国語古文(文法)

 助詞の用法 助動詞の用法  助動詞の意味の判断  識別(動詞・助動詞・助詞) 
 陳述の副詞  係り結び  打消の表現  

助詞の用法
格助詞「の」 主格(主語を示す)(・・・ガ、・・・ハ)
降りたるは、いふべきにあらず。
(雪降っている朝は、言うまでもない。)
連体格(連体修飾)(・・・ノ)
祇園精舎鐘の声、諸行無常の響きあり。
(祇園精舎鐘の音には、諸行無常の響きがある。)
同格(・・・デ)
若き女、死にて臥したりあり。
(若き女、死んで横たわっているのがいる。)
準体言(・・・ノモノ)
草の花はなでしこ。唐はさらなり。
(草の花はなでしこがいい。中国のものは言うもでもない。)
比喩・例示(・・・ノヨウナ、・・・ノヨウニ)
一夜の夢心地こそせめ。
(一夜の夢のような気持がするだろう。)
接続助詞「ば」 順接仮定条件=未然形+ば(モシ・・・ナラバ)
春まで命あら、必ず来む。
(春まで命があるならば、必ず来よう。)
順接確定条件=巳然形+ば
 ①原因理由(・・・ノデ、・・・カラ)
 風波やまね、なお同じ所にあり。
 (風波がやまないので、やはり同じ所にいる。)
 ②必然的なつながり(・・・ト必ズ、・・・トイツモ)
 老いぬれさらぬ別れのありといへば
 (年をとると必ず避けられない別れがあるというから。)
 ③偶然的なつながり(・・・ト、・・・タトコロ)
 見渡せ花も紅葉もなかりけり
 (見渡してみる桜の景色も紅葉の景色も何もないことよ)
接続助詞
「が・に・を」
単純な接続(・・・ト、・・・タトコロ、・・・ガ)
寄りて見る、筒の中光たり。
(近寄ってみる、筒の中が光っている。)
原因理由(・・・ノデ、・・・カラ)
あまりに憎き、その法師をばまづ斬れ。
(余りに憎らしいので、その法師をまず斬れ。)
逆接(・・・ノニ、・・・ケレドモ、・・・ガ)
神無月晦日なる、紅葉散らで盛りなり。
(十月の末であるのに、紅葉は散らないでまだ盛りである。)
副助詞「だに」 類推(・・・サエ)
光やあると見るに、蛍ばかりの光だになし。
(光があるかと見てみると、蛍ほどの光さえない。)
最小限の限定(セメテ・・・ダケデモ)
散りぬとも香をだに残せ
(散ってしまったとしても、せめて香りだけでも残せ。)
終助詞「願望」 未然形+なむ=他のものにあつらえ望む願望(・・・シテホシイ、・・・シテクレナイカナア)
いつしか梅咲かなむ
(早く梅が咲いてほしい。)
未然形+ばや=自己の願望(・・・シタイ)
ほととぎすの声たづねに行かばや
(ほととぎすの声をたづねに行きたいものだ。)
種々の語+もが・もがも・がな・もがな(・・・ダッタラナア、・・・ガアッテホシイ)
いかでこのかぐや姫を得てしがな。
(何とかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだ。)
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助動詞の用法
過去 き=体験過去
京より下りし時に、みな人子どもなかり
(京から下ったときには、誰もみな子供がいなかっ。)
けり=①伝聞過去、 ②詠嘆(和歌、会話文の中・なりけり)
①今は昔、竹取の翁という者ありけり
(今ではもう昔のこと、竹取の翁という者がいたそうだ。)
②「今宵は十五夜なりけり
(「今宵は十五夜だったのだなあ」)
完了 つ・ぬ=①他動詞+つ(動作的・作為的完了)、②つ・ぬ+推量系の助動詞(強意)、③・・・つ、・・・ぬ(並列)
①そこに日を暮らし
(そこで一日を過ごし。)
②潮満ちぬ。風も吹きべし。
(潮が満ちた。きっと風も吹くだろう。)
③浮き沈み揺られければ
(浮いたり沈んだりして揺られたので)
たり・り=存続(テイル)・完了
丘だちたる所に、ただ木ぞ三つ立てる。
(丘のようになっている所に、ただ木が三本立っている。)
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助動詞の意味の判断
「る・らる」 モノは受け身の主語にならない
などかう暑きに、この格子は下ろさたる。
(どうしてこんなに暑いのに、この格子を下ろしておられるのか。)
可能の場合は下に打ち消し語を伴う
恐ろしくて、寝も寝られず。
(恐ろしくて、まったく眠ることもできない。)
下に「給う」があったら尊敬ではない
なきことによりて、かく罪せられ給う。
(無実の罪によって、このように罰せられなさる。)
上に尊敬語や謙譲語があったら尊敬
「かくなむ」と仰せらる
(「こうこうだ」と仰せになる。)
単独でも尊敬になる
甲も脱いで捨てられけり。
(甲も脱いで捨てになった。)
自発は「思いやる・思い出づ・嘆く・思う」など心情を表す語につくことが多い。
今日は京のみぞ思いやらるる
(今日は都のことばかりが思わてならない。)
「す・さす」 単独で用いられれば、必ず使役
妻の媼にあづけて養は
(妻であるおばさんに預けて育てさせる。)
尊敬の場合は、下に尊敬語を伴う
主上は、今年八歳になら給う。
(帝は、今年八歳になりになる。)
下に謙譲語では、使役
いらへさせたてまつらむ。
(答えさせ申し上げよう。)
下に「給う」があっても使役のこともある(使役の対象の「・・・に」があることが多い。)
女房にも歌詠ま給う。
(女房にも歌を詠まなさる。)
「む」 主語が一人称の場合は意志・勧誘が多い。
主語が二人称の場合は適当・勧誘が多い。
主語が三人称の場合は推量・勧誘が多い。
願がわくは花のもとにて春死な
(私はできることなら花の下で春に死の
疑問の語がある場合は推量
いかでか知ら
(どうして知っているだろうか。)
会話文中の「こそ・・・め」は適当・勧誘が多い
「花を見てこそ帰り給は
(「花を見てからお帰りになるがよい」)
「・・・てむ(や)、・・・なむ(や)」の形も適当・勧誘が多い。(「て・な」は強意の「つ・ぬ」の未然形)
「はや帰らせ給ひな
(「早くお帰りになるのがよい」)
婉曲とは断定を避けて和らげる表現のこと
月の出たら夜は、見おこせ給へ。
(月が出ているような夜は、月を見上げてください。)
仮定・婉曲は連体形の「む」のみ
①む+体言=婉曲(・・・ヨウナ)
②む+体言の省略+助詞=婉曲(・・・ヨウナ)
③む+助詞=仮定(・・・タラ、・・・テモ)
思は子を法師になしたらこそ心苦しけれ。
(大切に思うような子を法師にしたとしたらつらいことだ。)
「べし」 推量(・・・ダロウ、・・・ニチガイナイ)
この戒め、万事にわたるべし
(この教訓は、すべてのことに当てはまるであろう。)
意志(・・・ウ、・・・ヨウ、・・・スルツモリダ)
この一矢に定むべしと思へ。
(この一本の矢で決めようと思え。)
可能(・・・できる)
今日は日暮れぬ。勝負を決すべからず。
(今日は日が暮れた。勝負を決することができない。)
当然(・・・シナケレバナラナイ、・・・スベキダ)
人、死をにくなば、生を愛すべし
(人は、死を憎むならば、生を愛さねばならない。)
命令(・・・セヨ、・・・シロ)
頼朝が首をはねて、わが墓の前にかくし。
(頼朝の首をはねて、わしの墓の前にかけ。)
適当・勧誘(・・・スルノガヨイ、・・・シタラドウカ)
家のつくりやうは、夏をむねとすべし
(家の作り方は、夏を中心に考えるのがよい。)
予定(・・・スルコトニナッテイル)
舟に乗るべき所へわたる。
(舟に乗ることになっている所へ移る。)
反実仮想「まし」 反実仮想=事実に反することを仮想すること(モシ・・・ナラ・・・ダロウニ・・・)
鏡に色・形あらましかば写らざらまし。
(鏡にもし色や形があったらうつらないだろうに・・・。)
迷い・ためらい(・・・ヤ・・・マシ、イカニ・・・マシ)
しやせまし、せずやあらまし
(しようかなあ、しないでおこうかなあ。)
中世以降は単なる推量の例もある
花や今宵のあるじならまし
(桜の花が今夜の私をもてなす主人となるだろう
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識別(動詞・助動詞・助詞)
「に」の識別 完了の助動詞「ぬ」の連用形
に+き・し・しか(過去)=完了
に+けり・ける・けれ(過去)=完了
に+たり(完了)・けむ(過去推量)=完了
舟こぞりて泣きけり。
(舟の中の人はみな泣いてしまった。)
断定の助動詞「なり」の連用形
①に(+助詞)+あり(ラ変動詞「あり」・「あり」の尊敬語・丁寧語)=断定
②に(+接続助詞「て・して」=「デアッテ」と訳せることが条件
①これはもしや鬼やあらん。
(これはもしや鬼はないだろうか。)
②所狭き御身て、めづらしう思されけり。
(きゅうくつなご身分であって、めずらしくお思いになった。)
格助詞=「に」と訳せる(体言についていれば格助詞)
七日なりぬ。同じ港にあり。
(七日なった。同じ港にいる。)
接続助詞=「ニ」と訳せない。
法蔵の破れて侍る、修理して賜はらむ。
(宝蔵がこわれておりますので、修理していただきたい。)
ナリ活用の形容動詞の連用形活用語尾
黒き雲にはか出で来ぬ。
(黒い雲が急に出てきた。)
ナ変動詞「死ぬ・往ぬ」の連用形活用語尾
逃げて往けり。
(逃げて行ってしまった。)
副詞の一部(まことに・つひに・すでに・ともに・さらに・いかに・よに・げに 等)
まことさにこそ候ひけれ。
(本当にそうでございますなあ。)
格助詞「にて」の一部=「デ」と訳す
潮海のほとりてあざれあへり。
(海のほとりふざけ合っている。)
「なり」の識別 終止形+なり=伝聞(・・・ダソウダ、トイウコトダ)
終止形+なり=推定(・・・ヨウダ)
男もすなる日記といふものを
(男も書くとかいう日記というものを)
体言・連体形+なり=断定(・・・ダ、・・・デアル)
体言・連体形+なり=存在(・・・ニアル、・・・ニイル)
女もしてみむとてするなり
(女も書いてみようと思って書くのである。)
ラ変型活用語の連体形+なり
終止形・連体形が同じ四段・上一段・下一段
①係り結びの「結び」=伝聞・推定
②あンなり・なンなり・ざンなり=伝聞・推定
③音・声・うわさに関係がある=伝聞・推定
①鴨ぞ鳴くなる山かげにして
(鴨が鳴いているようだ、山かげで)
②物語といふもののあんなるを、いかで見ばや。
(物語があるというのを、何とかして見たいものだ。)
③先高う追う声すれば、「殿参らせ給うなり」とて
(先払いする声が高く聞こえるので、「殿が参上なさるようだ」と言って)
ナリ活用の形容動詞の活用語尾
こよなう年老いたるうたてげなる翁二人
(たいそう年老いた異様な感じがする老人が二人)
動詞「なる」
 なる(ラ・四段)(・・・ニ・ト)ナル
 鳴る(ラ・四段)(音ナドガ)鳴ル
 慣(馴)る(ラ・下二段)(慣レル・ウチトケル)
二十日あまり五日になりにけり
(二十五日になってしまった。)
「なむ」の識別 未然形+なむ=他にあつらえ望む願望の終助詞(・・・シテホシイ)
いつしか梅咲かなむ
(早く梅が咲いてほしい。)
連用形+なむ=強意の助動詞「な」+推量(意志)の助動詞「む」
髪もいみじく長くなりなむ
(髪もきっとたいそう長くなるだろう。)
その他+なむ=強意の係助詞(連体形で結ぶ係り結びをつくる)
名をばさぬきのみやつことなむいひける。
(名前をさぬきのみやつこと言った。)
死・往+なむ=ナ変動詞の未然形語尾+推量(意志)の助動詞「む」
死なば一所で死なむ
(死ぬのならば同じ場所で死のう。)
「な」の識別 な・・・そ(禁止)=陳述の副詞
見給ひ
(月を御覧になってはいけません。)
動詞・動詞型助動詞の終止形+な(文末)=禁止の終助詞
あやまちす。心して下りよ。
(失敗する。気をつけて下りろ。)
形容詞・形容動詞の終止形・体言・命令形・係り結びの結び+な(文末)=詠嘆の終助詞
花といはば、かくこそにほはほしけれ
(花と言うからには、このように匂ってほしいものだなあ。)
連用形+な=完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
その事果てば、とく帰るべし。
(その用事が終わっならば、早く帰るのが良い。)
「ぬ」の識別 打ち消しの助動詞「ず」の連体形
①未然形+ぬ+体言・断定の「なり」
②ぞ・なむ・や・か・・・ぬ(係り結びの結び)
①法師ばかりうらやましからものはあらじ。
(法師ほどうらやましくないものはあるまい。)
②日数のはやく過ぐるほどぞ、ものにも似
(日数が早く過ぎ去ることは、ものにたとえようもない。)
連用形+ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形
駿河の国に至り
(駿河の国に着い。)
連用形+ぬ+推量系の助動詞=強意の助動詞
風も吹きべし。
きっと風もふくだろう。)
「ね」の識別 打消の助動詞「ず」の巳然形
①未然形+ね+ど・ども・ば
②こそ・・・ね(係り結びの結び)
①雨風やまば、なほ同じ所にとどまれり。
(風雨がやまないので、やはり同じ所に止まっている。)
②色こそ見え、香やは隠るる
(色は見えいけれど、香りは隠れるだろうか)
完了の助動詞「ぬ」の命令形
①連用形+ね
②命令して言い切っている
①はや舟出だして、この浦を去り
(早く舟を出して、この浜辺から離れてしまえ。)
②玉の緒よ絶えなば絶え
(我が命よ、絶えるならば絶えてしまえ
ナ変動詞「死ぬ・往ぬ」の命令形活用語尾
「し」の識別 何かを「する」意味がある=サ変動詞の連用形(連用形語尾)
念仏て、海にぞ沈み給ひける。
(念仏を唱えて、海にお沈みになった。)
連用形+し+体言、助詞(ぞ・なむ・や・か)、係り結び=過去の助動詞「き」の連体形
継母なり人は、宮仕へせが下りなれば
(継母であっ人は、宮仕えしていのが田舎に下っ人なので)
取っても意味が変わらない=強意の副助詞(「・・・しも、・・・しぞ」の形が多い)
はるばる来ぬる旅をぞ思ふ
(はるばるやって来た旅をしみじみと思うことだ。)
体言+して=格助詞「して」の一部(方法・手段、使役の対象、動作の共同者などを示す
長き爪て、まなこをつかみつぶさむ。
(長い爪、目玉をつかみつぶしてやろう。)
連用形+して=接続助詞「して」の一部(=て)
行く川の流れは絶えずて、しかも・・・
(流れゆく川の水は絶えることはなく、しかも・・・)
「せ」の識別 何かを「する」意味がある=サ変動詞の未然形(未然形語尾)
まほしきこともえず。
たいこともすることができない。)
サ行下二段動詞の未然形・連用形語尾
高き木にのぼて、梢を切らせしに
(高い木にのぼらせて、梢を切らせたときに)
せば・・・まし(反実仮想)=過去の助動詞「き」の未然形
夢と知りばさめざらましを
(夢とわかっていならば、覚めなかったのに・・・)
四段・ナ変・ラ変の未然形(a段音)+せ=使役・尊敬の助動詞「す」の未然形・連用形
[中宮様は]笑は給う。
(お笑いになる。)
使役・尊敬の助動詞「さす」の未然形・連用形「させ」の一部
寝殿に鳶ゐさせじ。
(寝殿の屋根にトビをとまらまい。)
「る」の識別 四段・ナ変・ラ変の未然形(a段音)+る=受身・可能・自発・尊敬の助動詞「る」の終止形
いづれの舟にか乗らべき。
(どの舟にお乗りになるだろうか。)
サ変の未然形・四段の已然形+る、ぞ、なむ、や、か・・・る=存続・完了の助動詞「り」の連体形
丘だちたる所に、ただ木ぞ三つ立て
(丘のようになっている所に、ただ木が三本立っている。)
助動詞「る・らる」の一部
ありがたきもの、舅にほめらる婿
(めったにないもの、舅にほめられる婿)
用言・助動詞の活用した形の一部
さてもいくつにかなり給ひぬ
(ところで何歳におなりになったか。)
「れ」の識別 四段・ナ変・ラ変の未然形(a段音)+れ=受身・可能・自発・尊敬の助動詞「る」の未然形・連用形
「瓶氏倒れ候ひぬ」とぞ申さける。
(「とっくりが倒れました」と申し上げなさった。)
サ変の未然形・四段の已然形+れ、こそ・・・れ=存続・完了の助動詞「り」の已然形・命令形
事を知り、世を知れ
(事を知り、世の中のことを知っているので)
助動詞「る・らる」の一部
馬ひきかへして逃げらにけり。
(馬を引き返してお逃げになってしまった。)
用言・助動詞の活用した形の一部
いと近う召し入たるこそうれしけ
(すぐそばにお呼び入れいただいたのはうれしい。)
「らむ」の識別 終止形・ラ変連体形+らむ=現在推量の助動詞
ここにありし人は、まだやながむらむ
(ここに住んでいた人は、今ごろまだ物思いに沈んでいるだろうか。)
サ変未然形・四段已然形+らむ=完了の助動詞「り」の未然形「ら」+推量の助動詞「む」
心知れらむ人に見せばや
(情趣を解しているような人に見せたいものだ)
打消の助動詞「ず」の未然形「ざら」の一部+推量の助動詞の「む」
命ばかりは、などか生きざらむ
(命だけは、どうして助からないだろうか。)
ラ行四段・ラ変動詞の未然形語尾+推量・意志の助動詞「む」
憶良らは今はまからむ
(私、憶良めは、今はおいとましよう)
形容詞・形容動詞の未然形の一部+推量の助動詞「む」
山の紅葉は、いかにをかしからむ
(山の紅葉は、どんなにか美しいだろう。)
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陳述の副詞
陳述の副詞 え・・・打消=不可能(・・・デキナイ)
追ひつかで、清水のある所に臥しにけり。
(追いつくことができなくて、清水のある所に倒れてしまった。)
つゆ、さらに、よに、たえて、おほかた=打消(マッタク、少シモ、決シテ、イッコウニ・・・ナイ)
つゆまどろまれ
まったく眠ることができない。)
をさをさ・・・打消(ホトンド・メッタニ・ナカナカ・・・ナイ)
自らもをさをさ参らず
(自分でもめったに参上せず)
よも・・・打消推量(ヨモヤ・マサカ・・・ナイダロウ)
よも起きさせ給は
まさかお起きにならないだろう。)
いと・・・打消(タイシテ・アマリ・ソレホド・・・ナイ)
いとやんごとなききはにはあら
それほど高貴な家柄ではない方で)
な・・・そ=禁止(・・・スルナ、・・・シテクレルナ、・・・シテハイケナイ)
声高にのたまひそ。
(大声でおっしゃらないでください。)
ゆめ、ゆめゆめ・・・な、べからず、な・・・そ(決して、断じて・・・スルナ、シテハナラナイ)
ゆめゆめ人に語るべからず
決して人に語ってはならない。)
定めて・・・推量(キット・・・ダロウ)
定めて習ひあることに侍ら
きっといわれがあることでございましょう。)
いかで・・・推量(ドウシテ・・・ダロウカ)
いかで・・・願望(何トカシテ、ゼヒトモ・・・シタイ)
いかで過ぐすらんと、いと苦し。
どうして過ごしているだろうか、とても気の毒だ。)
いかでとく都へもがな
何とかして早く都へ帰りたいものだ。)
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係り結び
決まり ぞ・なむ(強意) → 連体形で結ぶ
山里は冬さびしさまさりける
(山里は冬がいっそうさびしさもまさることだ)
や・か(疑問、反語) → 連体形で結ぶ
いづれの山天に近き。
(どの山が天に近いか。)
こそ(強意) → 已然形で結ぶ
世はさだめなきこそいみじけれ。
(この世は無常であるからこそすばらしいのだ。)
疑問・反語の副詞 → 連体形で結ぶ(など・いかが・いかで・いかに 等)
いかがすべき。
(どうしたらよいだろうか。)
省略・流れ 結びの省略
①・・・にや、・・・にか → あらむ・ある・ありけむ・侍らむ・侍る 等が省略
②・・・にこそ → あらめ・あれ・侍らめ・侍れ 等が省略
③・・・とぞ、・・・となむ、・・・とや、・・・とか → いふ・聞く・思ふ・ある・見ゆる・語り伝ふる 等が省略
④・・・とこそ → いへ・聞け・見ゆれ・あれ 等が省略
①いかなる心ある人に(あらむ)
(どのような思慮深い人であろうか)
③かくなむ語り伝へたると(いふ)
(このように語り伝えているとかいうことだ。)
結びの流れ=係助詞を受ける結びの語に、別の語を接続させたために文が結び終わらなくなったもの
白き犬を愛してなむ、飼はせ給ひければ
(白い犬をかわいがって、飼っていらっしゃったので)
大切な係り結び やは、かは・・・連体形=反語
「翁丸か。このごろかかる犬やは歩く」
(翁丸かしら。このごろこんな犬が歩いているだろうかいやそんなはずはない。)
こそ・・・已然形、・・・=逆接で下へ続ける
こそ見えね香やは隠るる
(色は確かに見えないけれど、香りは隠れるだろうか、いや隠れはしないではないか。)
もぞ・・・連体形、もこそ・・・已然形=不安
鳥などもこそ見つくれ。
(鳥などが見つけたらたいへんだ。)
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打消の表現
打消 ず=連体形「ぬ」、已然形「ね」に注意
京には見えぬ鳥なれば、みな人見知ら
(京では見かけない鳥なので、誰も知らない。)
じ=「む」の打消(打消推量・打消意志)
月ばかりおもしろきものはあら
(月ほど興味深いものはないだろう。)
まじ=「べし」の打消(打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止)
唐のものは薬のほかはなくとも事欠くまじ
(中国のものは薬のほかはなくても不自由しないだろう。)
で=打消しながら下へ接続する
起きも上がら、病みふせり。
(起き上がりもしないで、病み臥している。)

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