社会3年 公民(国際)

地球社会

 地球社会
 [要点-国際社会における国家]
 
(1)
国家は,国民領域主権によって成り立っている。
主権国家は他国に支配されたり,干渉されたりしない権利(内政不干渉の原則)と,たがいに対等である権利(主権平等の原則)を持っている。
主権国家は,国の象徴として国旗(日本では「日章旗」)や国歌(日本では「君が代」)を持っている。

(2)
国際法は国際慣習法と条約からなりたっている。
国家主権の及ぶ範囲は領土(下図のA),領海(B)(海岸から12海里),領空(C)である。
海岸から200海里の範囲を排他的経済水域(D)として,漁業資源や鉱産資源を沿岸国の権利として認めている。
領海の外は公海でどの国の船でも自由に航海できる。
これを公海自由の原則という。
 
 

 国際法と国家の領域-主権



世界には195の国があるが(2011年末現在),
それぞれの国は主権をもっている。

主権は,他国から支配や干渉を受けない権利(内政不干渉の原則),
他の国々と対等である権利(主権平等の原則)からなっている。

主権の確立した国を主権国家という。

 国際法
 


国家がたがいに主権を尊重し合っていくために,
国際社会には守らなければならないルール(国際法)がある。

国際法は,国と国とが結ぶ条約や,
長い間の慣行から法となった国際慣習法
(例えば,公海自由の原則)からなりたっている。

 国家の領域
 


国家の主権がおよぶ範囲を領域という。

国家の領域は,領土・領海(海岸線から12海里)・
領空(領土と領海の上空)である。(1海里は1852m)

さらに,海岸から200海里の範囲を経済水域として
水産資源や海底の地下資源を沿岸国の権利として認めている。

経済水域の外側の水域は公海で,
どの国の船でも自由に航行できる。
これを公海自由の原則という。

ただし,南極大陸は,どこの国の領域にもなっておらず,
人類の共通資産となっている。

 沖ノ鳥島
 


日本は離島が多く,細長い国なので,
経済水域が非常に広く,国土面積の10倍以上もある。

日本の南端の沖ノ鳥島は,
満潮のときは2つの岩が海面上に30~50cm出るだけである。

日本は,1989年に約300億円の費用をかけて
水没を防ぐための工事を行った。
これは,この島があることによって,
その周辺43万km2という日本の国土面積を上回る
広大な経済水域を確保するためであった。

 [要点-国際連合]
 
(1)
第一次世界大戦の反省から,1920年国際連盟が発足したが,第二次世界大戦が起こるのを防げなかった。
この反省から,1945年国際連合憲章が採択され,国際連合が生まれた。
国際連合は戦争や紛争を防ぎ,世界の平和と安全を維持することを目的としている。
総会(年に1回開催され,各国が1票の投票権をもつ),安全保障理事会,経済社会理事会,国際司法裁判所,事務局などの機関が置かれ,本部はニューヨークに置かれている。

(2)
平和と安全の維持にあたっているのは安全保障理事会で,アメリカ,イギリス,フランス,ロシア連邦,中国の5か国常任理事国で,非常任理事国10か国である。
常任理事国のうち1か国でも反対すれば議決されない。
これを拒否権という。
PKO(国連の平和維持活動)は,軽装備の小数の軍隊を紛争地域に派遣して,紛争の拡大防止や平和的解決のために監視活動を行っている。

(3)
経済社会理事会の専門機関としては,国連教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ))(教育・科学・文化を通じて,各国間の相互理解や協力を推進),国連児童基金(UNICEF(ユニセフ))(発展途上国の子どものために医療や食料などを援助),世界保健機関(WHO)(保健に関する国際協力)などがある。

 国際連合-発足
 


国際連盟が第二次大戦を防げなかった反省から,
もっと強力な国際組織を作って世界の平和を維持しようと,
1945年に51か国が国際連合憲章を採択し,
国際連合が成立した。

国際連合は総会・安全保障理事会・
経済社会理事会・事務局などからなり,
本部はアメリカのニューヨークに置かれている。

 加盟国数の変化
 




図のAはアジアで,第二次世界大戦後,
多くの国が独立したために1945~1955年の間の
国連加盟国数が増加している。

1960年は「アフリカの年」といわれ,
多くの独立国が生まれたた。
これによって,1955~1965年の間のアフリカ諸国の
国連加盟国数が増加している。

Bはヨーロッパで,
1965~2011年に加盟国数が増加しているのは,
1991年にソ連が崩壊し,
多くの共和国が生まれたためである。

※2012年1月末現在の国連加盟国数は193か国である。
(一番最近加盟したのは,南スーダン(2011年7月)である。)

 組織
 

 安全保障理事会
 


国際連合は,国際連盟の失敗に対する反省から,
侵略国に対して加盟国全体で
武力制裁を含む制裁措置を行う
集団安全保障のしくみがとられている。

平和と安全の維持にあたっているのは安全保障理事会で,
アメリカ,イギリス,フランス,ロシア連邦,中国の
5か国が常任理事国で,非常任理事国は10か国である(任期は2年)。

重要問題の議決には,
5常任理事国を含む9理事国以上の賛成が必要で,
常任理事国のうち1か国でも反対すれば議決されない。
これを拒否権という。

米ソの冷戦時代には,
国際紛争には米ソのいずれかまたは双方が関係している場合,
拒否権が発動されることが多く,
国際紛争に有効に対応できなかったが,
現在では拒否権の発動は少なくなっている。

 平和維持活動
 


国際平和の維持にあたる国連の機関は安全保障理事会である。
しかし,東西の対立がきびしかった冷戦期には,
拒否権がひんぱんに発動されたため
安全保障理事会は十分に機能しなかった。

これにかわって必要に応じた便宜的措置として生まれたのが,
国連の平和維持活動(PKO)である。

当初は,紛争当事国の同意を前提として
小規模の平和維持軍(PKF)を派遣し,
停戦の監視,兵力分離,非武装地帯の維持,
平和回復後の選挙監視などの任務にあたった。

冷戦中は5大国のPKO参加は控えられる傾向があった。
1989年12月の米ソ首脳会談で冷戦終結宣言が行われてからは,
冷戦の下でおさえられてきた地域的な民族・宗教・領土紛争などが
頻発するようになり,国連の平和維持活動(PKO)は急増し,
その性質も以前のPKOと異なるものであった。

1991年の湾岸戦争後に設置された国連イラク・クウェート監視団は,
イラクの同意を得ずに派遣され,5大国も参加した。
さらに,1993年の国連ソマリア活動では,
国連が平和を強制するために重火器で装備した平和執行部隊を派遣したが,
失敗に終わっている。

 専門機関など
 


 [要点-地域主義・新興国の台頭]
 
(1)
安全保障,経済,環境など同じ問題を抱える国家や地域がまとまりをつくり,国際的な協調・協力関係を築いていこうという動きを地域主義(リージョナリズム)という。

ヨーロッパのEU(ヨーロッパ連合),北米のNAFTA(北米自由貿易協定),アジアのASEAN(東南アジア諸国連合)APEC(アジア太平洋経済協力会議)TPP(環太平洋経済連携協定)などがある。
また,多くの国が参加する統合だけでなく,特定の国と国の間でFTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)を結び,貿易の自由化などを進める動きも活発である。

(2)
地球の北側に多い,工業や経済が発展している国々を先進工業国,地球の南側に多い,工業や経済の発展が遅れている国々を発展途上国といい,その間の経済格差を南北問題という。

途上国の中でも,新興工業経済地域(NIES(ニーズ))(韓国,台湾,ホンコン,シンガポール,ブラジル,メキシコなど),BRICS(ブリックス)(ブラジル,ロシア連邦,インド,中国,南アフリカ共和国)など急速に発展した新興国が現れている。
途上国の間でも経済格差が見られ,南南問題と呼ばれている。

 地域主義
 


今日では,資源・エネルギー・人口と食料などの問題は,
もはや1国だけでは解決ができない地球的規模の問題になっている。

地球規模で一体となった社会(グローバル社会)として,
このような問題に取り組むことが必要になってきている。

こうした状況の下で,経済・環境・安全保障などで,
同じ問題をかかえている一定地域の国家がまとまりをつくって,
そこで協調や協力を強めようとする動きが出てきているが,
これを地域主義(リージョナリズム)という。

その代表例はEU(ヨーロッパ連合)である。
共通の通貨(ユーロ)が導入され,
ヨーロッパ全体が1つの国内市場のようになってきており,
経済的統合は完成段階にある。

また,外交や安全保障の分野においても,
共通の政策をとる努力がなされている。
さらに,EUに大統領,議会,政府をおいて,
1つの国のようにしようという動きもすすみ,
そのためにEUの憲法をつくろうという努力も続けられている。

アジアにおいては,
1967年にASEAN(東南アジア諸国連合)が東南アジア地域の経済,
社会の発展につとめることを目的に設立された。
現在では10か国が加盟しており,
事務局はインドネシアのジャカルタに置かれている。

近年,ASEANに日本,中国,韓国を加えた
「ASEAN+3」という会合が開かれ協力を深めている。

アジア太平洋地域には,
1989年にオーストラリアの提唱ではじまった
APEC(アジア太平洋経済協力会議)があり,
アメリカ,日本,オーストラリア,中国,韓国,
ASEAN諸国,ロシアなど21ヶ国が参加している。

アメリカは1994年に,カナダ,メキシコとの間で
NAFTA(北米自由貿易協定)を発足させ,
関税撤廃や投資規制の解除などを進めている。

 世界平和
 


第二次世界大戦後,
アメリカ合衆国を中心とする資本主義の西側陣営と,
ソ連を中心とする社会主義の東側陣営の間で,
冷たい戦争といわれる対立が激しくなった。

東西の対立は,米ソの核兵器開発と軍拡競争で
一層深刻化していった。
アメリカは第二次世界大戦末期に原爆を開発していたが,
1949年にはソ連も原爆の開発に成功した。

1954年にはアメリカ合衆国がビキニ環礁で水爆実験を強行し,
現地付近の島民や日本の漁船などが被害を受けた。
このころソ連も水爆の開発に成功しており,
アメリカとソ連は核兵器の開発競争を行っていった。

核兵器の開発競争がおこる背景には,
お互いに対する強い不信感がある。
それは,「相手よりもより強い軍備をもっていれば,
反撃されたときの被害を恐れて,相手が攻撃してこなくなるはずだ」
という核抑止力論の考え方によくあらわれている。

アメリカのビキニ環礁での水爆実験以降,
核兵器開発に対する反対運動が高まり,
翌1955年には広島で第1回原水爆禁止世界大会が開催された。

 南北問題など-人口・食料問題
 


人口増加率は,南アジア,東南アジア,
アフリカなどの発展途上国で著しい(人口爆発)。

これに対し,アメリカ,ヨーロッパ,
日本などの先進工業国の人口増加はほぼ横ばいの状態で,
出生率の低下と平均寿命ののびにより,
少子高齢化が問題となっている。

 南北問題
 


先進工業国の多くは北半球に位置し,
世界の人口の8割を占める発展途上国の多くは南半球に位置している。
このことから,この経済格差の問題を南北問題とよんでいる。

発展途上国の中でも,産油国や新興工業国と
最貧国といわれる国々との間にも大きな格差がある。

このような発展途上国の中における経済格差の問題を
南南問題という。
南北問題を解決するため,
1962年に国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立され,
世界銀行(IBRD)も協力して,
先進国から途上国への技術と資金の移転や
国際的な所得の再配分をすすめてきた。

 ODA
 


南北問題を解決するため,
1962年に国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立され,
世界銀行(IBRD)も協力して,
先進国から途上国への技術と資金の移転や
国際的な所得の再配分をすすめてきた。

ODA(政府開発援助)は,
先進国の政府が発展途上国に対して行う経済援助である。
ODAには,贈与と貸しつけがある。

日本のODAは,「贈与が少なく貸しつけが多い,
援助がアジアにかたよりすぎている」などの批判がある。

日本のODAの額は1991年から2000年まで世界一であったが,
近年の財政難のあおりをうけてODAへの支出額が削減され,
2010年現在は第5位である。

統計:「日本国勢図会2011/2012年版」P361
2010年ODA:①アメリカ(302億ドル) ② イギリス(138億ドル) 
③ フランス(129億ドル) ④ ドイツ(127億ドル) ⑤ 日本(111億ドル)
青年海外協力隊も日本のODAの一環である。

 NGO
 
NGOは非政府組織の略称で,
政府にたよらない民間の非営利組織のことである。
NGOの中には国連を介して,
国際的なネットワークをつくり,
軍縮・開発援助・環境保護・人権擁護・飢餓の救済・学術など,
多様な領域で活動しているものもある。

NPO(民間非営利団体)も同じような意味に使われるが,
NGOは国際的な活動をする組織に対して使われ,
NPOは国内で活動する組織に対して使われることが多い。

 [要点-地球環境問題]
 
(1)
二酸化炭素などの温室効果ガスの増加によって地球温暖化が進み,干ばつや洪水などの自然災害が起こっている。

(2)
また,北極や南極の氷がとけて海水面が上昇して海抜の低い地域が水没することが心配されている。

(3)
さらに,広い範囲で木がかれる酸性雨の被害,フロンガスによるオゾン層の破壊の問題も起きている。

このような地球環境問題に対処するため,1992年にブラジルで国連環境開発会議(地球サミット)が開かれ,1997年には地球温暖化防止京都会議が開かれて先進国に温室効果ガスの削減を義務づける京都議定書が採択された。

 資源・環境問題-資源・エネルギー問題
 


①戦後すぐのころは,
 山が多く水資源の豊富なわが国の特色を生かした
 水力発電(図のア)が主力であった。
 しかし,水力発電のためのダムを建設できる場所には限りがあるため,
 その後,中東からの安価な石油を利用した
 火力発電(図のイ)が主力になった。

 1966年に,最初に原子力発電所が茨城県東海村に建設されたが,
 原子力発電(図のウ)が大きく伸びるきっかけになったのは,
 70年代初めにおきた石油危機で石油価格が高騰したことである。
 原子力発電には,地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない
 という長所がある。

 しかし,事故が起きたときには放射能汚染を引き起こす危険性がある。
 2011年3月の東日本大震災による大津波で,
 東京電力の福島第一原子力発電所の原子炉が損傷して
 放射能物質の流失がおこった。
 統計修正:「日本国勢図会2011/2012年版」P130

②現在のエネルギー源の中心は,
 石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料であるが,
 数十年のうちに枯渇すると予想されている。
 
 石油ショック後,日本は化石燃料の代替エネルギーとして
 原子力発電に力をいれてきた。
 しかし,原子力発電の燃料となるウランも
 数十年で枯渇すると予想されている。

 化石燃料やウランによって得られるエネルギーは
 有限エネルギーである。
 
 これに対し,風力発電・太陽光発電・地熱発電・
 バイオマス発電など自然エネルギーを利用した発電の場合,
 資源が枯渇することはない(無限エネルギー)。
 しかも,石油などの化石燃料のように,
 地球温暖化をもたらす二酸化炭素を発生させることもない。

 しかし,自然条件に左右されるため出力が不安定で,
 設備費用が大きいため,
 従来のエネルギーに取って代わるまでにはいたっていない。

 地球環境問題
 


石油や石炭などの化石燃料の大量消費は,
地球温暖化につながる温室効果ガスの二酸化炭素を排出する。

温暖化によって気候が変動し,生態系が変わるだけでなく,
海水面が上昇してツバルやモルディブなど
世界各地の低地が水没するおそれが出てきている。

地球上の森林は二酸化炭素を吸収し,
酸素を供給する働きをしているが,
その森林が急速に減少していることも
地球温暖化の原因になっている。

例えば,発展途上国の中には,
人口増加により食料や燃料が必要になり,
森林の伐採が進んで砂漠化した地域がある
(アフリカのサヘル地域など)。

東南アジアでは,
日本へ輸出するラワン材を過度に伐採したり,
日本などに輸出する養殖エビを育てたりするための池づくりで,
マングローブなどの熱帯林が破壊され,
海辺の生態系を破壊するだけでなく,
洪水・高潮といった災害の発生にもつながっている。

ヨーロッパなどでは,
窒素酸化物と硫黄酸化物による酸性雨によって森林が枯れたり,
湖の魚が死んだりする被害が出ている。

このほか,フロンガスによるオゾン層の破壊も深刻な問題である。
オゾン層は地球に降りそそぐ紫外線を吸収する
という役割を果たしているが,
これが破壊されると,
生物体にとって非常に有害な紫外線が
地上に降りそそぐことになる。

 環境問題についての国際協力
 


地球環境問題に対処するため,
1972年には「かけがいのない地球」をテーマに
ストックホルムで国連人間環境会議が開催された。

1992年にはブラジルで国連環境開発会議が開催され,
「環境と開発に関するリオ宣言」を採択し,
環境を守り「持続可能な開発」を目指すことが確認された。

1997年には京都で地球温暖化防止のための国際会議が開かれ,
二酸化炭素の削減目標を先進工業国に義務づける
京都議定書が採択された。

しかし,京都議定書をめぐり,アメリカが離脱したり,
先進国と発展途上国との間で利害対立が起きたりしたため,
現在,新たな枠組み作りが模索されている。

2002年には持続可能な開発に関する
世界首脳会議(環境開発サミット)が開かれた。

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