変化する。

例えば,上図のように,価格が2万円のときの需要は20万個であるが,
価格が1万円に下がると,
買おうとする人が増え,需要は50万個に増える。

逆に,価格が上昇すると,需要は減少する。

ある商品について,
価格と需要量の関係を表したグラフを需要曲線という。
需要曲線は右下がりの曲線になる。

供給(売り手が売ろうとする量)も価格によって変化する。
例えば,上図のように,価格が5千円のときの供給量は20万個であるが,
価格が1万円に上昇すると,
無理をして増産してコストが高くなっても
十分に採算がとれるので供給量は増加する。
したがって,供給曲線は右上がりになる。

 野菜などの市場価格の変動



野菜や果実など,収穫の季節が決まっており
長期保存がしにくいものは,価格によって供給量が変化しにくい。
そのため,上図のように供給曲線は垂直に近くなる。

キュウリは夏野菜なので,5月から7月にかけて入荷量(供給)が増える。
例えば,7月の供給曲線は上図のようになり,
供給量が多いため,価格は1kgあたり160円近くにまで下落する。

10月になると,季節外れになるため,
供給量が減少し,供給曲線は左側に移動し,
その結果価格は1kgあたり500円まで上昇する。

すなわち,入荷量が多いときは価格は下がり,
少ないときは価格は上がる。

 独占価格と公共料金-独占価格



市場において,1つのものやサービスを
1つの企業が供給している状態を独占という。

また,少数の企業が供給している状態を寡占といい,
これら少数の企業が協定を結んで,
製品の価格を一定以上の水準に維持することをカルテルという。

これらの市場を支配する企業が決める価格を独占価格という。
独占価格は,自由競争のもとで
需要と供給の関係によって決まる市場価格にくらべて
高く設定される傾向があるため,
消費者が不利益をこうむり,
経済全体の効率という点でもマイナスになる。

これに対して,わが国では独占禁止法にもとづいて,
公正取引委員会が監視を行っている。

 公共料金
 


電気,ガス,水道,鉄道,バス,郵便などの事業は,
初期の設備費用が非常に大きいため,
ある地域に1社またはごく少数の企業しか存続できない。
したがって,ほっておけば独占価格になってしまう。

しかし,電気,ガス,水道,鉄道,バス,郵便などは,
国民生活に大きな影響をあたえるので,
こうした料金・運賃の決定は,
国や地方公共団体の認可や決定が必要とされている。

このような価格を公共料金という。
公共料金は,次のように分類できる。
・国が決定するもの:
 →社会保険診療報酬,介護報酬
・国が認可するもの:
 →電気料金,ガス料金,鉄道運賃,バス運賃,高速自動車料金
・地方公共団体が決定するもの:
 →水道料金,公立学校授業料

 [要点-金融と貨幣]
 
(1)
資金の貸し借りを金融という。
このうち,企業などが株式や債券を発行することで出資者から資金を借りることを直接金融といい,銀行などを通して資金を集めることを間接金融という。
銀行,証券会社,保険会社などを金融機関という。

(2)
元金に対する利子の比率を金利(利子率)という。
銀行の貸しつけの金利は預金の金利より高く,銀行はその差額で収入を得ている。

(3)
各国の中央銀行は,通貨価値の安定のためあらゆる取り引きの決済が円滑に行われるようにするために,経済全体に流通するお金の総額を管理するが,この制度を管理通貨制度という。

日本の中央銀行である日本銀行は,
発券銀行(紙幣を発行),
政府の銀行(政府の資金の出し入れを行う),
銀行の銀行(一般の銀行を相手に資金の貸し借りを行う)の3つの役割を持っている。

(4)
紙幣や硬貨などを現金通貨というのに対し,銀行預金を預金通貨という。
このうち,通貨の大半をしめるのは預金通貨である。

 金融-金融機関
 


サラリーマンが家を建てるとき,お金を借りるのが普通である。
企業が設備投資をするときも資金を借りたりする。

お金を借りるには,もちろんお金を貸す人がいなくてはならない。
現に,世の中にはお金が不足している人もいれば,
反対に余っている人もいる。

お金に余裕のある人が,
お金を寝かせておくよりも
他人に貸したほうが有利だと考えれば,
その人は余ったお金を貸そうとするだろう。
こうしてお金の貸し借りが成立することになる。

資金が不足している人と資金に余裕のある人との間で行われる
資金の貸し借りは,金融とよばれる。

貸し借りは,貸し手と借り手が直接に行う場合もあるが,
ふつうは,銀行などの金融機関を仲立ちとして行われる。

金融機関としては,
銀行のほかに保険会社や証券会社などがある。

保険会社(生命保険・損害保険)は加入者から保険料を集め,
集めたお金を運用している。
証券会社は株式などの売り買いの手助けをして
手数料収入を得ている。

 利子



銀行の貸し出し利子は預金の利子より高く,
銀行はその差額で利益を得ている。

現在は超低金利の時代であり,
銀行へ預金したときの金利は非常に低い。
普通預金の場合の金利は0.04%~0.08%で,
100万円を1年間預けたときの利子はわずか400~800円である。
定期預金の金利は,例えば3年定期で0.1%~1.0%程度である。

これに対し,例えば住宅を新築するときに
資金を銀行などから借りるときの金利は
1~2%(変動金利の場合)である。

 貨幣・日本銀行-貨幣の3つの役割



貨幣には,
価値の尺度,交換の手段,価値の保存という3つの役割がある。

貨幣のはたしている重要な役割を理解するためには,
貨幣がなく物々交換だけで
生活に必要なものを手に入れる場合を想像すればよい。

漁師のAさんがいたとする。
魚だけを食べるわけにはいかないので,
米や野菜を手に入れる必要がある。
Aさんは農業を営むBさんの所へ行って,
魚と米・野菜を交換しなければならない。
生活に必要なすべてのものを,
物々交換で手に入れるのは大変な労力である。

また,例えば,魚と米の交換比率をどうするのか,
いちいち交渉するのも手間がかかる。

貨幣があれば,この2つの問題はいっぺんで解決される。
とれた魚を市場の仲買人に売って現金にかえておけば,
その現金で必要なものを買うことができる。
貨幣は「交換の手段」としての役割をはたしている。

また,ものの値段は市場における需要と供給の関係で決まるので,
交換比率をいちいち交渉する必要もない。
このように,貨幣は「価値の尺度」にもなる。

さらに,貨幣は「価値の保存」という重要な役割をもっている。
貨幣がない場合,
漁師のAさんは,将来のための貯蓄をすることは困難である。
いくら大漁であったとしても,
魚を長期間保存しておくことはできないからである。

 管理通貨制度



昔は交換の道具として,貝がらや稲穂や毛皮などが使われたことがある。
その後,金・銀・銅などの金属が使用され,
なかでも金は貨幣として認められるようになった。

紙幣はもともとは金の預かり証であった。
銀行に金1ポンドを預けると「1ポンド」と書かれた預かり証を受け取る。
この預かり証はいつでも金にかえることができるので,
誰もが代金としてこの預かり証を受け取るようになる。
これが紙幣の起源である。

やがて中央銀行ができると,
中央銀行は受け入れた金をもとに,
金との交換を約束した紙幣を発行するようになった。
このような制度を金本位制という。
また,金と交換できる紙幣をだ換紙幣という。
日本でも1897年から1931年まで金本位制をとっていた。

しかし,金本位制の下では,
発行できる紙幣の量は中央銀行が保有する金の量に制約されるため,
必要に応じて通貨量を増やすことができない。
また,金が不足したこともあって,金本位制を維持することは困難になった。

現在では,各国とも,中央銀行の発行する紙幣は,
金とは交換できない不換紙幣である。

紙幣の発行量は中央銀行が管理するようになった。
これを管理通貨制度という。

現在の日本の貨幣には,
日本銀行が発行する紙幣と政府が発行する補助貨幣(硬貨)がある。

 日本銀行の3つの役割



管理通貨制度の責任をもつ特別な銀行を中央銀行とよぶ。
日本の中央銀行は日本銀行で,
発券銀行,政府の銀行,銀行の銀行という3つの役割を果たしている。
・発券銀行:
 →日本銀行券(千円札,二千円札,五千円札,一万円札)とよばれる紙幣を発行する。
  硬貨(一円玉~五百円玉)は政府が発行する。
・政府の銀行:
 →政府のお金を出し入れする。
  政府は,徴収した税金を国庫金として日本銀行に預金する。
  政府の支払いは,すべて日本銀行を通して行われる。
・銀行の銀行:
 →銀行にのみ資金を貸し出す。
  個人や一般の企業への貸し出しは行わない。

 為替相場



外国の通貨で取り引きする際には,
それぞれの国の通貨に交換しなければならない。

この交換の比率は為替相場における需要と供給の関係で決められ,
比率は日々変化している。
これを変動相場制という。
(1971年までは為替相場は固定相場制であった。
その当時のレートは1ドルが360円と固定されていた。)

1ドル=150円が1ドル=100円になると,
それまで150円していたアメリカ製の商品が100円で買えることになる。
これは円の貨幣価値が上がったことを意味する。

1ドル=○○円の○○の数字が小さくなれば,
円の価値が上がることになるが,これを円高という。
円高になれば,アメリカの商品が割安になるので,
アメリカからの輸入が増え,
日本からの輸出は減少することになる。

逆に,1ドル=○○円という数字が大きくなれば,
円の価値が下がる円安になり,
アメリカからの輸入が減少し,
日本からの輸出は増加することになる。

 先頭に戻る


 企業・労働
 [要点-企業]
 
(1)
企業が資本という元手を使って生産活動を行うのが資本主義経済である。
多くの企業は,利潤を目的にした私企業であるが,地方公営企業など利潤を目的にしない公企業もある。
私企業は,さらに,農家や個人商店などの個人企業と,会社の形式をとる法人企業とに分けられる。

(2)
法人企業のなかでも代表的なものが株式会社である。
企業を営むには多額の資金が必要だが,株式会社ではこれを多数の株式に分けて集めている。
資金を出した者は株主とよばれ,その出資額に応じて配当を受け取り,また株主総会に出席する権利を持つ。
株主は出資額の範囲で責任を負う。
株式は証券取引所で売買され,企業の業績などによって株価が上がったり,下がったりする。

(3)
日本の企業数の99%は中小企業である。
中小企業の中には,独自の技術などをもとに新たな事業を起こすベンチャー企業もある。
大企業の中には,海外に現地籍の会社を持ち,世界的規模で活動する多国籍企業もある。
今日の企業は,利潤を追求するだけでなく,人々の生活を向上させる活動をすることも求められている。
これを企業の社会的責任という。

 資本主義経済と企業-資本主義経済



わたしたちの経済は,資本主義経済とよばれている。

資本主義経済とは,企業が資本を使って,
利潤を得ることを目的として,
生産活動を行う経済の仕組みのことである。

 私企業と公企業



企業は大きく分けて,私企業と公企業に分類される。

私企業は利潤を得ることを目的としている。
私企業はさらに,法人企業と個人企業に分かれる。
法人企業の中で代表的なものが株式会社である。
個人企業には,農家や個人商店などがある。

公企業は利潤を目的としていない。
公企業には次のようなものがある。
・国営企業:国有林野
・地方公営企業:水道,ガス,バスなど
・その他:特殊法人(NHK),独立行政法人

 株式会社-株式の発行



町工場を経営するAさんがいるとする。
画期的な技術を発明し特許も取得したAさんは,
その製品化を行うことにした。

しかし,製品化には新規に機械などを購入しなければならず,
数千万円の資金が必要になった。
最初Aさんは,親戚や銀行から借金をして資金を作ろうとしたが,
それだけでは不十分なことがわかった。

そこで,Aさんはそれまでの個人経営をあらため,
株式会社とすることにした。
親戚や友人,さらには,これまでの取引先や投資会社に
株主になってもらい,株式を発行して出資金を集めることができた。

こうして,Aさんは資本金8000万円の株式会社を設立した。
新製品は大当たりをし,売り上げも以前の数十倍の規模になった。
そこで,Aさんは新たに土地を購入して新工場を建設することを計画した。

しかし,ここでも,莫大な資金をどうやって集めるかが問題になった。
そこで,証券取引所に上場して株式を公開することにした。
株式を公開すれば,一般の多くの人から資金を集めることが
可能になるからである。

 株主の権利



上場している株式会社の株式を購入することで
株主になることができる。

株主になって株式を保有する1つのメリットは,
配当を受け取ることができることである。
各企業は,期ごとに利益の一部を配当として株主に配分する。

しかし,配当は最初から保障されたものではなく,
その企業が赤字になれば,配当が0になることもある。
また,株価が下落すれば,保有する株式の価値が下落することもある。
さらに,その企業が倒産すれば株の価値は0になってしまう。

配当を受け取ること以外の株主の権利としては,
株主総会に出席する権利があげられる。
株主総会では,取締役の選出,監査役の選出,
経営方針などの重要事項の決定などをおこなう。
株主総会の議決は多数決制で,
1株につき1票の議決権をもつ。
したがって,大株主ほど発言力が強くなる。

 株式相場

例えば,A社が新発売した製品が爆発的に売れて
大幅な黒字になった場合,
1株あたりの配当も増えることが予想される。

すると,株式市場においてA社の株を売ろうとする人よりも
買おうとする人が多くなり,その結果A社の株価は上昇する。

また,逆にB社の製品に欠陥が見つかり,
社会的信用が落ちた場合,
売り上げの減少によって,
赤字に転落し配当が0円になることもある。
このようなとき,B社の株を買おうという人よりも
売ろうとする人が多くなり,
株価は下落する。

 現代日本の企業-大企業と中小企業の割合
 
 

資本金や従業者数などによって,
企業は大企業と中小企業に分類される。

日本では,中小企業の占める割合が高い。
出荷額(製造業)では約2分の1であるが,
従業者数では4分の3,
事業所数では約99%を中小企業がしめる。

かつては大企業と中小企業との賃金格差(二重構造)が問題であったが,
この格差は高度経済成長期の人手不足によってある程度解消された。

しかし,経済のグローバル化が進展した現在,
賃金や労働時間の格差がふたたび拡大している。

中小企業でも自社の持つ高い技術を生かし,
可能性を求めて事業をおこすベンチャー企業もある。

 [要点-世界の中の日本経済]
 
(1)
各国が有利な条件で生産できる商品の生産に力を入れ,たがいに得意な商品を輸出し,不得意な商品を輸入することを国際分業という。
他国との間で,関税など自由な輸出入のさまたげとなる仕組みをできるだけ減らし,貿易を活性化しようとすることを貿易の自由化という。

(2)
外国と貿易を行うときなどには,通貨どうしを交換することが必要になるが,通貨間の交換比率を為替相場という。
1ドル110円が100円になることを円高(円の価値が上がる)といい,輸出は減り,輸入は増える
逆に,1ドル110円が120円になることを円安(円の価値が下がる)といい,輸出は増え,輸入は減る

(3)
日本は戦後,原材料を輸入して工業製品を輸出する加工貿易で貿易黒字を続けて来た。
しかし,2008年に起こった世界金融危機以降の円高などによって,日本企業は,工場の海外移転を行い,これによって産業の空洞化が進んだ。
この背景には,経済のグローバル化の進展で,多国籍企業の海外展開が加速していることがあげられる。

 グローバル化の中の日本企業
 


グローバル化が進むにつれて,
企業間の国際競争は激しさを増している。

海外の安い労働力と広大な市場を求めて
工場の海外移転を行う企業が増え,
産業の空洞化という問題が起こっている。

また,世界各地に現地籍の企業をつくって活動する
多国籍企業も増えている。

 企業の社会的責任
 
企業は社会に対して大きな影響をおよぼす。
公害は企業活動が地域社会にあたえる負の側面であるが,
教育,文化,環境保全などにおいて
積極的に社会貢献を行っている企業もある。

現代の企業は,利潤のための生産活動だけでなく,
人々の生活を向上させるための社会的責任を負っている。


 [要点-労働者と権利]
 
(1)
①1日8時間労働など,労働時間・賃金などの労働条件の最低基準を定めた労働基準法
②団結権,団体交渉権,団体行動権の労働三権を定めた労働組合法
③労働争議の予防や早期解決を図るために定められた労働関係調整法
以上の3つをまとめて労働三法という。

(2)
長時間勤務によって仕事が過密になり,過労が原因の過労死は大きな社会問題になっている。
労働時間を減らし,仕事と生活が調和したワーク・ライフ・バランスを実現することが課題になっている。

(3)
近年,日本の労働者を取りまく環境は大きく変化した。
年功序列賃金から能力主義・成果主義を採用する企業が増えた。
また,定年まで働く終身雇用にかわり,人件費の安いパートタイマー派遣労働者などの非正規労働者を雇う企業が増えた。

非正規労働者は労働者全体の約4割にも達している。
非正規労働者は雇用調整の対象になりやすい。
生活保護職業訓練などのセーフティネットを整備することも必要である。

 労働-労働者の権利
 
資本主義経済では,労働力も商品として売買され,
労働者は企業に労働力を売り,賃金を手に入れる。

資本主義が成立した初期のころは,
労働者は使用者に対して弱く不安定な立場に置かれていた。
「売り上げが減ったので,来月から給料は半分にする。」
と言われたら,これに対抗することができなかった。
文句を言えば,解雇されるからである。

そこで,労働者が団結して使用者と交渉しようという動きが出てきたが,
資本主義の初期のころは,
こうした労働組合を結成することそのものが違法とされることがあった。

第一次世界大戦後,
ドイツではワイマール憲法が制定されて社会権が定められ,
労働者の権利が認められた。

日本国憲法も,
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,
これを保障する」(28条)と労働基本権を認めている。


 労働三法
 


労働者の権利を守るために,
①労働基準法(労働条件の最低基準を定めている),
②労働組合法(団結権・団体交渉権・団体行動権,
      不当労働行為の禁止を定めている),
③労働関係調整法(争議の予防とその解決について定めている)
の労働三法が定められている。

 労働基準法



労働基準法では,使用者は労働者に1日あたり8時間,
1週間では40時間を超えて労働させてはならないとされている。

また,労働者に対して,
①毎週少なくとも1日の休日が与えなければならないと規定している。
②6か月間継続勤務し,8割以上出勤した労働者に対して
③10労働日の有給休暇を与えなければならないとしている。

賃金については,
女性であることを理由として賃金の差別をしてはならないという
男女同一賃金を定め,さらに,最低賃金法の定める最低賃金を
下回ってはならないとしている。

また,年少者を保護するため,
満15歳にならない子どもを使ってはならないこと,
満18歳にならない労働者を
深夜の労働や危険な作業に使ってはならないと定めている。

 過労死など



近年,年間労働時間はしだいに短くなり,
週休2日制を採用する企業も増えているが,
残業時間は依然として多く,
欧米諸国と比べたときの,
日本の就業者1人あたりの労働時間が長いのが現状である。

長時間勤務によって仕事が過密になり,
過労が原因の過労死は大きな社会問題になっている。

労働時間を削減し,仕事と生活が調和した
ワーク・ライフ・バランスをめざしていかなければならない。


 労働のあり方の変化-終身雇用の変化



かつて,日本の企業では,
定年までの雇用を保障する終身雇用や勤続年数が長くなるにつれて
賃金が上がる年功賃金の制度をとってきた。

終身雇用と年功賃金は,
将来の収入の見通しをもつことができるので,
働く人に安心感を与え,
企業に対する忠誠心をはぐくんだ。

しかし,1990年代にバブル経済が崩壊し,
長期の不況を乗り越えるために
企業はリストラなどの合理化をすすめた。

こうしたなかで,終身雇用と年功賃金がゆらぎはじめた。
年齢や働いた年数に関係なく
仕事の能力や成果などに応じて賃金が決定される制度を
採用する企業が増えていった。

 非正規労働者の増加



バブル経済崩壊後の長期にわたる不況の中で,
企業は生き残りを図るために,
中高年社員の希望退職を募るなどリストラをすすめたり,
新規の採用をおさえたりして,正社員の削減を行った。

そのかわりに,賃金が低いパート・アルバイト・
派遣労働者・契約労働者などの非正規労働者を増やしていった。

企業にとっては,非正規労働者の人件費は正社員の半分以下であり,
かつ,短期雇用であるので,
好況のときは人員を増やし,
不況のときは人員を減らすことができるというメリットがある。

しかし,非正規労働者にとっては,
低賃金でしかも不安定な立場に置かれるという問題がある。
2008年の世界金融危機の際には,
派遣・契約労働者が雇用を打ち切られて失業し,
社会問題になった。

非正規労働者の正規労働者化をはかるとともに,
雇用保険や就職相談,
職業訓練などのセーフティネットを整備することが必要である。

 先頭に戻る


 財政
 [要点-財政]
 
(1)
の経済活動を財政という。
国の1年間の収入を歳入,支出を歳出という。
政府は,1年間の収入や支出の計画である予算を作成し,国会が審議・議決する。
国の歳入の4割以上をしめるのは,国の借金である公債金である。

(税収の不足を補うために発行されるのが公債で,国の公債は国債,地方公共団体の公債は地方債である。) 
租税収入では,消費税所得税法人税が多い。
歳出では,社会保障関係費国債費が多い。

(2)
税金には,国税地方税がある。
税の負担者と納入者が同じ税を直接税,税の負担者と納入者が違う税を間接税という。
所得が多くなるにつれて税率も高くなる課税の方法を累進課税という。

(3)
政府は,道路,港湾,学校などの社会資本を供給し,教育や医療などの公共サービスを提供する。
また,累進課税や社会保障,雇用対策を行うことで所得の再分配を行っている。
さらに,財政政策によって景気を安定させる働きを行っている。

(4)
政府・家計・企業の間でお金・もの・サービスが交換されていく経済のしくみを国民経済という。

 財政-財政とは



政府のおこなう経済活動を財政という。
国の1年間の収入を歳入,支出を歳出という。

歳入の中心は税金(租税)であるが,
最近は借金である国債の割合が異常に高くなっている。

税金等で集めた資金を使って,
政府は,公共サービスを提供したり,
社会資本を充実させたりする。

国は毎年12月までに1年間の歳入と歳出の計画を立てて
予算を作成し,翌年の1月の通常国会に予算案を提出する。

国会で審議されて承認された後,
4月からの新年度から予算が実行される。

 財政の3つのはたらき



財政には,
1)社会資本や公共サービスの提供,
2)所得の再分配,
3)景気変動の調整
という3つのはたらきがある。

まず1)の社会資本や公共サービスの提供について説明しよう。
本来,経済活動は市場原理に任せることが原則である。
しかし,もし政府の経済活動がまったくなければどうなるだろうか。

道路を例にとって説明しよう。
一般の道路の場合,通行料を徴収することは現実的には無理である。
したがって,民間企業が資本を投下して道路の整備を行い,
それをもとに収益をあげるなどということは不可能である。

道路が整備されなければ,いくら立派な工場を建設しても,
原料や製品を輸送することができない。
マイカーを買っても,走る道がなければ,何の役にも立たない。
道路,港湾,空港,上下水道,図書館,学校,公園などのように,
特定の人でなく社会のすべての人が利用することのできる施設・設備を
社会資本というが,社会資本の整備は,政府や地方公共団体の役割なのである。

また,警察・消防・防衛・教育・医療・福祉などの公共サービスも
主として政府や地方公共団体の仕事となる。
政府や地方公共団体は,家計や企業から集めた税金を財源として
社会資本の整備を進め,公共サービスを提供している。

 国民経済と政府



政府・家計・企業の間でお金・もの・サービスが
交換されていく経済のしくみを国民経済という。
1) 政府と家計
  政府や地方公共団体は,家計から徴収した税金を使って,
  公共施設や公共サービス(教育・消防・ゴミ処理・上下水道など)を
  提供する。
  公務員の家計の場合は,家計は労働を提供して,
  政府から賃金を受け取る。
2) 政府と企業
  政府や地方公共団体は,企業から徴収した税金を使って,
  公共施設や公共サービス(道路・港湾など)を提供する。
  企業は政府に商品やサービスを納入し代金を受け取る。
3) 家計と企業
  家計は企業に労働を提供し,賃金を受け取る。
  (家計から資金を提供している場合は利子や配当も受ける。) 
  また,家計は企業から商品やサービスを購入して,
  その代金を支払う。

 租税-累進課税・逆進課税



所得が多くなるにつれてを税率を高くする課税の方法を
累進課税といい,
所得税と相続税ではこの課税方法がとられている。

累進課税は,
税はそれぞれの支払い能力に応じて負担すべきだという
考えかたにたっている。

累進課税制度は,高額所得者からより多くの税を徴収し,
社会保障制度などを通じて低額所得者に分配するはたらきをもつ。
これを所得の再分配という。

 直接税と間接税



税の負担者と納入者が同じ税を直接税,
税の負担者と納入者が違う税を間接税という。

直接税の代表的なものは所得税である。
例えば,飲食店を経営しているAさんの場合,
総売上から経費(店の家賃・水道光熱費・材料費などの経費)を
差し引いた残りが所得になる。

この年間所得が600万円で,
家族構成が夫婦と子ども2人の場合の所得税(年額)は約15万円になる。
毎年2~3月の間に税務署で確定申告を行い,
国に15万円の所得税を支払うことになる。
この場合,税を負担するのはAさんであり,
税を納入するのもAさんである。

法人税も直接税である。
法人税は企業の所得(純利益)にかかる税金である。
例えばある企業の純利益が5000万円の場合,
企業は国に対して約1500万円の法人税を納めなければならない。

法人税は所得税と同じく,
税を負担する者と税を納入する者が同じであるので直接税の1つである。

国に納める直接税で金額が大きいのは所得税と法人税である。
そのほか、国に納める直接税としては相続税や贈与税などがある。

間接税の代表例は消費税である。
例えば,Bさんが書店で1000円の本を買った場合,
Bさんが支払う金額は,
1000円に8%の消費税80円を加えた1080円になる。

消費税として集めた金額を税務署に納付するのは書店である。
この場合,消費税を負担する人(Bさんなど)と,
消費税を納入する人(または企業)(書店など)が別になる。

このように税金を納める義務がある人と
実際に負担する人が異なる税を間接税という。

間接税としては,そのほかに,酒税,たばこ税,
揮発油税,関税などがある。

 税の分類
 
税は,国に納める国税と
地方公共団体に納める地方税に分類できる。
税の分類を表にまとめると,次のようになる。



 歳入と歳出-歳入
 


国の歳入の中心は租税である。
租税の中で大きい割合を占めるのは,
まず,直接税である所得税と法人税である。

所得税は個人の所得に対してかけられる税で,
所得が多いほど税率が高くなる累進課税になっている。
法人税は企業の利益に対してかけられる税である。

国税の中で2番目に大きいのは間接税である消費税である。

上の歳入のグラフを見て驚くべきことは,
公債金が歳入全体の約半分をしめていることである。
公債金は,国が国債を発行して国民から資金を借りる,
いわば国の借金である。

 国債
 




税収に見合った支出をするというのが健全な財政のあり方であるが,
深刻な不景気のために税収が減っている一方で
景気対策のための支出を増やさなければならない場合など,
税金だけでは支出をまかなえない場合が出てくる。

このようなときに,国や地方公共団体は公債を発行して,
国民などからお金を借り入れる。

国が発行する公債が国債であり,
地方公共団体が発行する公債が地方債である。

国債は銀行・証券会社・生損保等の金融機関が購入し,
これがその他の機関投資家や個人に販売される。
また,個人で国債を購入することも可能である。

国債の購入者には半年毎に一定の利子が支払われ,
償還時に額面金額が支払われる。

 歳出
 


国の歳出の上位3つは社会保障関係費,国債費,
地方財政費(地方交付税交付金など)である。

このうち,戦後大幅に増加したのは,
社会保障関係費と地方財政費である。

社会保障関係費は,医療費,年金,公的扶助などのための費用である。
地方財政費は税収の少ない地方自治体に対して支出される
地方交付税交付金などである。

国債費は,国の国民に対する借金である国債の返済や
利子にあてるための経費で,
国の財政支出にしめる国債費の割合は約23%と非常に高い水準にある。

このほか,公共事業関係費は道路・橋の整備等のための支出で,
文教及び科学振興費は義務教育にかかる費用などがある。
(統計修正:「日本国勢図会2011/2012年版」P371)

 [要点-景気変動と金融政策・財政政策]
 
(1)
好景気のときは,消費が拡大して商品の売れ行きがよくなるので,企業は生産を拡大する。
需要が供給を上回るため物価が上がるインフレーションが起こる。

不景気になると,売れ行きが悪くなるので,企業は生産を縮小する。
物価が下がるデフレーションがおこる。

好景気と不景気が交互にくり返されることを景気変動という。

(2)
不景気になると,政府は減税を行い,公共事業への支出を増やすなどの財政政策を行って,経済を活性化させようとする。
また,不景気のとき日本銀行は,金融市場で国債などを買うことで通貨量を増やし,市場の金利を下げるような公開市場操作を行う。
これを金融政策という。

 景気と財政政策
 


好景気と不景気が交互にくり返されることを景気変動という。

不況:商品の売れ行きが悪くなり,企業は生産量を減らす。
   企業は在庫を減らし,
   設備投資もおさえて不況を耐えぬこうとする。
   しかし,企業の中には業績が極端に悪化して
   資金繰りがつかなくなり,倒産するところも出てくる。
   倒産やリストラによって失業者が増大し,
   そのことによって全体の消費がさらに落ち込む。
回復:生産調整・在庫整理がある程度進むと,
   (供給)<(需要)となるので,
   企業は生産を少しずつ増やすようになる。
   企業の生産活動が回復していくにつれて,
   全体の賃金も少しずつ増加するので,消費が回復し,
   そのことによって商品の売れ行きが回復していく。
好況:商品の売れ行きが良くなり,工場では生産を増加させる。
   賃金の増加によって,消費がさらに拡大する。
   企業は,さらなる売り上げ増を見込んで在庫を増やしたり
   設備投資をさかんに行うが,
   そのことによって経済全体がさらに活発化する。
後退:設備投資によって企業の生産能力が増大するが,
   需要の伸びが供給の伸びに追いつかないため,
   (供給)>(需要)となり,
   企業収益が悪化し景気が悪くなり始める。

 インフレーションとデフレーション



物価が上昇する現象をインフレーションという。

一般に景気がよいときは,需要が供給を上回り,物価が上昇する。
仮に物価が2倍になったとすると,貨幣価値は半分になる。
もし賃金が同じであったとすると,実質賃金も半分になる。

これに対し,物価が下落する現象をデフレーションという。
景気が悪くなると,需要が供給を下回り,物価の下落が起こる。
物価が下落すると,貨幣価値は上がる。

近年の日本経済はデフレーションになっている。
2008年に始まった世界同時不況の影響で,
需要が大幅に減少し,各企業の収益が悪化した。

収益が悪化した企業は,賃金カットや人員整理によって
倒産をまぬがれようとする。
賃金カットなどによって家計の消費支出は減少する。

近年,スーパーや各種のディスカウントストアなどは,
客の減少を防ぐために生き残りをかけて値下げ競争をくり広げている。
行きすぎた値下げによって収益が悪化した企業は,
人員削減などの合理化をはかろうとする。
その結果,賃金がさらに低下し,
家計の消費支出は,さらに減少し,物価がさらに下落する。

このようにして物価の下落が繰り返される悪循環を
デフレスパイラルという。

 財政政策



財政には,
①社会資本や公共サービスの提供,
②所得の再分配,
③景気変動の調整
という3つのはたらきがある。

③の景気変動の調整のはたらきを財政政策という。

第二次世界大戦前までは,
不景気になると税収が減少するため,
財政赤字をさけるために歳出をおさえるのが一般的であった。

しかし,政府が歳出をおさえると,
さらに需要が減少して不況をいっそう悪化させることが多かった。

これに対し,イギリスの経済学者ケインズは,
不況のときには,むしろ,公共投資を増やしたり
減税を行ったりすることによって需要を増加させて
景気回復のきっかけをつくることが必要であると説いた。

景気が回復すれば税収も増えるので,
それで赤字分をうめ合わせればよいと考えた。

不景気のときの財政政策としては,
歳出面では公共事業への支出を増やすことがあげられる。
例えば,橋や道路の建設工事を増やせば,
建設会社の生産活動が活発になるだけでなく,
資材を供給する鉄鋼やセメント会社などの売り上げも増える。

さらに,生産に必要な機械の売り上げも増えるであろう。
このように需要が波及していくことによって,
全体として企業の生産活動が活発になり,
それにともなって,労働者の賃金も増加し,
そのことが消費の増加につながると期待される。

不景気のときの財政政策として,
歳入の面では減税があげられる。
減税によって,国民の可処分所得が増えるので,
消費が増えることが期待される。
消費が増えて売り上げが増えれば
企業の生産活動が活発化することになる。

 財政政策と金融政策



例えば,中小企業のA社が1億円の機械を導入することを検討しているとする。

この機械を導入することで,年に250万円の利益増を見込んでいるとする。
銀行から借りる金利が3%の場合は年間の利子支払いが
1(億円)×0.03=300万円となるので,差し引き50万円の損になってしまう。

もし,金利が2%まで下がったらどうか。
利子支払いは1(億円)×0.02=200万円となるので,
金利を差し引いても50万円のプラスになる。
金利が2%まで下がればB社の社長はこの設備投資を決断するかもしれない。

また,住宅の購入を考えているサラリーマンのBさんがいるとする。
Bさんにとっても,金利が下がれば,
毎月の住宅ローンの返済金額が少なくてすむことになる。

金利が3%から2%に下がったとき,
Bさんは住宅建設を決めるかもしれない。

このように,銀行の金利が下がれば,
企業の設備投資や個人の住宅投資が増える傾向がある。

では,銀行の金利を下げるためにはどうしたらよいのか。
かつては,日本銀行が銀行に資金を貸し出すときの金利(公定歩合)が下がれば,
銀行の金利も下がるような規制がなされていた。

景気が悪くなると日本銀行は公定歩合を引き下げることで,
銀行の貸出金利を下げることができた。
しかし,1990年代に金利の自由化が行われ,
公定歩合と金融機関の金利が直接的に連動することはなくなったため,
現在では,公定歩合は政策金利としての意味をもたなくなっている。

現在,日本銀行は,金融市場での金利の調整を通じて
景気や物価の安定をはかる金融政策をおこなっている(公開市場操作)。
すなわち,不景気のときは,金融市場で国債や各種の有価証券を買って,
資金を供給して金利を引き下げる操作を行っている。

このように,公定歩合に政策金利としての意味がうすれてきたので,
日本銀行は2006年に「公定歩合」に関する統計の名称変更を行い,
今後は公定歩合という名称は使わず,
「基準割引率および基準貸付利率」と呼ぶことを発表した。

 先頭に戻る

 社会保障・公害
 [要点-社会保障と福祉]
 
(1)
わが国の社会保障の4本柱は,
社会保険
社会福祉(母子家庭,高齢者,障害者の福祉),
公的扶助(生活保護),
公衆衛生(伝染病の予防や下水道の整備)である。

(2)
社会保障の中で最も重要なのが社会保険である。
①一定の年齢に達したときなどに現金給付を受ける年金保険
②病気やけがの際に給付を受ける医療保険
③2000年から実施されている介護保険などがある。

(3)
今の日本は,高齢者の割合が増えて,生まれてくる子どもの数が減る少子高齢化が進行し,年金などの社会保障の給付総額は増えるのに,現役世代の人口が減り,税収と保険料収入は減少するという問題が起こっている。
増加する社会保障費をまかなうために,2014年消費税の税率を8%にあげ,さらに10%に引き上げることにしている。

 憲法25条の生存権



生活が困難になったとき,
個人にかわって国が生活の保障を行う社会保障の制度が生まれた。
日本の社会保障制度は,
「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
「国は,すべての生活部面について,社会福祉,
社会保障及び公衆衛生の向上および増進に努めなければならない。」
という憲法25条の生存権の規定にもとづいて整備された。

 社会保障の4本柱



日本の社会保障制度は,
「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
という憲法25条の規定にもとづいて整備された。
社会保障は,社会保険,公的扶助,社会福祉,公衆衛生の4つを基本としている。

1) 社会保険
 社会保障の中心となっているのは社会保険で,
 病気や事故・失業や老後の生活にそなえて,
 加入者が日ごろから少しずつ掛け金を積み立てておき,
 必要なときに給付を受けるしくみになっている。

 そのうちの医療保険は,病気やけがの際に給付を受ける保険である。
 年金保険は高齢者世帯の収入の多くを占め,高齢者を支える保険である。

 雇用保険は失業したとき生活費を支給し,再就職を助ける制度である。

 また,高齢化が進むなか,自宅や施設で保健・医療・福祉サービスが
 総合的に受けられることを目的とした介護保険制度が2000年から導入され,
 40歳以上の全ての国民が保険料を負担することになった。
2) 公的扶助
 公的扶助(生活保護)とは,生活に困っている人への国の経済的援助である。
 例えば,老齢のため働くことができず,貯蓄もなく,
 たよるべき子どももないため生活を維持することが著しく困難な場合,
 社会保険事務所に生活保護の申請を行うことができる。
3) 社会福祉
 社会福祉は,社会生活上でハンディキャップをもつ人(社会的弱者)の生活を保障し,
 自立を助けるための制度である。
 老人・心身障害者・母子家庭・児童などがその対象となる。
 具体的には,老人ホームなどの福祉施設,
 障害者のための援護施設や職業訓練施設,
 児童養護施設や保育所などの社会福祉施設が作られ,
 市町村に設けられた社会福祉事務所が福祉行政を行っている。
4) 公衆衛生
 国民の健康と公衆衛生の向上を目的としている。
 保健所などが中心になって伝染病の予防などを行っている。
 下水道の整備やゴミ処理などの環境衛生も公衆衛生に含まれる。

 社会保険

社会保障制度の中心となっているのは社会保険で,
病気や事故・失業や老後の生活にそなえて,
加入者が日ごろから少しずつ掛け金を積み立てておき,
必要なときに給付を受けるしくみになっている。

社会保険には,医療保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5種類がある。
① 医療保険
 病気やけがをして病院で治療を受けた場合,
 窓口で自己負担分の費用を支払う。
 自己負担の割合が3割の場合,
 例えば窓口で支払った金額が3000円であるとき,
 残りの7割の7000円は健康保険組合等が負担してくれる。
② 年金保険
 自営業者が加入する国民年金の場合,
 月々の保険料は約14,000円である。
 年金の支給開始は,原則として65歳である。
 支給額は保険料を支払った期間によって異なるが,
 満額で月7,9000円(20~60歳の40年間の場合),
 現在の受給者の平均月額は約5.3万円である。
 サラリーマンが加入する厚生年金の場合,
 保険料は収入の約15%で,そのうちの半分は企業(雇用主)が支払う。
 年金の支給開始は,原則として65歳で,
 現在の受給者の平均月額は約16.5万円である。
 公務員が加入するのは共済組合である。
③ 介護保険
 高齢化が進むなか,自宅や施設で保健・医療・福祉サービスが
 総合的に受けられることを目的とした介護保険制度が2000年から導入され,
 40歳以上のすべての国民が保険料を負担することになった。
④ その他
 雇用保険は失業したとき生活費を支給し, 再就職を助ける制度である。
 労災保険は,働いていて事故やケガなどの
 労働災害にみまわれた時のための保険である。

 少子高齢化と社会保障



現在の日本は,すでに少子高齢化社会に突入しているが,
今後もさらに人口の高齢化が進むと予想されている。

高齢者の人口が増えると,年金保険・医療保険・介護保険などの
社会保険のための支出が増加する。

これらの社会保険の支出は保険料と税金でまかなわれているが,
少子化の影響で生産年齢人口(15~64歳)が減少していくため,
保険料の伸びは期待できない。

したがって,財源が不足し,
このままでは制度が維持できなくなるおそれがある。
消費税率をあげてその一部を社会保険の不足分にあてる,
保険料の引き上げをおこなう,
年金の支給金額の引き下げ・受給開始年齢の引き上げを同時に行うなど,
国民に大きな負担を強いる改革が必要となるが,
その実行には大きな困難が伴う。

 [要点-公害の防止と環境保全]
 
(1)
四大公害は,
①熊本県水俣湾の水俣病
②三重県四日市の四日市ぜんそく
③富山県神通川流域のイタイイタイ病
④新潟県阿賀野川流域の新潟水俣病の4つである。

公害を防止し,環境汚染をくいとめるために,1967年公害対策基本法が作られ,1971年には環境庁(現在は環境省)が新設された。
また,1993年環境基本法が作られた。

(2)
自然から採取する資源を極力少なくするとともに,資源を有効に活用し,廃棄物を最小限におさえる社会を循環型社会という。
その実現を目指して,循環型社会形成推進基本法が制定された。

3Rとは,ゴミを減らすリデュース,まだ使える物を再使用するリユース,再生利用を行うリサイクルである。

 公害の防止と環境保全



戦後,日本が急速な経済発展をとげるにつれて,
各地で深刻な公害問題が発生した。

なかでも,熊本県水俣湾の水俣病,三重県四日市の四日市ぜんそく,
富山県神通川流域のイタイイタイ病,
新潟県阿賀野川流域の新潟水俣病の4つは四大公害とよばれた。

これに対して,公害追放の住民運動が各地で展開されたため,
公害を防止し,環境汚染をくいとめるべく,
1967年に公害対策基本法が作られ,1971年には環境庁が新設された。
また,1993年,環境基本法が作られた。

こうした努力によって生産活動による公害は少しずつ減っていった。
しかし,その反面で騒音,排気ガス,
ごみなどによる生活公害が大きな問題になっている。

最近では,廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシンによる
土壌汚染・大気汚染が大きな問題となった。

 日本経済の課題
 


1980年代後半から90年代初め,企業や人々の多くは,
値上がりによる利益を目的に土地や株を買うようになり,
土地や株の値段が急激に上昇しはじめた。
これをバブル経済という。

ところが,1990年代にはいると,
それまで上がりつづけていた土地や株の値段が暴落し,
バブル崩壊と言われる現象が起きた。

バブル経済の時代に,銀行は不動産取引や開発のために
巨額の資金を融資していたが,
バブル崩壊によって相当の額が回収不能になり,
銀行は多額の不良債権をかかえこみ,
中には経営破綻におちいる銀行も出た。

経営不振におちいった銀行は貸出に慎重になり,
資金不足から倒産する企業があいついだ。

こうして,90年代を通じて日本経済は低成長におちいってしまった。
このように現在では,経済がとどこおるようになったが,
コンピュータや通信技術の分野などで,
新たな成長への期待も生まれてきている。

新技術や高度の知識をもとに,
創造的な仕事を行うベンチャー企業が注目されている。

 先頭に戻る