社会3年 公民(政治)

現代社会 人権の歴史  日本国憲法    基本的人権   選挙政党
国会  内閣   裁判所    三権分立   地方自治

 現代社会
 [要点-現代社会の特色]
 
(1)
大量の人,物,お金,情報などが国境を越えて移動するグローバル化が進行している。
商品を簡単に輸出入できるようになると,国際競争が加速し,各国が競争力のある産業に力を入れ,競争力のないものは輸入するという国際分業が進行する。

その結果,日本では,食料品の輸入が増えて食糧自給率の低下がおこっている。
また,グローバル化によって,日本でくらす外国人が増え,多文化社会が進展しているが,それぞれの文化の違いを尊重してくらしていく共生社会をつくることが求められている。

(2)
新聞,テレビなどのメディアに加え,近年では,インターネットという世界的情報ネットワークが急速に普及し,情報化が進展した。
情報を正しく活用する力(=情報リテラシー)を身につける必要がある。
また,他人に迷惑をかけるような情報を流通させないなどの情報モラルが求められる。

(3)
女性1人あたりが一生の間に出産する子どもの数で表す合計特殊出生率の低下によって,少子化が進む一方で,平均寿命ののびなどで高齢化が進んでいるが,これをあわせて少子高齢化という。

また,家族構成も変化し,祖父母と親と子どもで構成される三世代世帯の割合が減少し,親と子ども,あるいは夫婦だけの核家族世帯の割合が増加した。
近年では,一人暮らしの単独世帯の割合が大きくなっている。

 現代社会の特色-グローバル化



交通や通信技術の発達などにより,
大量の人,商品,お金,情報などが国境を越えて
容易に移動できるようになり,
世界の一体化が進んでいる。
これをグローバル化という。

 国際分業
 


グローバル化によって商品を簡単に輸出入できるようになると,
国内で生産された商品と輸入商品との間,
あるいは異なる国から輸入した商品どうしで,
どちらが安くて品質の良いものを提供できるかについての
国際競争が行われるようになる。

また,それぞれの国が国際競争力のある産業に力を入れ,
競争力のないものは輸入するという国際分業が進行する。

 多文化社会
 


グローバル化によって,日本でくらす外国人が増え,
さまざまな文化を持った人々が共生する
多文化社会が進展している。

多文化社会では,それぞれの文化の違いを尊重し合い,
ともに協力してくらしていく共生社会をつくることが
求められている。

 情報化-情報社会
 


1990年代に入ってから,情報通信網と
コンピューターの発達によって
インターネットという世界的情報の
ネットワークが急速に普及した。

情報通信技術の発達によって
情報化が進展したが,
このような社会を情報社会という。

情報を得るために使われる,
新聞,テレビ,ラジオ,インターネット,
携帯電話などをまとめてメディアという。

 オンライン・ショッピング
 


情報化の進展にともない生活が便利になった。
例えば,電気製品を買いたいと思ったとき,
インターネットを使って各社の製品の
価格・性能・評判などを簡単に調べることができる。

インターネットを使った買い物を
オンライン・ショッピングという。
また,現金を持ち歩かなくても商品を購入できる
電子マネーも使われるようになった。

 インターネット利用の注意点
 


インターネットの利点は,検索によって必要な情報を
さまざまなホームページから入手し,
また,知ってもらいたい情報を簡単に発信できることである。

しかし,インターネットには大量の情報があふれているので,
自分が必要な情報は何かということをはっきりさせたうえで,
情報を取捨選択する必要がある。

また,個人情報が知らないうちに流失して
プライバシーが侵害されたり,
コンピューターを使った犯罪の被害を
受けたりすることもある。

個人情報の流出やコンピューターを使った犯罪に
気をつけることが大切である。
コンピューターを使う能力差によって,
必要な情報が得られる層と
得られない層に分かれるデジタル・ディバイド
という問題もおこっている。

 少子高齢化
 


現在の日本では,
子どもの数が減少する少子化が深刻な問題になっている。
少子化によって,総人口も2005年を境に減少に転じている。

少子化の原因は,出生率の低下である。
長期的に人口を維持していくためには,
出生率2.1人が必要であるとされる。

日本では,1970年には2.13人であったが,
その後,減少し続け,2011年現在は1.39人となっている。

出生率が減少した原因としては,
まず,女性の社会進出が進んだが,
保育所の不足などのために働くことと
子育ての両立が難しいことがあげられる。

また,結婚年齢が高くなったことや,
結婚しない若者が増えていること,
高学歴社会となり子どもの養育費・教育費が
増加していることも出生率低下の原因である。
(統計出典)「日本国勢図会2013/2014」P54

 少子高齢社会
 


子どもの数が少なくなり,
高齢者の割合が大きくなっている社会を
少子高齢社会という。

出生率の低下により子どもの数が減る少子化が進行している。
他方,平均寿命ののびによって高齢化が進みつつある。

65歳以上の老年人口が全人口に占める割合は,
1965年6.3%→1975年7.9%→1985年10.3%→
1995年14.3%→2005年20.0%と増加の一途をたどり,
2012年には24.1%となっている。

今後,老年人口がさらに増加していくことは確実である。
出生率が現在の水準で推移するとした場合,
2025年には老年人口は全体の約27%,
2055年には約40%に達すると予想されている。



(統計出典)「日本国勢図会2013/2014」P54,57
 少子高齢化の問題点
 


現在の日本は,すでに少子高齢社会に突入しているが,
今後もさらに人口の高齢化が進むと予想されている。

高齢者の人口が増えると,
年金保険・医療保険・介護保険などの
社会保険のための支出が増加する。

その一方で,
これらの費用を保険料や税金の形で負担している
労働力人口が少子化の影響で減少していくことが確実である。

その結果,資金不足が,
今後どんどん大きくなっていくと考えられる。
現在の給付水準を維持しようとすると,
保険料や税金の大幅引き上げが必要になり,
労働力人口1人あたりの負担が大きくなっていく。

 [要点-現代社会における文化]
 
(1)
文化の3つの領域は,科学宗教(神や仏などへの信仰),芸術(音楽,美術,小説など)である。

(2)
長い歴史の中で培われてきた文化を伝統文化という。
文化財には,建築物や絵画のような有形文化財,芸能や工芸技術のような無形文化財がある。
これらを保護するため,国は文化財保護法などの法律を制定した。

年中行事には,初詣(1月),節分(2月),ひな祭り(3月),端午の節句(5月),七夕(7月),七五三(11月)などがある。
日本には沖縄で見られる琉球文化や,北海道で見られるアイヌ文化など独自の文化がある。

(3)
多文化共生を実現していくためには,異文化理解が必要になる。

 現代社会における文化-文化の3つの領域
 


代表的な文化の領域としては,
科学,宗教,芸術の3つがある。

科学:さまざまな技術を発展させ,人々の生活の向上に役立ってきた。
宗教:悩みや不安からのがれ心のいやしを願い,
   生きる意味を求めて神や仏を信仰する。
芸術:うるおいや安らぎを与える音楽,美術,小説など。

 伝統文化
 


長い歴史の中で培われてきた文化を伝統文化という。

伝統文化の中には,能や歌舞伎,茶道や華道など
一部の専門家によって受けつがれてきた文化と,
庶民によって受けつがれてきた衣食住,年中行事,
冠婚葬祭などの生活文化がある。

 文化財保護法
 


伝統文化を保護するために,
国は文化財保護法などの法律を制定した。

文化財には,
1)建築物や絵画のような有形文化財,
2)芸能や工芸技術のような無形文化財,
3)衣食住や信仰,年中行事,民俗芸能のような 民俗文化財,
 城跡や庭園のような記念物などが含まれる。

 年中行事
 


 独特な文化
 


日本には,琉球文化とアイヌ文化という2つの独特な文化がある。

琉球文化は,旧琉球王国の領土であった沖縄や奄美群島の
人々によって受け継がれてきた文化である。
沖縄では,中国や東南アジアとの歴史的交流や,
アメリカの影響を受け,
さまざまな文化が融合した独自の文化が形成された。

もう1つは,北海道などの先住民族のアイヌ文化である。
アイヌの人たちは,身の回りの自然などを「カムイ(神)」として
うやまう独自の文化をもっている。

 多様な文化
 


日本は南北に長く気候が大きく異なっており,
地域によって気候や風土に応じた多様な文化が存在する。

住居を例にとると,白川郷や五箇山では
雪の荷重を減らすために屋根を急勾配にした
合掌造りという建築方法がとられている。

沖縄では,台風と強い日差しに備えるため,
風に強く熱をさえぎる赤がわらの屋根を持つ民家が
一般的であった。

 [要点-現代社会の見方や考え方]
 
(1)
私たちは,家族,地域社会,学校,会社など,いろいろな社会集団の中で生活している。
この中で,最初に出会う最も身近な社会集団は家族である。
人間は,社会の一員としてでなくては生きていくことはできない。
そのため,人間は社会的存在であるといわれる。

(2)
社会集団の中で,考え方や求めるもののちがいから対立が生じることがある。
その場合,話し合いで合意をめざす必要がある。
みんなが納得できる解決策を考えるにあたっては,効率(無駄がないか)と公正の2つが重要になる。

(3)
社会集団内や集団間における対立を調整し,トラブルを解決したり,未然に防いだりするためには,あらかじめ,きまり(ルール)を作っておくことが必要になる。
採決の仕方には,全会一致(一人でも反対する人がいるとトラブルがうまく解決できない場合に利用される)で決める方法と,多数決で決める方法がある。
多数決で決定をする場合は,少数意見を尊重することが大切である。

 現代社会の見方や考え方-社会集団



私たちは,家族,地域社会,学校,会社など,
いろいろな社会集団の中で生活している。

この中で,最初に出会う最も身近な社会集団は家族である。
家族や地域社会は生まれながらに所属している社会集団である。

これに対し,学校,部活動,塾,会社などは
目的をもって所属している社会集団である。

 社会的存在としての人間



人間は,社会の一員としてでなくては
生きていくことはできない。
そのため,人間は社会的存在であるといわれる。

 対立と合意・効率と公正



社会集団の中で,
考え方や求めるもののちがいから対立が生じた場合,
話し合いで合意をめざす必要がある。

みんなが納得できる解決策を考えるにあたっては,
効率と公正の2つが重要になる。

効率とは,
みんなの時間やお金,もの,労力を
無駄なく使うようになっているかということである。

公正とは,
手続きの公正さと機会や結果の公正さである。

 きまり・契約



社会集団内や集団間における対立を調整し,
トラブルを解決したり,未然に防いだりするためには,
あらかじめ,きまりを作っておくことが必要になる。

きまりをつくるときには,だれにどのような権利があり,
またどのような義務や責任があるかを
明らかにすることが重要である。

きまりを守ることで,社会集団の秩序が保たれる。

 決定のしかた



きまりを作る場合,
全員で話し合って決定する方法と,
複数の代表者が話し合って決める方法がある。

また,採決の仕方には,
全員一致で決める方法と,
多数決で決める方法がある。

全員一致は,
一人でも反対する人がいると
トラブルがうまく解決できない場合に利用される。

多数決は,
一定の結論を出さなければならないときなどに利用される。
多数決で決定をする場合は,
少数意見を尊重することが大切である。

 核家族



かつては,祖父母・父母・子どもの
三世帯が同居する大家族が多かった。

例えば,農村部では祖父母,父母,子が同じ家に住み,
共同して農作業や家事を分担するのが普通であった。

1950年代後半からはじまる高度経済成長は,
多くの人々を農村から都市に引き寄せた。
その多くは若い人々であり,
親元を離れて都市で新しい家庭をもった。

こうして,夫婦と子どもを中心とした核家族が増えていった。
核家族としては,
①夫婦のみの家族,
②夫婦と子どものみの家族,
③父(母)と子どもからなる家族,がある。

現在では核家族が全体の約6割をしめるようになった。
このように,家族の多様化が進んできている。

 婚姻

日本国憲法第24条は次のように定めている。

「婚姻は両性の合意のみにもとづいて成立し,
夫婦が同等の権利を有することを基本として,
相互の協力により,維持されなければならない。」(1項)

「配偶者の選択,財産権,住居の選定,
離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては,
法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,
制定されなければならない。」(2項)

 親等



家族については,民法の親族・相続編で規定されている。

親等は1世代を1親等として数える。
「自分」からみて父母は1世代上なので1親等,
祖父母は2世代上なので2親等,
自分の子どもは1世代下なので1親等である。

兄弟などとの親等を計算するときは,
共通の祖先(兄弟の場合は父母)にさかのぼって数える。
すなわち,「自分」-父母で1親等,
父母-弟で1親等なので,合計1+1=2親等である。

また,父の妹である「女」(すなわち,おば)の場合も同様に,
共通の祖先にさかのぼって数える。
「自分」と「女」の共通の祖先は「祖父=祖母」である。
「自分」から「祖父=祖母」までは2親等,
「女」から「祖父=祖母」までは1親等なので,
合計で3親等である。

 相続



遺産の相続については民法の相続編で定めている。

遺言がない場合は,
配偶者(結婚している相手を配偶者という)が2分の1,
残りの2分の1を子どもが均分相続する。

この問題の例では,1800万円の半分の900万円は母が相続する。
残りの900万円を子ども3人が300万円ずつ相続する。

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 人権の歴史
 [要点-人権の歴史]
 
(1)
イギリスの思想家ロックは「統治二論」を著し,名誉革命の正当性を主張した。
フランスの思想家モンテスキューは著書「法の精神」で三権分立を主張し,アメリカの独立宣言へ大きな影響を与えた。
フランスのルソーは「社会契約論」を著し,主権はもともと人民のものであると主張し,フランス革命に影響を与えた。

(2)
イギリスでは17世紀半ばにピューリタン革命がおこった。
1688年には名誉革命がおこり,国王に国民の権利を守ることを約束させた。
これを権利章典という。

イギリスの植民地であったアメリカで,1775年に独立戦争がおこり,1776年アメリカ独立宣言を出した。
1789年フランス革命がおこり,フランス人権宣言が出された。
第一次世界大戦後,ドイツではワイマール憲法が制定され,社会権をはじめて規定した。

 啓蒙思想家


 市民革命



イギリスでは古くから議会政治が展開されていたが,
1215年には,議会はマグナカルタを発表し,
国王の権力を制限した。

1642年に清教徒革命がおこった。
さらに,1688年に名誉革命がおこり,
国王に国民の権利を守ることを約束させた。
これを権利の章典という。

この当時活躍したイギリスの思想家のロックは
「統治二論」をあらわし民主政治を説いた。

 フランス人権宣言



フランス革命のときに出された人権宣言は,
「人は生まれながらに,自由で平等な権利を持つ。」
という文言で始まっている。

「自由で平等」とあるが,
このうち特に重要なのは「自由」である。
市民革命とは,支配者の圧制に苦しむ民衆の,
支配者からの解放(自由)を求めた動きであったからである。

フランス人権宣言の図のトビラには古い制度のくさりを切り,
理性の光を照らすという意味をあらわした絵が描かれている。

 ワイマール憲法



あらゆる人権の中で
もっとも早い段階に確立したものは自由権である。

国王による人権侵害から逃れようとする民衆が
まず欲したのは,権力者からの自由である。
そして,19世紀には,自由な経済活動がさかんになり,
資本主義経済が発展した。

しかし,それとともに,社会のなかの貧富の差が広がり,
労働者は長時間労働,低賃金を強いられた。

そこで,普通選挙運動や労働運動が高まった。
20世紀に入ると,各国で普通選挙権が認められ,
また,人々の社会生活を経済的に保障しようとする社会権が
人権規定のなかにとり入れられるようになった。

1919年のドイツのワイマール憲法は,
社会権(生存権)を保障した最初の憲法として有名である。

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 日本国憲法
 [要点-立憲主義と日本国憲法]
 
(1)
最高法規である憲法によって政治権力を制限して人権を守るという考え方を立憲主義という。
これは,政治が人の支配でなく,法の支配によって行われることを求めている。
また,多くの憲法では,権力の集中を防ぐために三権分立を採用している。

(2)
1889年大日本帝国憲法が制定された。
この憲法は,天皇を主権者と定め,「臣民の権利」は「法律ノ範囲内ニ於イテ」という制限つきのものであった。

(3)
1945年8月,わが国はポツダム宣言を受諾し,太平洋戦争は終わった。
日本国憲法は,1946年11月3日に公布され,1947年5月3日に施行された。
日本国憲法の三大原則は,基本的人権の尊重国民主権平和主義 である。

 大日本帝国憲法



1889年に発布された大日本帝国憲法は,
制定者が天皇である欽定憲法であった。
(日本国憲法のように,国民またはその代表者が
制定者である憲法は民定憲法という。) 

大日本帝国憲法第1条は
「大日本帝国ハ万世一系の天皇之を統治ス」と,
主権者が天皇であることを定めている。
(日本国憲法では,主権者は国民である。) 

また,人権を天皇が恩恵によって与えた
「臣民(しんみん)の権利」とし,
法律によって制限できるものとした。
(日本国憲法では,
人権は誰でも生まれながらにもっているものであり,
法律によっても制限されないとしている。)

 日本国憲法の成立



ポツダム宣言には,
軍国主義の排除,民主主義の強化,基本的人権の確立など,
降伏後に日本がとるべき政治の方針が示されていた。

この方針を実現するには,
大日本帝国憲法を根本的に改める必要があった。
GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指示に従って,
作成された憲法改正の政府案はこれまでの天皇制を維持するなど
一部改正にとどめるものであった。

これに対し,GHQは
大日本帝国憲法を全面的に改めるよう指示して,
草案を政府に提示した。

政府はこれに基づいて憲法改正案を作成し,
当時の帝国議会に提出した。
そして議会で約4か月にわたって審議され,
一部の修正をへて可決,
1946年11月3日に日本国憲法として公布され,
翌年5月3日から施行された
(5月3日は憲法記念日とされている)。

 日本国憲法と大日本帝国憲法のちがい



わが国は,1945(昭和20)年に
ポツダム宣言を受け入れて連合国に降伏した。

日本国憲法は,
大日本帝国憲法とは根本的にちがった基本原理にたつ,
まったく新しい憲法として制定された。

日本国憲法の三大基本原理は,
国民主権,基本的人権の尊重,平和主義である。

国民主権は,
明治憲法の天皇主権の考え方を否定するものである。
その結果,天皇の地位は,主権者である国民の「総意」にもとづく
「日本国および日本国民統合の象徴」とされた(第1条)。

天皇は,政治的な権能をいっさいもたず,
憲法に定められた形式的,
儀礼的な「国事行為」(第6条,第7条)のみをおこなうとされた。

基本的人権の尊重は,
国民の権利を,「侵すことのできない永久の権利」(第11条,第97条)
として尊重することを意味する。
大日本帝国憲法のような,
法律の範囲内での保障という考え方を否定するものである。

平和主義は,
過去の侵略戦争の反省のうえにたった,
日本国民の平和への念願と決意の表明である。

第9条は,戦争の放棄と戦力の不保持,
交戦権の否認を定めている。

 日本国憲法の特徴



憲法は国の政治のあり方の基本を定めている法であり,
国の最高のきまりであることから,
国の最高法規といわれている。

憲法に違反する法律や命令などはすべて無効である。
憲法に基づいて行われる政治を立憲政治という。

 [要点-平和主義]
 
(1)
日本国憲法9条平和主義を定め,国権の発動たる戦争や武力の行使を放棄すること,陸海空軍その他の戦力を保持しないこと,国の交戦権は認めないことを定めている。

(2)
1950年の朝鮮戦争を契機に現在の自衛隊の前身である警察予備隊が設置され,またアメリカとの間に日米安全保障条約が結ばれた。
核兵器について日本は「持たず,つくらず,持ち込ませず」という非核三原則をとっている。

(3)
国連による平和維持活動(略称はPKO)への自衛隊の参加を可能にするために,1992年に,国際平和協力法(PKO協力法)が制定された。
2015年,日本と密接な関係にある国が攻撃を受け,日本の存立がおびやかされた場合には集団的自衛権を行使できるという法改正が行われた。

 三大原則



日本国憲法の三大原則は,
基本的人権の尊重,国民主権,平和主義である。

「基本的人権の尊重」という原則を
確実に実現していくためには,
国民自らが政治を行う権利を持つ
「国民主権」が必要である。

さらに国民の幸せな生活や
生命そのものを奪い去ってしまうものが戦争なので,
憲法は平和主義をつらぬくことを
基本原則の1つとしている。

 国民主権①
 


主権とは国の政治のあり方を
最終的に決定する権限である。
主権をもつ者を主権者という。

大日本帝国憲法においては天皇が主権者であったが,
日本国憲法は国民を主権者とした。

すなわち,国の政治の決定権は国民がもっており,
政治は国民によって行われるという
国民主権を憲法の三大原則の1つとした。

日本国憲法で国民主権を述べてあるのは,
憲法前文と憲法第1条である。

 国民主権②:天皇の地位
 


憲法第1条は「天皇は日本国の象徴であり,
日本国民統合の象徴であって,
この地位は主権の存する日本国民の総意に基く。」
と示している。

天皇は主権者ではなく,
政治についての決定権はもたず,
憲法の定める国事行為のみを行うことが
定められている。

国事行為としては,
内閣総理大臣の任命,
最高裁判所長官の任命,
法律の公布,
国会の召集,
衆議院の解散,
栄典の授与,
外国大使の接受
などがある。

これらの国事行為は,
形式的・儀礼的なものであり,
例えば,内閣総理大臣を実質的に決めるのは
国会による指名であり,
天皇は指名された通りに
任命を行うのみである。

また,これらの国事行為には
内閣の助言と承認が必要とされ,
内閣がその責任を負う。

 平和主義①:憲法9条
 


日本国憲法は,前文および第9条で,
平和主義を国の基本原則とすることを定めている。

9条1項で
「日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を
誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,
武力による威嚇又は武力の行使は,
国際紛争を解決する手段としては,
永久にこれを放棄する。」
と戦争の放棄を定め,

2項で「前項の目的を達するため,
陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。
国の交戦権は,これを認めない。」
と戦力の不保持・交戦権の否認を定めている。

 非核三原則
 


1967年,総理大臣佐藤栄作は,
核兵器を「持たず,つくらず,持ちこませず」
という非核三原則を示した。

1971年には沖縄返還に関連して
衆議院本会議の決議で確認された。

核兵器の製造・保持については,
日本が1976年に核不拡散条約(NPT)に加入したことで,
国際法的にもできないことになっている。

しかし,「持ちこませず」については,
日本とアメリカの間の外交上の密約によって,
核兵器を搭載した艦船が日本の港にはいるのを
黙認していたことが明らかになった。

 平和主義②:自衛隊
 


日本国憲法は,
当時のGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)
の示した草案にもとづいて起草されたものである。

憲法9条の徹底した平和主義は,
日本の非軍事化をおしすすめようとしたアメリカの
初期対日占領政策のあらわれでもあった。

しかし,やがて米ソ間で,
冷たい戦争と呼ばれる緊張状態が強まった。

さらに中国で共産党政権が成立すると(1949年),
アメリカの対日占領政策は,
日本を共産主義の「防壁」とする方向へ大きく転換された。

1950年6月に朝鮮戦争がはじまると,
朝鮮半島へ出撃した在日米軍の留守を補うために,
GHQは日本政府に対し,
警察予備隊の創設を指示した。

やがてそれは1952年に保安隊となり,
1954年に自衛隊に発展した。

そして,1951年9月のサンフランシスコ平和条約の調印と同時に,
日米安全保障条約(安保条約)が締結され,
占領終了後もアメリカ軍が日本に駐留することとなり,
また,日本自身の防衛努力がうたわれた。

 平和主義③:日米安全保障条約など

1951年に日米安全保障条約が結ばれ,
以後,半世紀以上にわたって日米の同盟関係が続いている。

日米安全保障条約は,
他国が日本の領土を攻撃してきたときに,
共同して対処することを約束している。

その見返りとして,
日本はアメリカ軍が日本の領域内に駐留することを認めている。

日本全国の米軍基地施設全体のうち,
75%が沖縄に集中しており,
米軍基地は島の面積の5分の1を占めている。


 PKO



冷戦の終結後,
湾岸戦争や旧ユーゴ内戦のような地域紛争が激化した。

こうした世界秩序の変動のなかで,
日本も地域紛争の解決と世界秩序の維持・形成に
積極的な役割をはたすべきだ,との議論が高まった。

1992年にはPKO(国連平和維持活動)協力法が制定され,
これにもとづき,
92年以後,カンボジア,モザンビーク,東ティモールなどへ,
たてつづけに自衛隊の海外派遣がおこなわれた。

2001年のアメリカ同時多発テロ事件を機に
勃発したアメリカのアフガニスタン「対テロ戦争」に際し,
日本はテロ対策特別措置法を制定して,
米軍への後方支援に自衛隊を派遣した。

さらに,2003年のイラク戦争では,
主要な戦闘終結後も武力衝突がつづくイラクに
自衛隊が派遣された(イラク復興支援特別措置法)。

これらは,はじめての戦時における自衛隊派遣であり,
それまでの一線を大きく踏みこえるものであった。

さらに,2003年には,
外国からの武力攻撃があったときの対処を定めた武力攻撃事態法など
有事法制関連3法が制定された。
同年,イラク復興支援特別措置法が作られた。

 憲法前文

日本国憲法前文は以下の通りである。

日本国民は,
正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,
われらとわれらの子孫のために,
諸国民との協和による成果と,
わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し,
政府の行為によって再び戦争の惨禍が
起こることのないようにすることを決意し,
ここに主権が国民に存することを宣言し,
この憲法を確定する。

そもそも国政は,
国民の厳粛な信託によるものであって,
その権威は国民に由来し,
その権力は国民の代表者がこれを行使し,
その福利は国民がこれを享受する。

これは人類普遍の原理であり,
この憲法は,かかる原理に基づくものである。

われわれは,これに反する一切の憲法,
法令及び詔勅を排除する。

日本国民は,恒久の平和を念願し,
人間相互の関係を支配する崇高な理想を
深く自覚するのであって,
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,
われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは平和を維持し,
専制と隷属,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めている国際社会において,
名誉ある地位を占めたいと思う。
われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,
平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは,いずれの国家も,
自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって,
政治道徳の法則は,普遍的なものであり,
この法則に従うことは,自国の主権を維持し,
他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は,国家の名誉にかけ,
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

 国民の三大義務



日本国憲法に定められた国民の三大義務は,
①勤労の義務,
②子どもに普通教育を受けさせる義務,
③納税の義務である。

このうち,
①子どもに普通教育を受けさせる義務,
②勤労の義務
の2つは,義務であると同時に権利でもある。

 [要点-国民主権・憲法改正]
 
(1)
大日本帝国憲法では天皇主権者であったが,日本国憲法では国民主権者である。
憲法第1条には,「天皇は日本国の象徴であり,日本国民統合の象徴であって,この地位は主権の存する日本国民の総意に基く。」と定められている。
天皇が行う国会の召集などの形式的な行為を国事行為というが,これを行うには内閣の助言と承認が必要である。

(2)
憲法改正のためには,内閣または国会議員が憲法改正案を提案し,衆議院・参議院の各院において,総議員の3分の2以上の賛成で国会が憲法改正を発議する。
次に,憲法改正の可否について,国民投票を行い,その過半数の賛成が必要である。
憲法改正が成立したときは,天皇が国民の名で公布する。

 憲法改正



憲法は国の基本法であり最高法規であるので,
軽々しく改正すべきではない。

憲法の改正に慎重な手続きが定められているのはこのためである。

まず,内閣または国会議員が憲法改正案を提案し,
衆議院・参議院の各院において,
総議員の3分の2以上の賛成で国会が憲法改正を発議する。

次に,憲法改正の可否について,
国民投票を行い,その過半数の賛成が必要である。

憲法改正が成立したときは,
天皇が国民の名で公布する。

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 基本的人権
 [要点-基本的人権(平等権など)]
 
(1)
人権保障の基本は「個人の尊重」の原理で,「法の下の平等」とも深く関係している。
国連は子どもの基本的権利や自由を尊重する目的で,子どもの権利条約を採択した。

(2)
憲法は14条で「すべて国民は法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,社会的関係において差別されない。」と定めている。

(3)
1965年,同和対策審議会は部落差別をなくすことは国の責務であり,国民の課題であると宣言した。
また,アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会の実現をはかるため,1997年にアイヌ文化振興法が成立した。
在日韓国・朝鮮人への差別の撤廃も重要な課題である。

(4)
1985年には,採用や仕事の内容の上で,男女を差別なく扱うことなどを定めた男女雇用機会均等法が制定され,さらに1999年に,性別にかかわらずその個性と能力が発揮される社会をめざし,男女共同参画社会基本法が作られた。

(5)
すべての人が区別されることなく,社会の中で普通の生活を送れることをノーマライゼーションという。
障がいのある人やお年寄りに対し,身体的,精神的,社会的な障壁を取り除こうというバリアフリーの考え方が大切である。

 基本的人権と個人の尊重


(憲法第11条)
 国民は,すべての基本的人権の享有を妨げられない。
 この憲法が国民に保障する基本的人権は,
 侵すことのできない永久の権利として,
 現在及び将来の国民に与へられる。
(憲法第12条)
 この憲法が国民に保障する自由及び権利は,
 国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない。
 又,国民は,これを濫用してはならないのであって,
 常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
(憲法第13条)
 すべて国民は,個人として尊重される。
 生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,
 公共の福祉に反しない限り,
 立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。
(憲法第14条1項)
 すべて国民は,法の下に平等であって,
 人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,
 政治的,経済的,又は社会的関係において,
 差別されない。


 基本的人権の分類



基本的人権を大きく4つに分けると,

①平等権(人種,信条,性別,身分などによって差別されない権利),
②自由権(身体の自由,精神の自由,経済の自由),
③社会権(生存権,教育を受ける権利,勤労の権利,労働基本権),
④基本的人権を守るための権利(参政権,請願権,裁判を受ける権利など)
となる。

このうち,平等権と自由権は
フランス革命当時から認められている人権の基盤となる人権である。
社会権は,第一次世界大戦後のドイツのワイマール憲法において,
はじめて認められた権利である。

 [要点-基本的人権(自由権など)]
 
(1)
自由権には,精神の自由身体の自由経済活動の自由がある。
精神の自由について,日本国憲法は,「思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。」 「信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。」「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。」「学問の自由は,これを保障する。」 と定めている。

(2)
身体の自由については,「何人も,法律の定める手続きによらなければ,その生命もしくは自由を奪われ,又はその他の刑罰を科せられない。」「何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない。」「何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有する司法官権(裁判官)が発し,かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない。」「公務員による拷問及び残虐な刑罰は,絶対にこれを禁ずる」

(3)
経済活動の自由については,「何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転,職業選択の自由を有する。」「財産権は,これを侵してはならない。」と定めている。

 自由権(身体の自由)



自由権を大きく3つに分けると
①身体の自由,
②精神の自由,
③経済活動の自由
になる。

この中でも特に重要なのは身体の自由である。
戦前には,軍部や天皇制に反する者が不当な拘束を受け,
激しい拷問を受け,中には獄死していった者も少なくない。

日本国憲法は,犯罪捜査にあたって権力の行きすぎがないように,
次のように定めている。
「何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない。
 又,犯罪による処罰の場合を除いては,
 その意に反する苦役に服させられない。」(憲法18条)

「何人も,法律の定める手続きによらなければ,
 その生命もしくは自由を奪われ,
 又はその他の刑罰を科せられない。」(憲法31条)

「何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,
 権限を有する司法官権(裁判官)が発し,
 かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ,
 逮捕されない。」(憲法第33条) 

「公務員による拷問及び残虐な刑罰は,
 絶対にこれを禁ずる」(憲法36条)

 自由権(精神の自由)



誰もが自由にものを考え,
自由にものを言えるという精神の自由は,
人間らしく生きていくために不可欠なものである
と同時に民主主義の基礎でもある。

日本国憲法は,精神の自由として,
①思想・良心の自由(第19条),
②信教の自由(第20条),
③言論・出版その他の表現の自由(第21条),
④学問の自由(第23条)
を保障している。

「思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。」(憲法19条)
「信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。」(憲法20条1項)
「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,
 これを保障する。」(憲法21条1項) 
「検閲は,これをしてはならない。
 通信の秘密は,これを侵してはならない。」(憲法21条2項) 
「学問の自由は,これを保障する。」(憲法23条)

 自由権(経済活動の自由)



経済活動の自由は,
人間としての生存に不可欠のものであるといえる。

①「何人も,公共の福祉に反しない限り,
 居住,移転,職業選択の自由を有する。」(憲法22条1項)
②「財産権は,これを侵してはならない。」(憲法29条1項)

 自由権の分類
 


自由権を大きく3つに分けると
①身体の自由,
②精神の自由,
③経済活動の自由
になる。

身体の自由は警察などの国家権力によって
身体を不当に拘束されないという自由である。
憲法は,
「現行犯以外は裁判所の令状なしでは逮捕されない」,
「拷問や自白を強制されない」,
「勝手に住居を捜索されない」,
「奴隷的拘束および苦役からの自由」
を定めている。

精神の自由としては,
「思想・良心の自由」,
「信教の自由」,
「学問の自由」,
「言論出版の自由」,
「集会・結社の自由」,
「通信の秘密」
などがある。

経済活動の自由としては,
「財産権の不可侵」,
「職業選択の自由」,
「居住・移転の自由」
などがある。

 平等権
 


平等権は基本的人権の基礎となるものである。

日本国憲法は14条で,
「すべて国民は,法の下に平等であって,
人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,
政治的,経済的又は社会的関係において,
差別されない。」と定めている。

今日の日本では,とくに,定住外国人(朝鮮人)差別,
民族(アイヌ民族)差別,部落差別,
障害者差別や男女差別などの問題をどう解決するかが,
社会全体の大きな課題となっている。

 部落差別
 


江戸時代のえた,ひにんという差別された身分は,
明治になって法律では廃止されたが,
その後も,就職,教育,結婚などでの部落差別は続いた。

大正時代の1922年には,
部落差別からの解放や権利・自由獲得をめざして
全国水平社が結成された。

1965年の同和対策審議会の答申は,
差別をなくすことは国の責務であり,
国民の課題であるとした。

 朝鮮人差別
 


現在,日本には多くの在日韓国・朝鮮人が居住している。
その多くは,1910年の日本の韓国併合によって
移住・強制連行された人々の子孫である。

現在においても,
これらの在日韓国・朝鮮人に対する差別は根強く残っている。

こうした差別は,
個人の尊厳と自由・平等の基本的人権にかかわる問題として,
早くなくさなくてはいけない。

 アイヌ民族への差別
 


アイヌ民族は古くから,
北海道,サハリン,千島列島を居住地とし,
独自の言葉と文化を持ち,歴史を築いてきた。

しかし,明治政府はアイヌ民族に
「日本人化」(同化)を強制した。
この中で,アイヌ民族への差別と偏見が強められていった。

これに対し,1997年に,
アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会を
つくることを目的としてアイヌ文化振興法が制定された。

 男女雇用機会均等法



従来,女性は,社会に出て働こうとする場合,
就職)が難しかったり,
給与や昇進が男性と同じ基準ではなかったりして,
男性よりも不利にあつかわれがちであった。

これは14条で法の下の平等を定めた憲法の趣旨にも反する。
女性が活躍できる社会をつくるためには,
男性中心の社会のあり方を考え直し,
女性の勤労の機会を広げることが必要である。

1979年に国連で女子差別撤廃条約が締結されたが,
これを受けて1985年に男女雇用機会均等法が制定された。

男女雇用機会均等法は,
事業主に対して募集・採用・配置・昇進について,
女性と男性を平等に扱うように求め,
教育訓練・福利厚生ならびに定年,退職及び解雇について
差別的取り扱いを禁止したが,
機会の均等を完全に義務化したものではなかった。

男女雇用機会均等法は,
1999年に労働基準法とともに改正(施行)され,
努力義務は禁止措置にかわり,
またセクシャル・ハラスメントの防止も
事業主の配慮義務とされた。

 男女共同参画社会



今日においても,「男は外で仕事,女は家で家事,育児」
といった伝統的な「性別役割分担」の意識が
多くの人々に残っている事は事実である。

しかし,女性の社会進出が進んだ現在の社会では,
そのような考え方が妥当性を失ってきているのも事実である。

1999年に制定された男女共同参画社会基本法は,
男女の区別なく,個人として能力を生かすことができる
男女共同参画社会をつくることを目的としている。

男女共同参画社会を実現するためには,
仕事と育児や介護などが両立できる環境を整えることが必要である。

例えば,
保育所の受け入れ児童数の拡大をはかったり,
職場においては,
育児や介護のための休暇制度を充実させたり,
家庭においては,
家族がそれぞれ育児や介護を積極的に分担することなどである。

 働く女性の割合





図から30歳代の女性の働いている割合が落ちているのがわかる。
これは,育児のために仕事をやめるためと考えられる。

40歳前後から割合が再び増加しているが,
子どもがある程度大きくなって育児の手間がかからなくなったころ,
今度は教育費などがかかるようになって,
パート等の形で再び職につくためと考えられる。

このように,子供が生まれると仕事をやめ,
子どもがある程度大きくなると再び職に就くため,
働く女性の割合のグラフはM字型になる。

結婚して子どもが生まれても仕事を続けたいと願っても,
それを可能にする社会基盤(保育所など)が十分でなければ,
仕事を続けることはできない。

 バリアフリー



高齢者や障害のある人たちが,
社会で安全・快適に生活していけるよう,
身体的,精神的,社会的なバリア(障壁)を
取り除こうという考え方をバリアフリーという。

例えば,道路の段差をなくしたり,
階段にかわるスロープをつくったり,
エレベーターの行き先階ボタンを
車いすを利用する人の使いやすい高さにあわせたりする,
車いすで乗降できる路面電車やバスを運行させるなどである。

 [要点-基本的人権(社会権など)]
 
(1)
社会権を初めて明記したのは第一次大戦後のドイツのワイマール憲法である。
日本国憲法では,①「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(25条)という生存権,② 教育を受ける権利,③ 勤労の権利,④ 労働基本権4つの社会権を保障している。

(2)
労働基本権を保障するため,労働基準法,労働組合法,労働関係調整法の労働三法が定められている。
労働組合法では,労働者の地位を高めるために,団結権(組合を作る権利),団体交渉権(労働条件について交渉する権利),団体行動権(争議権)を保障しており,これらを労働三権という。

 社会権-生存権



①人間らしい生活を送るための基礎を保障するのが社会権である。
 社会権のうちで基本となるのは生存権で,
 憲法は第25条1項で
 「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
 と生存権を定めている。

②生存権は,特に,病気や失業などで
 現実の生活に困っている人々にとって重要である。
 このような場合には生活保護法などの法律によって,
 生活を保障するようになっている(公的扶助)。
 
 また,生存権の保障のためには,
 人々が安定した生活を送ることができるように,
 老齢年金や障害年金,健康保険などの制度(社会保険)を
 整えることが必要になる。

 また,高齢化社会に備えて,
 2000年からは介護保険制度が導入されている。

 このような公的扶助・社会保険・社会福祉・
 公衆衛生などの制度を社会保障という。

 労働基本権





自分と家族の生活(生存)を維持するためには
働かなければならない。
勤労の権利と労働基本権が社会権に含まれるのは
そのためである。

資本主義が成立した初期のころは,
労働者は使用者に対して弱く不安定な立場に置かれていた。
「売り上げが減ったので,来月から給料は半分にする。」と言われたら,
これに対抗することができなかった。
文句を言えば,解雇されるからである。

そこで,日本国憲法は,
「勤労者の団結する権利及び団体交渉
 その他の団体行動をする権利は,これを保障する。」(28条)
と労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)を定めた。

労働組合法は,労働三権について,具体的にその内容を定めている。
1) 団結権
 一人の労働者が単独で賃金アップの要求を
 会社側と交渉しようとしてもうまくいかない。
「不満があるならやめてもらって結構だよ。」と言われればそれまでである。

 しかし,労働組合を結成すると,交渉力は格段に強くなる。
 組合員全員に対して「やめてもらって結構だよ。」とはいえないからである。
 会社側にとって組合を結成されることは大きな脅威になる。
 組合が結成される動きが出たときには,
 組合結成の中心人物への説得・解雇や配置転換の脅しなど
 あらゆる手段を使ってこの動きを阻止しようとするかもしれない。

 労働組合法は,会社側のこうした妨害行為を
 「不当労働行為」として禁じ,労働者の団結権を保障している。

2) 団体交渉権
 組合を結成した労働者は,
 賃金アップなど労働条件の向上を求めて
 会社に団体交渉を申し込むだろう。

 しかし,会社側としては賃金アップの交渉など
 したくないのが普通であろう。
 交渉を受けるか否かは自由のはずである。
 しかし,それでは,労働条件の向上は望めない。

 そこで,労働組合法は,
 「組合が団体交渉を申し込んできたとき,
 これを拒否することはできない」としたのである。
 会社側が,正当な理由なく団体交渉を拒否することは
 不当労働行為となる。

3) 団体行動権(争議権)
 団体交渉の場で,組合は賃金アップを求めて
 会社側と交渉を行う。
 交渉は,労使双方の力関係に左右されるが,
 組合側の最後の武器はストライキ(労働争議)である。

 最近は,ストライキはあまり行われなくなったが,
 かつては,数か月に及ぶストライキなども
 珍しいことではなかった。
 
 ところで,民法の契約の原則からいえば,
 ストライキは,労働力の提供という契約を
 一方的に破ることを意味する。
 したがって,本来の契約の原則からは,
 ストライキによって損害が生じた場合,
 会社はストライキに参加した労働者に
 損害賠償を求めることができるはずである。

 憲法や労働組合法は, 正当な労働争議の場合は
 このような損害賠償は生じないとしたのである。
 これが,団体行動権(争議権)の内容である。

 なお,公務員の場合は,
 ストライキが及ぼす影響が大きいことから,
 団体行動権は認められていない
 (警察官や消防士がストライキをやったら大変である)。

 教育を受ける権利



教育を受ける権利が
社会権の中に含まれるのはなぜであろうか。

次のような極端な例をあげればすぐに理解できる。
仮に,何らかの理由で小学校での教育も受けておらず,
読み書きや簡単な計算がまったくできない場合,
雇ってくれる会社がどれだけあるだろうか。

例えば,コンビニのバイトの場合でも,
字が読めず計算がまったくできなかったら,
仕事にならないであろう。

働き口が見つからなければ,
自己の生存を維持していくことが著しく困難になるであろう。
憲法26条で,
「すべて国民は,法律の定めるところにより,
 その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。」
と教育を受ける権利を保障し,
さらに
「すべて国民は,法律の定めるところにより,
 その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。
 義務教育は,これを無償とする」と定めている。

教育基本法は教育を受ける権利を具体的に表した法律である。

 [要点-人権を守るための権利]
 
(1)
選挙権(国会議員などを選ぶ権利),被選挙権(代表者として選挙で選ばれる権利),憲法改正の国民投票権,最高裁判所裁判官の国民審査権,国や地方公共団体の機関に要望をする請願権をまとめて参政権という。

(2)
請求権としては,公正な裁判を受ける権利,行政機関の不法行為に対する国家賠償請求権,刑事裁判で無罪になったときの刑事補償請求権などがある。

 人権を守るための権利-参政権



人権を守るための権利としては,まず
参政権(国民が政治に参加する権利)があげられる。
人権が,不当な政治の力によっておかされないようにするためには,
参政権が認められて,政治が国民によって行われることが必要である。

参政権のうち,
国民が代表を選ぶ権利を選挙権,
代表者として国民に選ばれる権利を被選挙権という。

そのほかに,
憲法改正の国民投票,
最高裁判所裁判官の国民審査,
特別法の住民投票
なども参政権の1つである。

※請願権は,参政権に分類している教科書と,
請求権に分類している教科書がある。
ここでは,請求権に分類する。

 女性の参政権

わが国で,最初に議会政治が行われた明治時代,
1890年に行われた第1回衆議院選挙では,
選挙権は,
直接国税15円以上を納める25歳以上の男子に限られていた。

大正時代の1925年,普通選挙法が成立し,
選挙権は25歳以上のすべての男子に与えられ,
納税額による選挙資格の制限が撤廃された。

戦後の1945年に選挙法が改正され,
20歳以上のすべての男女に選挙権が与えられ,
はじめて婦人参政権が認められた。

これによって,完全な普通選挙が実現した。

 請求権



人権を守るための権利としては,参政権のほかに,
実際に人権が侵害されたときに
救済を求める各種の権利(請求権)がある。

1) 請願権
 歴史的には,請願権は国王や支配者に対して
 人民が請願をするという形で発達した。
 憲法16条は「何人も,損害の救済,公務員の罷免,
 法律,命令又は規則の制定,廃止又は改正その他の事項に関し,
 平穏に請願する権利を有し,
 何人も,かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」
 と定めている。

2) 裁判を受ける権利
 人権が侵害されたときには,裁判所に訴えて
 公正な裁判によって救済を求めることができる権利である。

3) 国家賠償請求権
 公務員の不法行為によって損害を受けたときには
 損害賠償を請求できる。

4) 刑事補償請求権
 犯罪を犯したとされて逮捕・起訴されて刑事裁判にかけられたとする。
 裁判の結果無罪判決を受けたときは,
 国にその補償を請求することができる。
 これを刑事補償請求権という。
 補償の金額は,抑留または拘禁された日数に,
 1日あたり最大1万2500円をかけた金額である。

※請願権は,参政権に分類している教科書と,
 請求権に分類している教科書がある。
 ここでは,請求権に分類する。

 人権を守るための権利総合



人権を守るための権利としては,
参政権と請求権がある。

①参政権には,選挙権,被選挙権,憲法改正の国民投票,
 最高裁判所裁判官の国民審査,住民投票がある。

②請求権は,実際に人権が侵害されたときに
 救済を求める権利である。
 請願権,裁判を受ける権利,国家賠償請求権,
 刑事補償請求権がある。

 新しい人権-環境権



環境権とは
人間らしい健康で快適な生活環境を求める権利である。
日本国憲法の中には明文の規定はない。

憲法が制定されたころは環境問題や公害問題が
現在のように叫ばれる時代ではなかったためである。

しかし,1960年代以降の急速な経済成長に伴って
深刻な公害問題が発生し,
その中で,きれいな水や空気,よい日当たりやながめなど
人間らしい生活環境を求める権利として,
環境権が提唱された。

1993年には,地球環境時代にふさわしい
環境基本政策について定めた環境基本法が制定された。

また,1997年には環境影響評価(環境アセスメント)法が制定され,
道路や空港などをつくるときは,
自然環境にどのような影響を与えるかを,
事前に予測・調査(環境アセスメント)することが
義務づけられるようになった。

 知る権利



国民が主権者として政治に参加するためには,
行政機関のもつさまざまな情報を手に入れることが必要である。

そこで,「知る権利」がとなえられ,
多くの地方公共団体で情報公開制度が設けられてきた。

1999年には情報公開法が制定された。

情報公開制度は,
国や地方の政治を透明で公正なものにするために役立つ。

マスメディアは情報の伝達について,
重要な社会的使命を果たさなければならない。

 プライバシーの権利



新聞やテレビの犯罪報道や行き過ぎた社会記事は,
個人の知られたくない秘密をあばくことがある。

また,個人の情報が,本人の知らない間に
勝手に利用されることも多くなっている。

そこで,個人の私的な生活を
他人の干渉から守るプライバシーの権利が登場した。

2002年には,国・地方公共団体や民間の情報管理者が
個人情報を慎重に管理することを目的として,
個人情報保護法が制定された。

 自己決定権





個人が自分の生き方や生活のしかたについて
自由に決定する権利は,
自己決定権とよばれ,
最近,特に医療に関して主張されている。

医師が病気の治療を行う場合,
インフォームド・コンセント
(医師が病因・治療方法などについて
十分な情報を与えた上での患者の同意)
が重視されてきている。

また,末期ガンなどの場合に,
本人の意思にしたがって,告知を行い,
ホスピス(苦痛の除去,死への心の準備などの
精神的な支援を目的とした施設)で
最後の時を迎えることもある。

延命治療によって生かされるのではなく,
尊厳死を望むような場合,
本人の意思によって延命治療を中止することもある。

もしも自分が脳死状態になったときには,
これこれの臓器を提供してよいと,
提供意思表示カード(ドナーカード)(上図)に
事前に記入しておくという方法も,
自己決定権を尊重するためのものである。

 [要点-新しい人権]
 
(1)
高度経済成長期の公害問題に対し,人間らしい生活環境を求める権利として,環境権が提唱され,1993年には環境基本法が制定された。
また,大規模な開発にあたっては環境アセスメントが義務づけられている。

(2)
個人が自分の生き方や生活のしかたについて自由に決定する権利は,自己決定権とよばれる。
患者が医師から十分な情報を得た上で治療方法などを決定するインフォームド・コンセントや,臓器移植カードは自己決定権を尊重するものである。

(3)
国民が主権者として政治に参加するためには,行政機関のもつさまざまな情報を手に入れることが必要である。
そこで,知る権利がとなえられ,多くの地方公共団体で情報公開制度が設けられてきた。1999年には情報公開法が制定された。

(4)
個人の私生活や情報を他人の干渉から守る権利をプライバシーの権利という。
2003年個人情報保護法が制定された。

 新しい人権総合



 [要点-公共の福祉・国民の義務]
 
(1)
人権は,他の人々の人権との関係で制限されることがある。
人権と人権との対立を調整するための原理を公共の福祉という。

(2)
日本国憲法に定められた国民の三大義務は,勤労の義務,子どもに普通教育を受けさせる義務納税の義務である。
このうち,子どもに普通教育を受けさせる義務,勤労の義務の2つは,義務であると同時に権利でもある。

 公共の福祉の条文と根拠



人権は無制限なものではない。
例えば,職業選択の自由があるからといって,
資格のない人が医療行為を行うことは許されていない。
治療を受ける人の命を危険にさらすからである。

また,夜中に大声でさわいで
「言論の自由だ」ということは許されない。
このような行為は他人の人権を侵害するものだからである。

人権には他人の人権を侵害してはならないという
内在的な制約がある。

また,公共の道路をつくるために,
一定の補償のもとに土地を収用する場合のように,
多数の人々の利益のために,一部の人の人権を制限することもある。

このような人権を制約する原理を公共の福祉という。
日本国憲法で,「公共の福祉」にふれた条文は次の通りである。

第12条[自由・権利の保持の責任とその悪用の禁止]
   この憲法が国民に保障する自由及び権利は,
   国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない。
   又,国民は,これを濫用してはならないのであって,
   常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。

第13条[個人の尊重と公共の福祉]
   すべて国民は,個人として尊重される。
   生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,
   公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,
   最大の尊重を必要とする。

第22条[居住・移転及び職業選択の自由]
   何人も,公共の福祉に反しない限り,
   居住,移転及び職業選択の自由を有する。

 公共の福祉で制限される人権

本来どこに住もうが,どこに移転しようが
自由である(居住)・移転の自由:経済的自由権の1つ。

しかし,伝染病にかかった人を自由にさせておくと,
他人の健康や生命を危険にさらすことになるので,
病棟に隔離することになる。

このとき,居住・移転の自由は
公共の福祉の原理によって制限されることになる。

 [要点-グローバル社会と人権]
 
(1)
1948年,人権尊重を国際的に確立するための世界人権宣言が国連の総会で採択された。
しかし,これは条約でないため,法的な拘束力はなかった。
そこで1966年に条約のかたちで加盟国を拘束することのできる国際人権規約が採択された。

(2)
1965年に人種差別撤廃条約,1979年に女子差別撤廃条約,2006年に障害者権利条約が締結された。
2006年には,国連加盟国の人権保障の状況について調査し,必要な勧告を行うために国連人権理事会が設置された。
また,2007年に「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択された。

(3)
国際的な人権保障を実現するために,国境を越えて活動する非営利の民間組織であるNGOの活動も注目される。
紛争地や被災地などに医師を派遣している国境なき医師団はその一例である。

 国際社会と人権



国連で1948年に世界人権宣言が採択されたが,
条約でないため,法的な拘束力はなかった。

そこで1966年に条約のかたちで
加盟国を拘束することのできる国際人権規約が採択され,
日本も1979年に加入した。

1979年に女子差別撤廃条約が国連総会で採択された。
これは,あらゆる分野での女子に対する差別を
なくすための条約である。

日本はこれを受けて1985年に
男女雇用機会均等法を制定した。

 アムネスティ・インターナショナル

アムネスティ・インターナショナルは
1961年に生まれた国際的組織で,
死刑制度廃止,政治犯の釈放や
拷問禁止などを求める運動を展開している。

世界160か国に220万人以上の会員をもち,
世界最大の人権擁護の非政府組織(NGO)である。

政治・宗教・文化活動がもとで,
不当に逮捕・拘置された活動家のために,
その政府あてに釈放を求める手紙を書く運動を続けている。
また,人権侵害の実態をマスコミや
国際機関に発表するなどして,
その救済を世界の人々に訴えている。

 子どもの権利条約



子どもの権利条約は1989年に国連総会で採択された。
18歳未満の者を「子ども」と定義づけている。

この条約が生まれた背景には,
飢餓や貧困に苦しむ子ども,
路上の生活をしいられているストリートチルドレン,
幼児虐待や麻薬汚染などの現実がある。

条約は,子どもの権利として,
生きる権利,育つ権利,守られる権利,参加する権利をあげている。
日本も1994年に条約を批准した。

 [要点-基本的人権の分類]
 
基本的人権を分類すると,
自由権(個人が自分の意志で行動し,他から束縛されない権利),
平等権(人種,信条,性別,身分などによって差別されない権利),
社会権(人間らしい生活をするために保障された権利),
基本的人権を守るための権利(参政権,請求権など)となる。

 基本的人権総合



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 選挙政党
 [要点-民主主義と政治]
 
対立や争いを解消するために決まりをつくり,解決に導くことを政治という。
今日多くの国では,国民主権にもとづいた民主主義の政治が行われている。

ただ,すべての国民が直接政治に参加する直接民主制は困難であるので,国民の選んだ代表者による間接民主制(議会制民主主義)が行われる。
民主政治では,全員の意見が一致しない場合には多数決の方法がとられるが,その場合,少数意見も尊重しなければならない。

 直接・間接民主主義



民主政治には,
国民全員が直接話し合いに参加する直接民主制と,
代表者を選挙で選び,
その代表者が話し合う間接民主制(議会制民主主義)の2つがある。

スイスの一部の州では,
人々が集まって討議し,
挙手でものごとを決める直接民主制をとっているところがある。

人口がよほど少ない場合は可能であるが,
普通の場合は,多くの人々が一か所に集まって話し合うことは
困難であり現実的ではない。

通常,選挙を通じて選ばれた代表者が
議会で話し合って決める間接民主制(議会制民主主義)
によって政治が行われている。

 [要点-民主主義と政治]
 
(1)
現在の選挙の原則は,
①一定の年齢に達していれば,誰にでも選挙権が与えられる普通選挙
②1人につき,1票の投票権を持つ平等選挙
③無記名で投票を行う秘密選挙
④議員を直接選挙する直接選挙4つである。

(2)
1選挙区から1名を選ぶのが小選挙区制で,費用が少なくてすむ反面,死票の割合が多い。
比例代表制は政党名を書いて投票し,得票率に応じて各政党に議席を配分する。
支持する候補者に投票できないという問題点がある。

小選挙区制では単独政権が成立しやすく,比例代表制では多党制になりやすい。
衆議院の選挙区は小選挙区比例代表並立制で,参議院の選挙区は都道府県単位の選挙区制と比例代表制である。

(3)
現在の選挙に関する課題の1つは,棄権が増えて投票率が低下する傾向があことと,一票の格差の問題(選挙区によって1票の価値が大きく異なる)がある。

(4)
国会で多数をしめる政党が内閣を組織して政権を担当する。
この多数党を与党といい,それ以外の政党を野党という。

小選挙区制では二党制(二大政党制)が発達しやすい。
比例代表制では,多党制が生まれやすく,2つ以上の政党が政権を担当する連立政権が作られることが多い。

 選挙-選挙の4つの原則



現在の選挙の4つの原則は,
普通選挙,平等選挙,秘密選挙,直接選挙である。

1) 普通選挙
 一定の年齢に達していれば,
 誰にでも選挙権が与えられる選挙を普通選挙という。

 明治時代に帝国議会が開設されたときの衆議院議員の選挙権は,
 直接国税15円以上を納める25歳以上の男子に限られており,
 総人口のわずか1%にすぎなかった。

 大正時代になって,普通選挙法が成立し,
 25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられた。
 しかし,この普通選挙法は男子についてだけの普通選挙であり,
 女性には選挙権は認められていなかった。

 現在のような,20歳以上のすべての男女に選挙権が与えられたのは,
 第二次世界大戦後の日本国憲法の成立によってである。
 これによって,ほんとうの普通選挙が実現した。

2) 平等選挙
 一人につき一票の投票権が与えられている選挙を平等選挙という。

3) 秘密選挙
 無記名で投票を行う選挙を秘密選挙という。
 
4) 直接選挙
 議員などを直接選ぶ選挙を直接選挙という。
 民主主義国家では,ほとんどのケースは直接選挙だが,
 アメリカ大統領選挙のように,
 選挙人を介する間接選挙も一部見られる。

 日本の選挙制度の歴史



わが国で,最初に議会政治が行われた明治時代,
1890年に行われた第1回衆議院選挙では,
選挙権は,直接国税15円以上を納める
25歳以上の男子に限られていた。

大正時代の1925年,普通選挙法が成立し,
選挙権は25歳以上のすべての男子に与えられ,
納税額による選挙資格の制限が撤廃された。

戦後の1945年に選挙法が改正され,
20歳以上のすべての男女に選挙権が与えられ,
はじめて婦人参政権が認められた。

これによって,完全な普通選挙が実現した。

 1票の重み

[問題]
 下の表は,ある衆議院議員選挙におけるある小選挙区の有権者数を示しています。
 表中のa~dのうち,1票の価値が最も高い選挙区はどれですか。
 その記号を書きなさい。



[解答] D
[解説]


Aの選挙区約47万人で1人の衆議院議員を,
Dの選挙区は約21万人で1人の衆議院議員を選出する。

仮にDと同じ有権者をもつD’という選挙区があったとすると,
DとD’で合計42万人で合計2人の議員を選出することになる。

Aの選挙区は47万人で1人しか選出しないので,
DやD’のほうが有利である。

言いかえれば,DやD’の有権者1人当たりの議員数は
Aの2倍以上である。

議席数あたりの有権者数が少ない選挙区ほど
1票の価値(かち)が高い。

このような1票の価値(1票の重み)の違いが生じたのは,
人口の都市への集中によって都市部の人口が増大し,
農村部の人口が減少したためである。

 政治的無関心と投票率の低下



近年,投票率が低下する傾向がある。
とくに若い人の投票率の低さが目立っている。

20歳になって選挙権をもつにいたったにもかかわらず,
一度も投票所に行ったことがないという若者も少なくない。

これは,政治的無関心が広がっていることを表している。
政治的無関心による投票率の低下は,
主権者である国民の意思が,
政治に正しく反映されなくなるという結果をもたらす。

 選挙区制-選挙区制の種類
 
今日,世界各国で行われている選挙は,
小選挙区制比例代表制が中心であるが,
そのほかに大選挙区制もある。



 大選挙区制(中選挙区制)

戦後~1994年の間,衆議院選挙は,
1つの選挙区から3~5名の議員を選ぶ選挙区制であった。

1選挙区から2名以上を選ぶので,大選挙区制に分類されるが,
人数が3~5名と比較的少ないことから,
とくに中選挙区制と呼ばれた。

参議院選挙は,1982年までは,
全国区と地方選挙区(各2~8名の定員)であった。

参議院の全国区は1つの選挙区から100名を選ぶ大選挙区制であった。
1982年に全国区を現在の比例代表制にあらためる改正が行われた。

 衆議院・参議院の選挙区


 各選挙区制の長所と短所



1選挙区から1名を選ぶのが小選挙区制である。
例えば,ある選挙区でA党の候補者が40%,B党の候補者が35%,
その他の候補者が25%の得票であったとき,
小選挙区制の場合,当選するのはA党の候補者1名のみとなる。

もし,1選挙区から2名を選ぶ中選挙区制なら
A党候補者とB党候補者の2名が当選することになる。

仮に,すべての選挙区が小選挙区で,
かつ一律にA党が40%,B党が35%,
その他が25%の得票であったとすれば,
A党が全議席を獲得することになる。

得票数が1位にならないと当選できないため,
ある程度支持基盤の強い政党しか生き残れない。

小選挙区制の長所は大政党が有利になり政局が安定することである。
また,選挙区が狭いため,
候補者側からすると広報活動に必要な選挙費用が
比較的少なくてよいわけで,
金権政治へ陥る危険性が大選挙区制に比べると小さい。

また,定数1名のため候補者の乱立は避けられ,
有権者側からすると,候補者の情報が得やすく,
政策の違いが明確でわかりやすい選挙となる
(二大政党制となればなおさらである)。

しかし,1位以外の候補者に投じられた票がすべて無効になる。
当選者以外の候補者に投じられた票,
すなわち死票は政治に反映されないわけで,
少数意見を反映しにくくなる。
これが,小選挙区制の短所である。

 比例代表制

比例代表制は政党名を書いて投票し,
得票率に応じて各政党に議席を配分する制度である。

少数党も得票分に応じて議席を得ることができるので,
国民のいろんな意見が反映され,
死票も少ないという利点がある。

しかし,多党化をまねき政局の不安定化をもたらすおそれがある。
また,支持する候補者に投票できないという問題点もある。


 当選者数の計算



現在,日本ではドント式という比例配分の方法をとっている。
これは,各党の得票数を1,2,3・・・の自然数で割っていき,
その商の大きい順に定員まで数え,決めていく方法である。
各政党の当選者数は上の表のようにして算出できる。

 政党-与党と野党



同じ政治的考え(主義)や政策を持つ人々が,
その実現を目指して作った組織を政党という。

一般に,衆議院議員選挙で第一党となった政党の党首が,
国会で内閣総理大臣に指名され,内閣を組織する。

内閣を組織する政党を与党という。
与党以外の政党を野党という。

野党は,与党や政府の行う政策を批判監視し,
政治の方向を修正する役割をはたす。

 連立政権



最近では,内閣が1つの政党ではなく
複数の政党から組織されることが多くなったが,
このような政権を連立政権という。

予算や法律案を国会でスムーズに可決させるためには,
衆議院と参議院の両方で過半数の議席をしめていることが望ましい。

仮に,衆議院で第一党となっても,
参議院で過半数をしめていない場合は,
衆議院で可決した法律案が参議院で否決されてしまうことになる。

このように1つの政党だけでは国会の過半数に達しない場合には,
他の政党と結んで連立政権を組むことが多い。

 マニフェスト

選挙のときに政党や候補者が,
「選挙で当選すれば,このような政策を実行します」
という約束を表明するが,
この約束を公約という。

その中で,政権をとったときに
実行することを約束するものを,特に政権公約という。

しかし,従来,公約という言葉には,
「選挙期間中は,各党ともすばらしい公約を掲げて
選挙民に訴えるが,選挙が終わってしまったら,
いつのまにか忘れ去られてしまう」
という印象がつきまとっていた。

そこで,最近は,施策・実施期限・数値目標などの
具体的内容をもたせた政権公約が出されるようになり,
名称も「公約」ではなく,
「マニフェスト」とよぶようになった。

 [要点-世論]
 
政治や社会の問題についての国民の意見を世論といい,その形成に大きな役割をはたしているのがマスメディアである。
マスメディアからの情報をうのみにせず,批判的に読み取る力をメディアリテラシーという。

 世論とマスメディア



政治や社会の問題についての国民の意見を世論という。
新聞やテレビなどマスメディアは世論の形成に
大きな役割をはたしている。

しかし,マスメディアの報道をうのみにすることには問題がある。

第一に,政治家や政党がマスメディアを上手に使い,
国民の支持を得ようとすることもあるからである(メディア政治)。
第二に,マスメディアの報道姿勢そのものにも問題があるからである。

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 国会
 [要点-国会の地位・しくみ]
 
(1)
国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関である」(41条)
 
(2)
国会には,毎年1月中に召集される常会(通常国会),衆議院解散後に召集されて内閣総理大臣を指名する特別会(特別国会),内閣が必要と認めたとき,または,いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合に開かれる臨時会(臨時国会),衆議院の解散中に必要が生じたときに開かれる緊急集会がある。

(3)
衆議院議員475名のうち,180名は比例代表制によって選出され,295名は小選挙区制によって選出され,任期は4年被選挙権は25歳以上である。

参議院議員242名のうち,96名は比例代表制によって選出され,146名は都道府県ごと(合区あり)の選挙区制によって選出され,任期は6年被選挙権は30歳以上である。

 国会の地位



憲法は41条で,
「国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関である」
と定めている。

また,43条で,
「両議院は,全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」
と定めている。

国会は,国民の選挙で選ばれた国会議員によって
構成されている国民の代表機関である。

国会は国権の最高機関とされ,
内閣や裁判所よりも強い権限があたえられている。

これは,国会が,主権者である国民と選挙で直接結びついており,
国民は選挙を通じて国会をコントロールできるからである(国民→国会)。

内閣総理大臣は国会が指名し,裁判官は内閣が指名・任命するので
国民のコントロールは間接的になる
(国民→国会→内閣,国民→国会→内閣→裁判所)。

また,法律は国会だけが制定できるので,
国会は国の唯一の立法機関でもある。

 [要点-二院制・衆議院の優越]
 
(1)
国会衆議院参議院で構成されているが,これを二院制という。
その目的は,国民のさまざまな意見をより広く国会に反映させることと,慎重な審議によって衆議院の行き過ぎをおさえるためである。

予算の審議,法律の制定などについては衆議院の優越が認められている。
これは,任期が短く解散もあるため国民とより強く結びついている衆議院の意思を優先させて,国会の意思形成をしやすくするためである。

(2)
衆議院で可決した法律案を参議院が否決した場合,衆議院が出席議員の3分の2以上で再可決した場合は,衆議院の議決だけで法律が成立する。
予算については衆議院に先議権がある。

また,衆議院で可決した予算案を参議院で否決した場合,両院協議会が開かれるが,それでも意見が一致しないときは,衆議院の議決を国会の議決とする。

(3)
法律や予算の議決のほか,衆議院の優越が認められているのは,内閣総理大臣の指名条約の承認である。
また,内閣不信任の議決は衆議院だけに認められている。
両院に対等な権限が認められているのは,憲法改正の発議国政調査権などである。

 二院制



国会は衆議院と参議院の2つの議院で構成されているが,
これを二院制という。

二院制をとっている理由は,
参議院が衆議院の行きすぎをけん制することによって,
審議が慎重になされ,国民のさまざまな意見や利益を
政治に反映させることができることである。

しかし,参議院と衆議院が同じ構成であれば,
参議院は衆議院のコピーになってしまう。

そこで,参議院と衆議院では任期や選出方法を別にしている。

 衆議院の優越の根拠



両院がたがいに抑制しあうことによって,慎重に審議し,
国民のさまざまな意見や利益を政治に反映させる目的で
二院制がとられている。

しかし,衆議院と参議院をまったく対等とすると,
著しい不都合が生じるおそれがある。

とくに,衆議院は与党が多数を占め,
参議院は野党が多数を占めるという「ねじれ国会」のもとでは,
与党の過半数で衆議院を通過した法案が,
参議院で野党によって否決されることが多くなる。

このような状態が続くと国の政治は停滞してしまうことになる。
予算の議決や内閣総理大臣の指名などの場合,
衆参が対立したまま,いつまでも決着がつかないではすまされない。

そこで,憲法は,法律の制定,予算の審議・議決,
内閣総理大臣の指名などについて,
衆議院の優越を定めている。

衆議院のほうが任期が短く,解散もあって
世論を敏感に反映しやすいという理由から,
衆議院のほうに優越した地位を与えたのである。

 任期・被選挙権・定数


 定足数・議決

会議を開いたり議決したりするために必要な議員の出席数を
定足数という。

本会議の定足数は総議員の3分の1以上である。
また,委員会の定足数は半数以上である。

 国会の種類
 


毎年1月中に必ず通常国会(常会)が開かれる。
ここでは主として,4月から始まる新年度の予算が審議される。

会期は150日間とされ,予算成立後は,法案審議を進める。
6月中ごろに会期が迫るが,その際,1回の会期延長が可能である。

その後,国会は夏休みをへて,
秋から臨時国会(臨時会)が開かれる。

臨時国会は内閣が必要と認めたときか,
あるいはいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときに
召集されることになっている。

しかし,実際には毎年9月ごろに開かれている。
ここでは,もっぱら法案審議が中心になる。
会期は不定だが,2回まで延長が可能である。



 [要点-国会の仕事]
 
(1)
法律案国会議員または内閣によって,どちらかの議院に提出される。
提出された法律案は,専門の委員会で審議され,場合によっては専門家や国民の意見を聞く公聴会が開かれることもある。

その後法律案は,本会議に移されて審議・議決が行われる。
可決されれば,他の議院に送られ,同じ手続きを経て,先議の議院と同様に可決されれば法律となり天皇によって公布される。

(2)
法律の制定以外の国会の仕事としては,税金などを財源とする予算の審議と議決,内閣が外国との間で結んだ条約の承認内閣総理大臣の指名内閣不信任案の議決(衆議院のみ)憲法改正の発議,裁判官をやめさせるかどうかを決める弾劾裁判所の設置などがある。

また,国会は証人を呼んだり記録を提出させたりする国政調査権をもつ。

 国会の仕事-法律の制定①:過程



法律案は国会議員または内閣によって,
どちらかの議院に提出される。

法律案はほとんどの場合内閣から提出される。
議員提出の法律案を,特に議員立法という。

提出された法律案は,専門の委員会で審議され,
場合によっては専門家や
国民の意見を聞く公聴会が開かれることもある。

その後,法律案は,本会議に移されて審議・議決が行われる。
委員会や本会議で法律案が可決されるためには,
出席議員の過半数の賛成が必要である。

可決されれば,他の議院に送られ,同じ手続きを経て,
先議の議院と同様に可決されれば
法律となり天皇によって公布される。

 委員会

膨大な法案をいちいち本会議にかけて
一から審議する時間的余裕がないため,
各分野の専門の委員会をそれぞれ作り,
事前に専門性を有するそれらの委員会で検討し,
内容をある程度につめて,
審議の効率化を図っている。

委員会は国会内に作られるもので,
委員会のメンバーは当然,国会議員たちである。

国会議員は,必ずどこかの委員会に属さなくてはならない。
委員会で必要に応じて,
専門家や国民の意見を聞くために公聴会が開かれることがある。

 法律の制定②:衆議院の優越



法律案が,衆議院で可決されて,参議院で否決された場合,
衆参両議院の代表者による両院協議会を開いて
意見の調整を行うことができる。
(法律案の場合は,
両院協議会を必ず開かなければならないわけではない。)

また,衆議院で出席議員の3分の2以上で再可決した場合は
法律が成立する。
なお,衆議院が可決した後,
参議院が国会休会中の期間を除いて
60日以内に議決しないときには,
衆議院は,参議院がその法律案を否決したものと
みなすことができる。

 予算の議決



予算案を提出できるのは内閣のみである。
法律と違って議員が提出することはできない。

予算の原案は財務省が作成し,内閣が国会に予算案を提出する。
予算はまず衆議院に提出される。これを予算の先議権という
(法律案の場合は,衆議院,参議院のどちらに先に提出してもかまわない)。

衆議院では,まず予算委員会で審議・議決を行った後,
本会議で審議・議決を行う。
衆議院で可決された予算案は参議院へ送られる。

参議院でも予算委員会→本会議と審議・議決がおこなわれる。
予算案の議決について,憲法60条2項は
「予算について,参議院で衆議院と異なった議決をした場合に,
法律の定めるところにより,
両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき,
又は参議院が,衆議院の可決した予算を受け取った後,
国会休会中の期間を除いて30日以内に,議決しないときは,
衆議院の議決を国会の議決とする。」
と衆議院の優越を定めている。

予算や内閣総理大臣の指名については,
否決されたままではすまされない重要事項なので,
法律案の場合よりも,衆議院の優越を強くしている。

 衆議院の優越:法律・予算その他


 衆議院の優越:法律・予算その他



 国政調査権

国政調査権は,
内閣などが行う国政を調査するために,
記録の提出や証人の出頭などを要求できる権利である。

内閣の政治をチェックしたり,
国の政治全般に対して調査したりする権限で,
これにより行政権を持つ内閣を抑制することができる。

また,調査結果や証人の答弁などをしっかりと公開すれば,
国民の知る権利にも応えることになる。

国会は,裁判官が非行や法律違反を犯したときに
裁判官を弾劾裁判によって罷免することができる。
両議院で選ばれた各7名(計14名)で組織される。
戦後,これまでに7回開かれ5人が罷免されている。

 憲法改正



憲法は国の基本法であり最高法規であるので,
軽々しく改正を行うべきではない。
憲法の改正に慎重な手続きが定められているのはこのためである。

まず,内閣または国会議員が憲法改正案を提案し,
衆議院・参議院の各議院において,
総議員の3分の2以上の賛成で国会が憲法改正を発議する。
(法律案であれば,「出席議員」の過半数で可決されるが,
憲法改正は「総議員」の「3分の2以上」と,
成立のための条件を厳しくしている。)

次に,憲法改正の可否について,
国民投票を行い,その過半数の賛成があれば憲法改正が成立する。

国民投票を行うのは国民の意思を直接反映するためである。
法律であれば,間接民主制の原則によって,
通常,国民が選んだ議員によって構成される
国会の議決のみで法律が成立する。

しかし,憲法改正は非常に重要なので,
さらに,国民投票を実施して直接,
主権者である国民の意思を反映させる
直接民主制の考え方が取り入れられている。

憲法改正が成立したときは,
天皇が国民の名で公布する。

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 内閣
 [要点-内閣の組織と議院内閣制]
 
(1)
法律や予算にもとづいて政治を行うことを行政という。
その最高機関は内閣で,長たる内閣総理大臣国務大臣で構成され,閣議で方針を決定する。
内閣総理大臣は,国会議員の中から国会が指名して,天皇が任命する。
国務大臣は内閣総理大臣が任命するが,その過半数は国会議員でなければならない。

(2)
内閣は国会の信任のもとに成り立ち,国会に対して連帯して責任を負う。
これを議院内閣制という。
衆議院が内閣不信任を決議したとき,内閣は総辞職するか10日以内に衆議院を解散しなければならない。
衆議院が解散されたときは,40日以内に総選挙をおこない,選挙の日から30日以内特別会(特別国会)を開く。
この国会では,まず内閣総理大臣の指名を行う。

 議院内閣制の意義



内閣総理大臣(首相)は,
国会議員の中から国会が指名して,
天皇が任命する。

衆議院で多数をしめる政党の党首が
内閣総理大臣に指名されることが多い。

国民が直接内閣総理大臣を選ぶのではなく,
国民が選挙によって選んだ議員で構成される国会が
内閣総理大臣を選ぶ制度をとっている。

すなわち,国民主権は,
国民→国会→内閣(総理大臣)と,
国会を通して間接的に働くことになる。

内閣は,国民を背景にもつ国会に対して連帯して責任を負うが,
これは,国民→国会→内閣という国民主権の原理の当然の帰結である。

したがって,内閣が国会の信任を失えば,
存続の基礎を失うことになる。

衆議院は内閣の行う行政が信頼できなければ
内閣不信任の決議を行うことができる。

このように,内閣が国会の信任にもとづいて成立し,
国会に対して連帯して責任を負う制度を
議院内閣制という。

 内閣総理大臣の指名・任命



内閣総理大臣(首相)は,国会議員の中から国会が指名する。
国会議員であれば衆参どちらの議員でもかまわない。

衆議院と参議院が異なった議決をしたときは,
まず両院協議会が開かれる。

両院協議会を開いても意見が一致しないときは,
衆議院の議決が国会の議決になる。

国会の指名にもとづき,天皇が任命する。

 国務大臣の任命



内閣を構成する国務大臣は内閣総理大臣が任命する。
(国会の承認,天皇の任命などは不要である。) 

また,内閣総理大臣は任命した国務大臣を自由に罷免できる。
憲法が内閣総理大臣にこのような強い権限を与えているのは,
内閣におけるリーダーシップを発揮できるようにするためである。

国務大臣選任には2つの条件がある。
1つは,選任される国務大臣の過半数が国会議員であることである。
逆に言えば,国会議員以外から国務大臣を選ぶことができる。

条件の第2は,国務大臣は文民(軍人でない人)でなければならないことである。
例えば,自衛隊の将官を防衛大臣に任命することは憲法上許されない。

行政の運営についての議事は閣議で行われ,
閣議の決定は全会一致で行われ,普通は秘密会である。

内閣総理大臣は,全会一致にならない場合,
必要があれば,意見の合わない大臣を罷免できる。

 不信任決議



内閣は行政権の行使について
国会に対して連帯して責任を負っている(議院内閣制)。

衆議院は内閣の行う行政が信頼できなければ
内閣不信任の決議を行うことができる。

憲法は69条で
「内閣は,衆議院で不信任の決議案を可決し,
又は信任の決議案を否決したときは,
10日以内に衆議院が解散されない限り,
総辞職しなければならない。」
と定めている。

衆議院が内閣不信任を決議したときは,
「国民→国会→内閣」という関係がくずれるので,
内閣は存続の基礎を失うことになる。

不信任をつきつけられた内閣が行うべき一つの方法は
総辞職である。
総辞職を行った場合,国会が新しい内閣総理大臣を指名することになる。

もう一つの方法は,逆に,衆議院を解散することである。
「国民→国会→内閣」という関係からすれば,
おかしいような感じがするかもしれないが,
解散後行われる総選挙によって
主権者たる国民の審判を受けることができるので,
国民主権の観点からは,むしろ好ましいといえる。

衆議院が解散されてから40日以内に衆議院議員総選挙が行われる。
そして,選挙後30日以内に特別国会が開かれる。
この時点で,もとの内閣は総辞職を行う。

特別国会では,新しい内閣総理大臣が指名される。
戦後,内閣不信任案が可決されたのは,
1948年(第2次吉田内閣),
1953年(第4次吉田内閣),
1980年(第2次大平内閣),
1993年(宮澤(みやざわ)内閣)
の4回だけである。

その4回とも,総辞職ではなく,衆議院の解散が行われた。
いっぽう,内閣も,内閣不信任決議が可決された場合に限らず,
国民の意思を問う必要がある場合には,
衆議院の解散を行うことができる。

 [要点-内閣や行政の仕事・行政改革]
 
(1)
内閣の仕事としては,
①法律案や予算を作成して,国会に提出する,
②外交に関する事務を行い,外国と条約を結ぶ,
③天皇の国事行為に対する助言と承認を行う,
④法律や予算を執行し,それに必要な政令を定める,などがある。

(2)
おもな省庁としては,
①教育などの仕事を行う文部科学省,
②道路,河川,鉄道,海上保安,気象)などの仕事を行う国土交通省,
③国の予算の原案作成,税の徴収などの仕事を行う財務省,
④国の対外的な仕事を行う外務省,
⑤社会保障や,保健・衛生を担当する厚生労働省,
⑥自然の保全・整備,公害規制を行う環境省などがある。

(3)
公務員(国家公務員と地方公務員)は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。
幼稚園と保育園など,見た目は似た施設であっても担当する役所が分かれている縦割り行政や,公務員が退職後に関連企業に再就職する天下りが問題になっている。

(4)
政府の役割については,「小さな政府」と「大きな政府」という考え方がある。
現在の日本では,簡素で効率的な行政をめざす行政改革が進められている。

その具体的内容としては,
①許認可権を見直して規制緩和をはかる,
②公務員の数を減らして行政組織を効率化する,
事業の民営化をはかって財政を再建するなどがある。

 内閣と行政

国会が定めた法律や予算にもとづいて
政治を行うことを行政という。

行政の仕事を全体として責任をもってまとめていく機関が
内閣である。

憲法65条に「行政権は,内閣に属する。」とある。



法律や予算にもとづいて政治を行うことを行政という。
行政の仕事を全体として責任をもってまとめていく機関が内閣である。

内閣は,長たる内閣総理大臣と国務大臣で構成され,
閣議で方針を決定する。

閣議での決定は全会一致で行われる。

 内閣のしごと
 


 各省庁

2001年には中央省庁が,
それまでの1府22省庁から1府12省庁に再編成された。
代表的な省庁をあげると,次のようになる。





 公務員



行政機関で働く職員を公務員という。
公務員には,中央省庁ではたらく国家公務員と,
地方公共団体で働く地方公務員がある。

憲法15条2項は,
「すべて公務員は,全体の奉仕者であって.
一部の奉仕者ではない。」と定めている。

 行政改革・規制緩和



社会が発展していくにつれて,行政の仕事も増えて複雑になってきた。
行政機関の人員や権限は年々大きくなり,
法律の立案や実施においても,
専門の行政機関が定める命令や規則にゆだねられるなど,
行政機関にたよる度合いが高まっている。

こうした行政権の肥大化がすすむと,政治上の重大な決定が,
事実上行政機関にゆだねられてしまい,
誰が政治の最終決定権を持つ主権者かわからなくなってしまうおそれもある。

さらに,行政権の肥大化は,
行政費用の増大と非効率化をもたらし,財政赤字の一因にもなる。
こうした現状に対応するため,
1980年代から次のような行政改革が行われている。

1) 行政組織の簡素化
 公務員を減らし,行政組織の簡素化(スリム化)をはかるため,
 2001年には中央省庁が,
 それまでの1府22省庁から1府12省庁に再編成された。
 また,地方分権の推進にも力を入れている。

2) 公団・公社などの民営化
 現在のJRはかつては日本国有鉄道(国鉄)という公企業で,
 毎年巨大な赤字を出し,国の財政にとって大きな負担になっていた。
 民間企業の場合,業績が悪化すると倒産するおそれがあるため,
 生き残りをかけてコスト削減のための
 合理化・効率化をたえず行うのが普通である。

 公企業は国が背後にあって倒産する心配がないため,
 このような企業努力が行われにくく,
 効率や採算を無視した運営になりやすい。
 
 1980年代に,日本国有鉄道はJRに,電信電話公社はNTTに,
 専売公社はJTとして民営化された。

 最近では,道路公団が民営化され,
 さらに,2007年には郵政事業の民営化が行われた。
 また,国立大学・美術館・博物館・研究所などを
 国の直営の組織から切り離して独立行政法人へと改めることも行われた。

3) 規制緩和
 日本はこれまで,
 「政府による細やかな規制や指導によって国民生活を守る」
 という方針をとってきた。
 しかし,最近では
 「規制を少なくし, 自由な競争を進めた方が国民の利益になる」
 との考え方が強くなっている。

 そこで,許認可権を見直して規制緩和をはかるなどの施策が
 進められている。
 (規制緩和の例:米の販売を免許制から登録制に変え,
 誰でも米の販売ができるようになった。)
 
 また,行政手続きを公正なものにするため,
 行政手続法が定められた

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 裁判所
 [要点-裁判所・三審制・司法権の独立]
 
(1)
裁判所には,全国に1つ置かれる最高裁判所と,
高等裁判所(全国 8つの主要都市に設置)
地方裁判所(各都道府県に 1つずつ(北海道は4つ))
家庭裁判所(家庭内の争いや未成年者の事件)
簡易裁判所(軽微な事件をあつかう)の4つの下級裁判所がある。

(2)
裁判を慎重に行うために三審制が取られている。
第一審の判決に不服があれば,第二審の上級裁判所控訴することができる。
さらに第二審の判決に不服のときは第三審上告を行うことができる。

法律や行政処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を違憲審査権という。
とくに最高裁判所は最終判断を下すので,憲法の番人と呼ばれている。

(3)
公正な裁判を行うためには,裁判所が国会や内閣など他の権力から圧力や干渉を受けないことが必要である。
これを司法権の独立という。

憲法72条は「すべて裁判官はその良心に従ひ独立してその職権を行なひ,この憲法および法律にのみ拘束される。」と定めている。
裁判官は心身の故障,あるいは公の弾劾によらなければ,やめさせられることはない。

 裁判所の種類・三審制-裁判所の種類①:最高裁判所と下級裁判所



法にもとづいて争いを解決することを裁判または司法という。

憲法76条1項は,
「すべて司法権は,最高裁判所及び法律の定めるところにより
 設置する下級裁判所に属する。」
と定めている。

裁判所は,大きく,最高裁判所と下級裁判所に分けることができる。
最高裁判所は1つである(東京都千代田区にある)。
最高裁判所は15名の裁判官から構成されている。

下級裁判所には,
①高等裁判所(東京・大阪・名古屋・広島・福岡・高松・
 仙台・札幌の 8つの都市に設置)

②地方裁判所(各都府県に 1つずつ,北海道は4つ,合計50か所)

③家庭裁判所(合計50か所)

④簡易(かんい)裁判所(全国で438か所)の4つがある。

なお,近年急増している特許や著作権に関する訴訟の
迅速な裁判を実現するために,
2005年に知的財産高等裁判所が新設された。

 裁判所の種類②:第一審の裁判所



裁判の第一審は,
地方裁判所,家庭裁判所,簡易裁判所のいずれかで行われる。

未成年者の刑事事件,家庭内・親族間の民事上の争いは
家庭裁判所が第一審になる。

140万円以下の民事事件,罰金刑以下の刑事事件の場合は,
簡易裁判所が第一審になる。

それ以外は,地方裁判所が第一審になる。

 三審制①:控訴と上告



国民は,同じ事件について3回まで裁判を求めることができる。

すなわち,第一審の判決に不服があれば,
第二審の上級裁判所へ控訴することができる。

さらに第二審の判決に不服のときは
第三審へ上告を行うことができる。

これを三審制というが,
その目的は慎重な裁判によって人権を守るためである。

第一審が地方裁判所の場合,
(第一審:地方裁判所)
→控訴→(第二審:高等裁判所)
→上告→(第三審:最高裁判所)
となる。

 三審制②:図示解説



5つの裁判所を上のような図で表したとき,
最上段に最高裁判所,
2段目に高等裁判所,
3段目に地方裁判所と家庭裁判所が並べて配置される。
(地方裁判所と家庭裁判所は原則として各都道府県に1つずつ置かれる(50か所))。

最下段には軽微な事件を扱う簡易裁判所(全国で438か所)がくる。

民事事件で簡易裁判所が第一審の場合,
第二審(控訴審)は地方裁判所になるので,
簡易裁判所は地方裁判所の下に描かれる。

 司法権-司法権の独立



①公正な裁判を行うためには,
 裁判所が国会や内閣など他の権力からの圧力や
 干渉を受けないことが必要である。
 これを司法権の独立という。

 憲法76条3項は
 「すべて裁判官はその良心に従い独立してその職権を行ない,
  この憲法および法律にのみ拘束される。」と定めている。

②司法権の独立を確かなものにするため,
 裁判官の身分は保障されており,
 国会が行う弾劾裁判,心身の故障,
 国民審査以外では罷免(ひめん)されない。

 裁判官の選任と罷免
 


最高裁判所長官は内閣が指名し,天皇が任命する。

最高裁判所のその他の裁判官および下級裁判所の裁判官は
内閣が任命する。

国民主権との関係でいえば,
国民→(選挙)→国会→(指名)→内閣→(指名・任命)→裁判官 と
国民の意思は間接の間接にはたらく。

なお,内閣は裁判官の指名や任命を行うが,
裁判官を罷免する権限はない。
これは,司法権の独立からは当然のことである。



裁判官の独立を確保するために,裁判官の身分は保障されている。
①心身の故障,
②弾劾裁判,
③国民審査
の3つの場合以外では罷免されない。

① 心身の故障の場合
② 国会が行う弾劾裁判
国会は,裁判官が非行や法律違反を犯したときに
裁判官を弾劾裁判によって罷免することができる。

両議院で選ばれた各7名(計14名)で組織される。
戦後,これまでに7回開かれ5人が罷免されている。

③ 国民審査
裁判官は内閣によって指名または任命されるので,
国民主権は,国民→国会→内閣→裁判所と間接的にしか働かない。
憲法は,国民主権の立場から,
最高裁判所の裁判官がその職に適任かどうか審査する
国民審査を行うように定めている。

衆議院議員総選挙のときに国民の投票によって審査され,
その後は,10年たってからの総選挙ごとに審査される。
投票者の過半数によって,やめさせたいと判断された裁判官は
辞めなければならない。
(これまで,国民審査によって罷免された例はない)

 違憲審査権



法律や行政処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を
違憲審査権という。

最高裁判所が違憲審査権を発動して,
既存の法律を違憲であるとの判断を下した最初の判例は
刑法の尊属殺人の規定であった(1973年)。

かつて,刑法には通常の殺人罪のほかに尊属殺人罪というのがあった。
殺人罪が「人を殺したる者は死刑又は無期もしくは3年以上の懲役に処す」
と規定されているのに対し,
尊属殺人罪は「自己又は配偶者の直系尊属を殺したる者は死刑又は無期に処す」
とより厳しい処罰が定められていた。

 [要点-民事裁判・刑事裁判]
 
(1)
土地争いや金銭の貸し借りなどの争いについての裁判を民事裁判という。
国などに対して行う裁判は特に行政裁判という。

民事裁判では,裁判所に訴えた人を原告,訴えられた人を被告という。
民事裁判において,判決を待たずに双方が合意して円満に解決することを和解という。

(2)
犯罪の事実の有無を判断し,有罪であれば刑罰を科す裁判を刑事裁判という。
どのような行為が犯罪に当たり,処罰されるかについては,あらかじめ法律によって定められていることが必要である。
これを罪刑法定主義という。

(3)
逮捕を行うためには,現行犯の場合以外は裁判官の出す令状が必要である。
警察官から送致された被疑者を取り調べるのは検察官である。
被疑者には,黙秘権(答えたくない質問には答えなくてよい権利)と弁護人を依頼する権利がある。
拷問は禁止されており,拷問による自白は証拠とすることはできない。
検察官は取り調べの後,裁判所へ起訴する。

検察官が原告となり,訴えられた者が被告人となる。
被告人は,有罪の判決が出るまでは無罪と推定され,公平で迅速な公開裁判を受ける権利を保障されている。

 裁判の種類



裁判には刑事裁判,民事裁判,行政裁判の3つがある。

窃盗・強盗・殺人などの犯罪を犯したものを裁くのが刑事裁判である。

借金の返済請求,損害賠償請求,土地争い,相続をめぐる争いなど,
個人間の争いを裁くのが民事裁判である。

民事裁判には,個人の間の争いのほか,
国や地方公共団体を相手に争う裁判がある。
これを特に行政裁判という。



民事裁判で裁判所に訴えた人を原告,訴えられた人を被告という。

裁判官は両者の言い分をよく聞いて審理を進め,
法律にもとづいた判断をするが,
当事者同士の話し合いによって,
和解が成立することもある。

民事裁判には,個人の間の争いのほか,
国や地方公共団体を相手に争う裁判がある。
これを特に行政裁判という。

刑事裁判の場合の原告は検察官で,
警察官から送致された被疑者を取り調べる。
犯罪の疑いが確実になった場合,
検察官は被疑者を被告人として裁判所に起訴する。

その際,被告人の利益を守るために,
必ず弁護人が付くことになっている。
被告の経済的な理由などから,
弁護人をやとうことができないときは,
国が費用を負担して弁護人を選任することになっている。

裁判所は被告人が有罪か無罪かを決め,
有罪の場合には刑罰をいいわたす。

裁判に訴えられた人の呼び方は民事裁判と刑事裁判では異なる。
民事裁判では「被告」,
刑事裁判では「被告人」と呼ばれる。

 被告

裁判に訴えられた人の呼び方は民事裁判と刑事裁判では異なる。
民事裁判では「被告」,
刑事裁判では「被告人」と呼ばれる。

 和解

民事裁判が行われている途中でも,
当事者どうしの話し合いがつけば,
裁判をとりやめることができる。
これを和解という。

裁判のほかに,当事者が裁判所に調停を申し出て,
裁判官と民間の調停委員をまじえて,
話し合いによる解決をはかる場合もある。

また,裁判の途中で,裁判所が調停をすすめる場合もある。
和解や調停は民事事件に特有のものであり,
刑事事件では和解や調停はない。

 行政裁判

国や地方公共団体の違法行為によって権利がおかされたとき,
その行政処分の取り消しや損害賠償を求めて裁判をおこす場合がある。

この裁判は民事裁判の一種で,とくに行政裁判という。

 刑事裁判



検察官は警察官から送致された被疑者を取り調べ,
犯罪の疑いが確実になった場合,
検察官は被疑者を被告人として裁判所に起訴する。

このような刑事裁判では,
裁判所に訴える検察官が原告となる。
訴えられた被疑者は被告人となる。

刑事裁判では,被告人の利益を守るために,
必ず弁護人が付くことになっている。

裁判所は被告人が有罪か無罪かを決め,
有罪の場合には刑罰をいいわたす。

 捜査・逮捕上の人権保障



警察・検察の捜査によって人権が侵害されることがないように,
捜査活動を憲法等で厳しく制限している。

憲法33条は
「何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,
 権限を有する司法官憲(裁判官)が発し,
 かつ理由となる犯罪を明示する令状によらなければ,
 逮捕されない。」
と定めている。

また,憲法35条は,
住居内の捜索・押収にも裁判官の発する令状が必要であることを
定めている。
逮捕の場合の令状を逮捕令状,
捜索の場合の令状を捜索令状という。



警察や検察の捜査によって
人権が侵害されることがないように,
捜査活動を憲法等で厳しく制限している。

まず,逮捕を行うためには,
現行犯の場合以外は
裁判官の出す逮捕令状が必要である。

警察官から送致れた被疑者を
取り調べるのは検察官であるが,
憲法は拷問を禁止している。

被疑者には,
①黙秘権(自分に不利なことはいわなくてもよい権利),
②弁護人を依頼する権利,
③迅速な公開裁判を受ける権利
がある。

被告人は,有罪の判決を受けるまでは無罪と推定される。

 刑事裁判上の人権保障



刑事裁判は,犯罪の疑いのある者(被疑者)を,
検察官が原告となって裁判所に起訴したときに始まる。

刑事裁判は人に刑罰をあたえる裁判であるうえ,
被告人は,裁判で有罪が確定するまでは
真犯人かどうかわからないから,
被告人の人権は尊重される必要がある。

被告人の人権を保障するために,
次のような権利や原則がある。

1) 迅速な公開裁判を受ける権利

2) 弁護人を依頼する権利
 刑事被告人は,どのような場合でも弁護人をたのむことができる。
 貧困などで自分で弁護人を選任できない場合は,
 国が費用を出して弁護人をつける(国選弁護人)。

3) 罪刑法定主義
 罪刑法定主義というのは,どういう行為が犯罪になり,
 その行為に対してはどの程度の刑罰が科されるかを,
 あらかじめ法律で明確に定めておかなければならないという,
 近代刑法上の原則である。

4) 証拠裁判主義
 刑事裁判は証拠にもとづいて行わなければならない
 という原則である。
 疑わしいだけで,証拠がない場合には有罪にはできない。
 また,自白は,有力な証拠であるが,
 自白だけでは有罪とすることはできない。
 なお,被疑者や被告人には黙秘権があり,
 自分に不利なことを話すように強要されない。

 えん罪・再審・刑事補償



無実であるのに,犯罪者として扱われたり
有罪とされたりすることをえん罪という。

1つは,無実なのに逮捕・起訴されて刑事裁判にかけられ,
裁判の結果,無罪の判決が出た場合である。

もう1つは,裁判で有罪が確定したあとで,
新しい有力な証拠が出て,再審を請求し,
再審の裁判で無罪とされる場合である。
最近の事件としては,足利事件がある。

 補償

犯罪を犯して逮捕されて起訴されて刑事裁判にかけられたとする。
裁判の結果無罪判決を受けたときは,
国にその補償を請求することができる。

これを刑事補償請求権という。
補償の金額は,抑留または拘禁された日数に,
1日あたり最大1万2500円をかけた金額である。

いったん,有罪が確定したのと,
無実を証明する新たな証拠がみつかって
再審が認められて無罪になった場合も,
同様の刑事補償を請求できる。

 [要点-司法制度改革]
 
(1)
わが国の裁判には,費用と時間がかかることや,裁判官・弁護士・検察官がほかの先進国と比べて少ないなどの問題がある。
このような現状を改めるために,司法制度改革が進められてきた。

このうち,2009年からスタートした裁判員制度は,国内で選挙権のある人の中からくじで選ばれた裁判員が,地方裁判所で行われる刑事裁判の第一審に参加する制度である。
裁判の内容に国民の視点や感覚が反映されるようになり,司法に対する理解と信頼が深まることが期待されている。

(2)
無実なのに犯人とされることをえん罪という。
刑事裁判でいったん有罪の判決を受けた人が再審によって無罪になった例がある。

そこで,適正な捜査が行われたかどうかを事後に確認できるように,取り調べの一部を録画・録音する,取り調べの可視化が始められている。

 司法改革-裁判員制度



裁判員制度は,
重大な刑事事件(殺人,傷害致死など)について,
選挙権を持つ国民から抽選で選ばれた裁判員が
裁判官といっしょに審理し,
被告人が有罪か無罪か,
有罪であればどのような刑罰がふさわしいかを決める制度で,
2009年から導入された。

裁判員制度が適用される事件は
地方裁判所で行われる刑事裁判(第一審)のうち,
殺人罪,傷害致死罪,強盗致死傷罪,現住建造物等放火罪,
身代金目的誘拐罪など,一定の重大な犯罪についての裁判である。

裁判員制度を導入した目的は,
国民の司法参加により市民が持つ日常感覚や常識といったものを
裁判に反映するとともに,
司法に対する国民の理解の増進と
その信頼の向上を図ることとされている。

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 三権分立
 三権分立



三権分立とは,
国の権力を国会,内閣,裁判所という独立した機関に担当させ,
お互いに抑制しあい,均衡を保つしくみで,
モンテスキューが「法の精神」の中で主張した。

① 内閣総理大臣の指名
  衆議院による内閣不信任の決議
② 衆議院の解散
③ 違憲審査権
④ 裁判官の指名・任命
⑤ 違憲審査権
⑥ 裁判官の弾劾裁判
⑦ 選挙 
⑧ 世論 
⑨ 国民審査
A 立法 B 行政 C 司法

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 地方自治
 [要点-地方自治]
 
(1)
都道府県と市(区)町村をまとめて地方公共団体(地方自治体)といい,地域に住む人々が,地域の政治を自分たちで行うことを地方自治という。

地方自治は民主主義の原点であることから「民主主義の学校」と呼ばれている。
地域の問題に国があまり関与しないで,できるだけその地域に住む住民の判断にゆだねるしくみを地方分権という。

1999年地方分権一括法が制定された。
地方公共団体の仕事としては,上下水道,ゴミの収集,消防,学校の運営などがある。

(2)
地方公共団体の議決機関は地方議会で,法律に違反しない範囲で条例を制定する。
行政の長である首長は,議会の決定に対する拒否権や,議会の解散権を持っている。
これに対して議会は,首長の不信任決議権を持っている。

(3)
地方自治では,住民が市長と地方議会の議員の2つの代表を選挙で選ぶ。
このようなしくみを二元代表制という。
都道府県知事の被選挙権は30歳以上で,市(区)長村長や地方議会の議員の被選挙権は25歳以上である。
任期はいずれも4年である。

 地方公共団体と地方自治



都道府県と市(区)町村を地方公共団体(地方自治体)という。
地方自治とは,
住民が自分たちの住んでいる地域を
自主的に治めることを意味する。

地方公共団体は,
身近な生活についての独自の地域に適応した条例を
法律の範囲内で制定できる。

憲法92条は
「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,
 地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定める。」
と定めている。

これにもとづいて制定された法律が地方自治法である。

 民主主義の学校



規模の大きくない地方政治は,
直接民主制が実現しやすく,
一般の人々が民主主義を学ぶには最高の場である。

この意味で,
イギリスの政治学者ジェームズ=ブライス(1838~1922)は
「地方自治は民主主義の学校」と表現した。

 地方分権



地域の問題に国(中央政府)があまり関与しないで,
できるだけその地域に住む住民の判断にゆだねるしくみを
地方分権という。

1999年にいわゆる地方分権一括法が制定され,
県や市(区)町村が国の下請け機関のようになっていた
中央)集権の性格を改めるため,
それまで国がやっていた仕事を,
各自治体にまかせるようになった。

例えば,「1クラスの児童生徒数」の決定権が
国から地方公共団体に移され,
地方公共団体が独自の判断で
「少人数学級」をつくることも可能になった。

また,2002年12月に構造改革特別区域法が成立し,
構造改革特区の制度が設けられた。

 地方公共団体のしくみ-首長

地方公共団体の執行機関(行政)の長を首長という。
都道府県の首長は都道府県知事で,
市(区)町村の首長は市(区)町村長である。




首長(都道府県知事,市(区)町村長)は
いずれも住民の直接選挙で選ばれる。

都道府県知事の被選挙権は30歳以上,
市(区)町村長の被選挙権は25歳以上である。

住民の直接選挙で選ぶという点で,
国の行政権の長である内閣総理大臣の選出方法と
異なっている。

 首長と地方議会



地方公共団体の議決機関は地方議会である。
地方議会には都道府県議会と市(区)町村議会がある。

これらの地方議会は,住民の直接選挙で選ばれた議員から構成される。
議員の被選挙権は25歳以上で,任期は4年である。

地方議会は,地域の実情や住民の意思を生かして予算を決め,
決算を承認し,地方税の率や公共料金などを定め,
条例の制定や改定,廃止などを行う。

議会や議事録は原則として公開されており,
住民は誰でも自分たちの意志を生かした決定がなされているかを
確かめることができる。

行政を行うのが執行機関で,
その長を首長(都道府県知事と市(区)町村長)という。首

長の補助機関として,都道府県知事の下には副知事,
市(区)町村長の下には副市(区)長村長が置かれている。

首長から独立した機関としては,
監査委員と,公安委員会(警察関係)・教育委員会(教育関係)・
選挙管理委員会(選挙関係)などの行政委員会が置かれている。

 不信任決議・再議請求権
 


国政の場合と同様に地方議会は
首長の不信任決議をすることができる。

議会の不信任決議がなされた場合,
首長は10日以内に議会を解散することができる。

10日以内に議会を解散しないとき,
または,解散後はじめての議会で
ふたたび不信任の議決を受けたときは,
首長は辞職しなければならない。

首長は,議会が決めた条例や予算に反対のときは,
10日以内に,その理由をつけて
審議のやり直しを求めることができる。
これを再議請求権という。
(内閣の場合はこのような権限はない。
すなわち,国会が議決した法律を拒否したり,
審議のやり直しを求めたりすることはできない。)

 地方公共団体の仕事
 


地方公共団体の仕事としては,
① まちづくりの基礎になる,道路や河川,
 上下水道などの建設や管理
 (ただし,大河川や空港・港は国の管理) 
② ごみの収集や処理,保健所の設置・管理,消防・水防 
③ 学校の設置・運営,図書館・公民館の設置や運営 
④ 高齢者福祉や障害者福祉,介護保険の運営 などがある。

 [要点-地方財政]
 
地方公共団体の歳入をあげると,
①第一は住民から徴収する地方税で,これは自治体が自由に使える自主財源である。
②第二は税収入の不均衡を是正する目的で,国が地方公共団体に交付する地方交付税交付金
③第三は国から委託された仕事について国が交付する国庫支出金で,
④第四は住民への借金である地方債である。

 地方財政-歳入
 


地方公共団体の歳入は,
第一は
住民から徴収する地方税で,
これは自治体が自由に使える自主財源である。
地方税には,住民税,固定資産税,事業税などがある。

歳入の
第二は,
使い道を指定せずに国が地方公共団体に交付する
地方交付税交付金である。
これは,地方によって産業・経済のようすがちがい,
税収入にも大きな差があるので,
国税の一部を地方に回すことによって
地域間の不平等を小さくしていこうとするものである。

第三は
国から委託された仕事について
国が交付する国庫支出金である。
国から委託された仕事には,義務教育,社会保険事務,
公共事業などがある。
国庫支出金は,地方交付税交付金と違い,
使いみちが指定されている。

第四は
住民への借金である地方債である。
統計:「日本国勢図会2011/2012年版」P381

 地方財政の問題点
 


地方財政の問題点は,
自主財源である地方税による収入が十分でなく,
国からの補助である地方交付税交付金や
国庫支出金にたよっている点である。

財源が不足し,その多くを国に依存している現状では,
その地域独自の政策を行うことが難しい。

地方分権をすすめるためには,
自主財源の割合を増やす必要がある。

 市町村合併
 


「平成の大合併」によって,
1999年の段階で3200あまりあった市町村が,
現在(2012年1月)では約1719に減少した。

市町村合併の最大の目的は,
合併によって自治体の財政基盤を強化することである。

今後さらに高齢化が進み,
それに対応する福祉のための費用が増大していくと予想されている。
この負担増に耐えていくためにも,
財政基盤を強化しておくことが必要である。

政府にも地方分権の一歩にしたいとの考えがある。
国の行政スリム化を行うためには,
地方にできるものは地方へ権限を移すことが必要であるが,
そのためには,地方の財政力を強化する必要がある。

市町村合併の可否について,
住民の意見を聞くための住民投票を実施した市町村もある。
また,不便になったり,昔ながらの社会が大きく変わったり,
住民の意見が届きにくくなるなどの理由から
合併を見送った市町村もある。

 直接請求権・住民投票-直接請求権①:種類
 


通常,地方の政治も,
住民が選挙で選んだ首長や議員によって行われる
代議制(間接民主制)がとられている。

しかし,一定数の署名によって,
条例の制定などを地方公共団体に
直接求める直接請求権が保障されている。

条例の制定・改廃請求と監査請求のための署名数は,
有権者総数の1/50以上と比較的ゆるやかである。

条例の制定・改廃の請求は首長に対して行い,
首長は20日以内に議会を招集して採決にかけなければならない。

監査請求は監査委員に対して行い,
監査委員は監査を実施して,
その結果を発表しなければならない。

議会の解散請求と首長や議員の解職請求は,
いったん選挙で選んだ者の職を奪うものであるので,
必要な署名数は,有権者総数の1/3以上と,
かなり厳しい条件がつけられている。

 住民投票
 


住民投票が行われるのは,次の3つの場合である。

① 国会が特定の地方公共団体だけに適用される法律(特別法)をつくるときは,
 住民投票を実施して,過半数の賛成を得なければならない。
 この手続きによって制定された特別法としては,
 広島平和記念都市建設法,長崎国際文化都市建設法,首都建設法などがある。

② 有権者の3分の1以上の署名で,
 議会解散請求や首長・議員の解職請求がなされたとき,
 その可否を問う住民投票が実施される。
 たとえば,市長の解職請求がなされると,
 選挙管理委員会は住民投票を実施する。
 住民投票の結果,過半数が解職に賛成であった場合,
 市長は解職される。
 その後,市長を選び直す選挙が実施される。

③ 最近では,産業廃棄物処理場の設置,原子力発電所の建設,
 市町村合併など,地域の重要な問題について
 住民の意思を問うための住民投票が行われるようになった。
 このタイプの住民投票を行うためには,
 まず,その住民投票を実施するための条例を
 制定しなければならない。
 ただし,住民投票の結果に法的拘束力はない。

 オンブズマン
 
オンブズマン制度は19世紀の初めにスウェーデンで生まれ,
20世紀中ごろから世界各地に広まった。

日本では,1990年に神奈川県の川崎市が初めて導入した。
川崎市では,市長が任命した3人のオンブズマンが
行政活動の監視を行っている。
主な職務権限は苦情処理である。

また、市民が自発的に行政の執行過程を監視しようとする
市民オンブズマンの活動が注目を集めている。
地方公共団体が国の職員を接待したりする官官接待の問題や,
職員の食料費や出張費の公開などを通して,
地方公共団体の不適切なお金の使い方を追及したのも,
この「市民オンブズマン」である。

 NPO
 
NPOとは,Not-for-Profit(利益) Organization(組織)の略称で,
ボランティア活動など,
利益を得ることを自的とせずにつくられた組織のことである。

行政に頼らず,地域のための活動を独自に行う
非営利組織などがある。

1995年の阪神・淡路大震災を契機に市民活動団体,
ボランティア団体等で法人格の必要性がクローズアップされ,
市民活動団体の法人格取得を容易にするため,
1998年に特定非営利活動促進法が制定された。

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