国語漢文(句法)

 返り点  置き字  再読文字  否定形  禁止形
 不可能  二重否定  部分と全部否定  疑問形  反語形
 使役形  受身形  仮定形  比較形  選択形
 累加形  抑揚形  比況形  願望形  限定形
 詠嘆形        

 返り点
 レ点 (レ点をはさんだ下の字から一字上の字に返る)
 
  少年易老学難成。

  【読】少年老い易く学成り難し。
  【訳】年をとるのは早いが、学問はなかなか成就しない。
 
 一二三点 (二字以上、上の字に返る)
 
  尽人事天命

  【読】人事を尽くして天命を待つ。
  【訳】人間としてできる限りのことをして、あとは運を天にまかせる。
 
 上中下点 (一二の部分をはさんで、さらに上の字に返る。)
 
 楚人有盾与一レ矛者

  【読】楚人に盾と矛とを鬻(ひさ)ぐ者有り。
  【訳】楚の人に盾と矛とを売っている者がいた。
 
 甲乙丙丁点 (上下点の部分をはさんで、さらに上の字に返る)
 
 才智

  【読】才智有る者を得て用(もち)ひんと欲す。
  【訳】才能のある人を得て用いたいと思う。
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 置き字
 而(ジ) (文中で接続助詞[直前の送りがなの<テ・シテ・デ・ドモ>]の働きをする)
 
 学時習之、不亦説乎。

  【読】学び時にこれを習ふ、亦説ばしからずや。
  【訳】教わったことを折に触れて復習する、なんと喜ばしいことではないか。
 
 於(オ)・于(ウ)・乎(コ) (文中で補語の上に置かれて、補語の送りがな[ニ・ト・ヨリ・ヨリモ]の働きをする。)
 
 良薬苦而利

  【読】良薬は口に苦(にが)けれども病に利あり。
  【訳】良い薬は口には苦いが、病気にはよく効く。
 
 矣(イ)・焉(エン)・也(ヤ) (文<句>末で断定・強調の意を示す。)
 
 過而不改是謂

  【読】過(あやま)ちて改めざる、是を過ちと謂ふ。
  【訳】過ちを犯して改めないこと、これが本当の過ちだ。
 
 兮(ケイ) (詩の中で整調の働きをする)
 
 力抜気蓋世。

  【読】力は山を抜き、気は世を蓋(おほ)ふ。
  【訳】力は山を引き抜くほどであり、意気は世を覆い尽くすほどだ。
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 再読文字
 ・・・ (いまダ・・・セず<まだ・・・しない>))
 
  敗北

  【読】未(いま)だ嘗(かつ)て敗北せず。
  【訳】まだ敗北したことがない
 
 ・・・ (まさニ・・・スベシ<きっと・・・だろう>)
 
 人之死其言也善。

  【読】人の将(まさ)に死せんとするや、其の言や善し。
  【訳】人が今にも死にそうな時に言う言葉はよいものだ。
 
 ・・・ (まさニ・・・スベシ<当然・・・すべきだ、・・・しなければならない)
 
 寸陰

  【読】当(まさ)に寸陰を惜しむべし
  【訳】わずかな時間も惜しまなければいけない
 
 ・・・ (まさニ・・・スベシ<きっと・・・だろう>)
 
 故郷事

  【読】応(まさ)に故郷の事を知るべし
  【訳】きっと故郷の事を知っているだろう
 
 ・・・ (よろシク・・・スベシ<・・・するのがよろしい>)
 
 用其所一レ長。

  【読】人を用(もち)ふるは、宜しく其の長ずる所を取るべし
  【訳】人を用いる場合は、その人の長所を生かすようにするのがよろしい
 
 ・・・ (すべかラク・・・スベシ<・・・する必要がある、・・・しなければならない>)
 
  常思病苦時

  【読】須(すべか)らく常に病苦の時を思ふべし
  【訳】常に病気で苦しんだ時のことを思い出す必要がある
 
 ・・・ (なんゾ・・・セざル<どうして・・・しないのか、・・・したらどうか>)
 
 各言爾志

  【読】盍(なん)ぞ各々(おのおの)爾(なんじ)の志(こころざし)を言はざる
  【訳】どうしてそれぞれ自分の志を言わないのか
 
 ・・・ (なホ・・・ノ(ガ)ごとシ<あたかも・・・のようだ、ちょうど・・・と同じだ>)
 
 及。

  【読】過ぎたるは、猶(な)ほ及ばざるがごとし
  【訳】行き過ぎは、足りないのと同じことだ
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 否定形
 不(弗)・・・ (・・・セず<・・・しない、・・・ない>)
 
 其旨也。

  【読】食(く)らはざれば其の旨(うま)きを知らざるなり。
  【訳】食べてみなければ、そのうまさはわからない
 
 非(匪)・・・ (・・・ニあらズ<・・・ではない、・・・でない>)
 
 君子之器

  【読】兵は君子の器(き)に非(あら)ず
  【訳】武器は君子の用いる道具ではない
 
 無(莫・勿・母)・・・ (・・・なシ<・・・がない、・・・なものはない>)
 
 益。

  【読】害有りて益無し
  【訳】害があって、益がない
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 禁止形
 ・・・ (・・・スルなカレ<・・・するな、・・・してはいけない>)
 
 己所於人

  【読】己の欲せざる所、人に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ
  【訳】自分のいやなことは、人にしてはいけない
 
 ・・・ (・・・スベカラず<・・・するな、・・・してはいけない>)
 
 一寸光陰軽。

  【読】一寸の光陰(くわういん)軽んずべからず
  【訳】わずかな時間も無駄にしてはいけない
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 不可能
 ・・・ (・・・すべからず<・・・できない>)
 
 朽木彫。

  【読】朽木(きょうぼく)は彫(ゑ)るべからず
  【訳】腐った木は彫刻することができない
 
 ・・・ (・・・スルあたハず<・・・できない>)
 
 其人応也。

  【読】其の人応ふる能はざるなり。
  【訳】その人は答えることができなかった。
 
 ・・・ (よク・・・スルモノなシ<できるものはない>)
 
 仰視

  【読】能(よ)く仰ぎ視(み)るもの莫(な)し。
  【訳】仰ぎ見ることができるものはない
 
 ・・・ (・・・スルヲえず<・・・できない>)
 
 漢。

  【読】終に漢に帰るを得ず
  【訳】とうとう漢に帰ることができなかった。
 
 勝・・・ (あゲテ・・・スベカラず<・・・しきれないほど多い>)
 
 魚鳥不勝数

  【読】魚(ぎょ)鳥(てう)勝(あ)げて数(かぞ)ふべからず
  【訳】魚や鳥は数えきれないほど多い
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 二重否定
 ・・・ (・・・セざル(ハ)なシ<・・・しないものはない>)
 
 其親

  【読】其の親を愛するを知らざるなし
  【訳】自分の親を愛することを知らないものはない
 
 ・・・ (ニあらザル(ハ)なシ<・・・でないものはない>)
 
 天下王土

  【読】天下王(わう)土(ど)に非ざるはなし
  【訳】天下に王の土地でないものはない
 
 ・・・ (・・・セざルニあらズ<・・・しないのではない>)
 
 寒也。

  【読】寒を悪(にく)まざるに非(あら)ざるなり。
  【訳】寒さを嫌わないわけではない
 
 ・・・ (・・・なキニあらズ<・・・がないのではない>)
 
 君子過。

  【読】君子、過(あやま)ち無きに非(あら)ず
  【訳】君子にも過ちがないわけではない
 
 敢不・・・ (あヘテ・・・セずンバアラず<・・・しないわけにはいかない>)
 
 敢不一レ行。

  【読】敢(あ)へて行かずんばあらず
  【訳】行かないわけにはいかない
 
 嘗不・・・ (いまダかつテ・・・セずンバアラず<今までに・・・しなかったことはない>)
 
 嘗不一レ勝。

  【読】未だ嘗(かつ)て勝たずんばあらず
  【訳】今まで一度も勝たなかったことはない
 
 ・・・ (・・・セざルベカラず<・・・しなければならない>)
 
 父母之年知也。

  【読】父母の年は知らざるべからざるなり。
  【訳】両親の年齢は知っていなければならない
 
 A不一レ (AトシテBセざルハなシ<どんなAでもBしないものはない>)
 
 一レ枯。

  【読】木として枯れざるは無し
  【訳】どんなでも枯れないものはない
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 部分否定と全部否定
 常・・・ (つねニハ・・・セず<いつも・・・するとは限らない>)
 
 千里馬常有勿伯楽

  【読】千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有ら
  【訳】千里の馬はいつもいるが、伯楽はいつもいるとは限らない
 
 常不・・・ (つねニ・・・セず<いつも・・・しない>)
 
 伯楽常不有。

  【読】伯楽は常に有ら
  【訳】伯楽はいつもない
 
 復・・・ (まタ・・・セず<二度と再び・・・しない>)
 
 

  【読】兎(うさぎ)復(ま)た得(う)べから
  【訳】兎は二度と再びつかまえることができなかった。
 
 復不・・・ (まタ・・・セズ<今度もまた・・・しない>)
 
 復不可得。

  【読】兎(うさぎ)復(ま)た得べから
  【訳】兎は今度もまたつかまえることができなかった。
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 疑問形
 ・・・乎(也・哉・与・邪・耶) (・・・や、・・・か)
 
 魯孔丘

  【読】魯の孔丘
  【訳】魯の国の孔丘
 
 何・・・(乎・胡・庸) (なんゾ・・・(や)
 
 前倨而後恭

  【読】何(なん)ぞ前には倨(おご)りて、後には恭(うやうや)しき
  【訳】どうして以前はおごっていたのに、後からはへりくだっているのか
 
 何為・・・(乎) (なんすレゾ・・・(や)<どうして・・・か>)
 
 何為

  【読】何(なん)為(す)れぞ去らざる
  【訳】どうして去らないのか
 
 ・・・何也 (・・・ハなんゾや<・・・なのはどうしてか>)
 
 何也

  【読】書を読まざるは何ぞや
  【訳】書物を読まないのはどうしてだ
 
 何以・・・ (なにヲもつテカ・・・<どうして・・・か、どうやって・・・か>)
 
 何以人。

  【読】何を以(もつ)てか人を殺す。
  【訳】どうして人を殺すのか
 
 安(寧・焉・悪・鳥)・・・(乎) (いづクンゾ・・・(や)<どうして・・・か>)
 
 之。

  【読】彼悪(いづ)くんぞ之を知る。
  【訳】かれはどうしてこれを知っているのか
 
 何・・・ (なにヲカ・・・<何を・・・か>)
 
 斯三者先。

  【読】斯の三者に於いて、何をか先にせん。
  【訳】この三つのうち、何を最初にしようか。
 
 安(何)・・・ (いづクニカ・・・<どこに・・・か>)
 
 沛公在。

  【読】沛公安(いづ)くにか在る。
  【訳】沛公はどこにいるのか
 
 誰・・・ (たれカ・・・<誰が・・・か>)
 
 衣者。

  【読】誰(たれ)か衣を加ふる者ぞ。
  【訳】誰が衣服を掛けてくれたのか
 
 孰・・・ (いづレカ・・・<どちらが・・・か>)
 
 汝与回也愈。

  【読】汝と回とは、孰(いづ)れか愈(まさ)れる。
  【訳】おまえと回とはどちらがまさっているのか
 
 何如(何若)  (いかん<どうであるか>)
 
 今日事何如

  【読】今日の事、何如(いかん)
  【訳】今日の事態はどうであるか
 
 如何(奈何・若何) (いかんセン<どうしたらよいか>)
 
 朋友之際如何

  【読】朋友の際は如何(いかん)せん
  【訳】友人との交際はどうしたらいいのか
 
 幾何(幾許) (いくばく<どれくらい、どれほど>)
 
 如我能将幾何

  【読】我のごときは能(よ)く幾何(いくばく)に将たるか。
  【訳】私のような者はどれくらいの兵の将になることができよう
 
 ・・・否  (・・・ヤいなや<・・・かどうか、・・・だろうか>))
 
 吾舌。尚在

  【読】吾が舌を視(み)よ。尚(な)ほ在りや否や
  【訳】私の舌を見てみろ。あるか、ないか
 
 ・・・未  (・・・ヤいまダシヤ<・・・だろうか、・・・まだだろうか>)
 
 寒梅著

  【読】寒梅花を著(つ)けしや、未(いま)だしや
  【訳】寒梅は花を咲かせただろうか、まだだろうか
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 反語形
 ・・・乎  (・・・ンや<・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 以臣弑君、可

  【読】臣を以て君を弑(しい)す、仁と謂(い)ふべけんや
  【訳】臣下の身分で主君を殺すのは、仁と言えるだろうか
 
 何・・・(乎) (なんゾ・・・ン(や)<どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 一牛

  【読】吾何(なん)ぞ一牛を愛(を)しま
  【訳】私はどうして一頭の牛を惜しんだりしようか。
 
 何為・・・(乎)  (なんすレゾ・・・ン(や)<どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 何為楽。

  【読】吾何為(なんす)れぞ楽しまざら
  【訳】わたしはどうして楽しまないことがあろうか
 
 安・・・(乎)  (いづクンゾ・・・ン(や)<どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 燕雀鴻鵠之志

  【読】燕雀(えんじゃく)安(いづ)くんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや
  【訳】燕(つばめ)や雀(すずめ)のような鳥に、どうして大きな鳥の志がわかるだろうか
 
 豈・・・(哉) (あニ・・・ン(や) <どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 千里

  【読】豈(あ)に千里を遠しとせんや
  【訳】どうして千里の道程を遠いと思ったりするだろうか
 
 独・・・(哉) (ひとり・・・ン(や) <どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 廉将軍

  【読】独り廉(れん)将軍を畏(おそ)れんや
  【訳】どうして廉将軍を畏れたりしようか
 
 敢・・・(乎)  (あヘテ・・・ン(や)<どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 百獣之見我而

  【読】百獣の我を見て敢へて走らざらんや
  【訳】あらゆる獣たちが私を見てどうして逃げ出さないことがあろうか
 
 何以・・・(乎)  (なにヲもつテ(カ)・・・ン(や) <どうして・・・だろうか、いや・・・ない>)
 
 何以

  【読】敬せずんば何を以(もつ)て別(わか)たん
  【訳】敬(うやま)いの気持を持たなくては、どうして区別できるだろうか
 
 安・・・  (いづクニカ・・・ン <どこに・・・だろうか、いやどこにも・・・ない>)
 
 適帰矣。

  【読】我安(いづ)くにか適帰せ
  【訳】私は一体どこに身を寄せたらいいのだろうか
 
 誰・・・ (たれカ・・・ン <誰が・・・だろうか、いや誰も・・・ない>)
 
 人生自死。

  【読】人生古(いにしへ)より誰(たれ)か死無から
  【訳】人間は昔から誰が死がないだろうか
 
 何・・・  (なにヲカ・・・ン<何を・・・だろうか、いや何も・・・ない>)
 
 懼。

  【読】夫(そ)れ何をか憂へ何をか懼(おそ)れ
  【訳】一体何を憂えたり恐れたりする必要があるだろうか
 
 何・・・ ・・・ (なんノ・・・カ・・・ン <どんな・・・が・・・だろうか、いやどんな・・・も・・・ない>)
 
 面目見之。

  【読】我何の面目ありて之に見え
  【訳】私は一体どういう面目があって彼らに会えようか
 
 如A何  (Aヲいかんセン <Aをどうしたらよいか、いやどうすることもできない>)
 
 虞兮虞兮

  【読】虞(ぐ)や虞や若(ばんじ)を奈何(いかん)せん
  【訳】虞よ、虞よ、おまえを一体どうしたらいいだろうか
 
 幾何  (いくばくゾ<どれほどであろうか、いやいくらもない>)
 
 浮生如夢。為幾何

  【読】浮生(ふせい)は夢のごとし。歓を為すこと幾何(いくばく)ぞ
  【訳】人生は夢のようなものだ。楽しく過ごせる時間はどれくらいだろうか
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 使役形
 A使BC (A、BヲシテCセしム <AはBにCさせる>) (令・教・遺・俾)
 
 天帝使我長百獣

  【読】天帝、我をして百獣に長たらしむ
  【訳】天の神様は私百獣の王をさせている。
 
 A命BC (A,BニめいジテCセシム <AはBに命令してCさせる>)
 A遣BC (A,BヲつかハシテCセシム <AはBを派遣してCさせる>)
 A召BC (A,BヲめシテCセシム <AはBを呼び寄せてCさせる>))
 
 義経平氏

  【読】義経に命じて平氏を討たむ。
  【訳】義経に命令して平氏を討たせる
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 受身形
 ・・・ (・・・る、・・・らル、・・・れる、・・・られる、・・・される)  (被・為・所
 
 寛而畏、而愛。

  【読】寛(くわん)にして畏(おそ)れられ、厳(げん)にして愛せらる
  【訳】寛大でありながら畏れられ、厳格でありながら愛される
 
 A為B所一レ (A,BノCスルところトなル <AはBにCされる>)
 
 人者却一レ欺。

  【読】人を欺く者は却(かへ)つて人の欺く所と為(な)る
  【訳】人を裏切るような人間は、かえって人に裏切られる
 
 AC於B (A,BにCセラル <AはBにCされる>)
 
 力者治

  【読】力を労する者は人治めらる
  【訳】肉体を働かす者は人に治められる
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 仮定形
 如(若)・・・ (もシ・・・バ <もし・・・ならば>)
 
 成不復還

  【読】学若(も)し成(な)る無(な)くん、復(ま)た還(かへ)らず。
  【訳】学問がもし成就しなかったならば、二度と故郷へは帰らない。
 
 苟・・・  (いやシクモ・・・バ <かりにも・・・ならば>)
 
 義而先一レ利不奪不饜。

  【読】苟(いや)しくも義を後にして利を先にするを為さ、奪はずんば饜(あ)かず。
  【訳】かりにも義を後にして利益を優先するならば、奪い尽くすまで満足しなくなる。
 
 縦・・・ (たとヒ・・・トモ(モ) <たとえ・・・としても>) (縦令・縦使・縦然・仮令
 
 彼不言、籍独不於心乎。

  【読】縦(たと)ひ彼言はずとも、籍(せき)独(ひと)り心に愧(は)ぢざらんや。
  【訳】たとえ彼が何も言わなくても、私はどうして心の中で恥じずにはいられようか。
 
 ・・・ (・・・トいへども <・・・とは言っても、たとえ・・・であっても>)
 
 自反而縮、千万人吾往矣。

  【読】自ら反(かえり)みて縮(なほ)くんば、千万人と雖(いえど)も吾往(ゆ)かん。
  【訳】自分を振り返って正しければ、たとえ相手が千万人であっても私は立ち向かう。
 
 ・・・ (・・・なカリセバ <・・・がなかったならば>)
 
 孔孟王道或不興。

  【読】孔孟(こうもう)微(な)かりせば、王道或いは興(おこ)らざらん。
  【訳】もし孔子と孟子がいなかったならば、王道はあるいは興らなかっただろう。
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 比較形
 AC於B (AハBヨリモCナリ <AはBよりCである>)
 
 苛政猛也。

  【読】苛政(かせい)は虎よりも猛(まう)なり。
  【訳】過酷な政治は人食い虎よりも恐ろしい。
 
 A不如(若) (AハBニしカず <AはBには及ばない、AよりもBのほうがよい>)
 
 百聞一見

  【読】百聞は一見に如(し)かず
  【訳】百回聞くよりも一回見た方がよい
 
 A無 (AハBニしクハなシ <Aに関してはBに勝るものはない、Aに関してはBが一番だ>)
 
 人之所其身

  【読】人の急にする所は其の見に如(し)くは無し
  【訳】人間が一番大切にするものに関しては、自分自身にまさるものはない
 
 A莫於B (AハBヨリCナルハなシ <Aに関してはBよりCなものはない>)
 
 天下之水

  【読】天下の水、海よりなるは莫(な)し
  【訳】天下の水に関しては海よりも大きなものはない
 
  (これヨリAナルハなシ <これよりもAなものはない>)
 
 晋国天下

  【読】晋国は天下に焉(これ)よりなるは莫(な)し
  【訳】晋の国は天下にこれより強いものはない
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 選択形
 A寧B (AよりハむしロB <A(する)よりはむしろB(する)ほうがよい>)
 
 其易戚。

  【読】喪(も)は其の易(をさ)まらんよりは寧(むし)ろ戚(いた)め。
  【訳】葬儀は、形が整っていることよりは、むしろ死者を悼(いた)め。
 
 寧A無 (むしロAストモBスルコトなカレ <むしろAしてもBはするな>)
 
 鶏口牛後

  【読】寧ろ鶏口と為るとも牛後と為る無かれ
  【訳】むしろ鶏のくちばしになっても牛の尻にはなる
 
 A孰-与B (AハBニいづレゾ <AはBに比べてどうか>)
 
 我大

  【読】漢我の大なるにいづれぞ
  【訳】漢わが国の大きさに比べてどうか
 戻る
 累加形
 唯A (たダニAノミナラず、B <ただAなだけでなく、B>)
 唯A (たダニAノミニあらズ、B <ただAなだけでなく、B>) (惟・徒・独
 
 一レ益而又害之。

  【読】徒(た)だに益無きのみに非(あら)ずして、又之(これ)を害す。
  【訳】ただ益がないというだけでなく、害まで与えている。
 
 豈唯AB (あニたダニAノミナランヤ、B <どうしてただAなだけであろうか、されにBである>) (惟・徒
 
 豈唯之又従而盗之。

  【読】豈(あ)に唯(た)だに之を怠るのみならんや、又従ひて之を盗む。
  【訳】どうしてただこれを怠るだけだろうか、いやそれ以上に盗んでさえいる。
 
 何独AB (あニたダニAノミナランヤ、B <どうしてただAなだけであろうか、さらにBである>) 
 
 故郷何独長安

  【読】故郷何(なん)ぞ独(ひと)り長安に在るのみならんや
  【訳】故郷はどうしてただ長安にあるだけであろうか、いやここもまた故郷である。
 戻る
 抑揚形
 A且B、況C乎 (AスラかツB,いはンやCヲヤ、B <どうしてただAなだけであろうか、さらにBである>) (猶・尚
 
 死馬之、生者

  【読】死馬すら且(か)つ之を買ふ。況(いは)んや生ける者おや。
  【訳】死んだ馬でさえ買ったのだ、まして生きている馬であればなおさらだ
 
 A且B、安C乎 (AスラかツB,いづクンゾCンや <AでさえBなのだ、どうしてCなことがあろうか、いやBだ>)(猶・尚
 
 臣死避、巵酒辞。

  【読】臣(しん)死すら且(か)つ避けず、巵酒(ししゅ)安(いづ)くんぞ辞するに足らん。
  【訳】私は死ぬことさえ避けたりはしない、どうして大杯の酒を辞退しようか
 
 AB、(而)況C乎 (AハB、(しかルヲ)いはンヤCヲや <AはBだ、ましてCであればなおさらBだ>) 
 
 於犬馬尽然、而況

  【読】犬馬に至るまで尽(ことごと)く然(しか)す、而(しか)るを況(いは)んや人に於(お)いてをや
  【訳】犬や馬にいたるまでそうする、まして人間であればなおさらであろう
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 比況形
 如(若)・・・ (・・・ノ(ガ)ごとシ <・・・のようだ、・・・と同じだ>)
 
 君子之交淡水。

  【読】君子の交わりは淡きこと水のごとし
  【訳】君子の交際は淡いことと言ったら水のようだ
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 願望形
 請(乞)願(幸)・庶(冀・庶幾) (・・・こフ、ねがハクハ、こひねがハクハ・・・ン <どうか・・・させてください>)
 
 剣舞。

  【読】請(こ)ふ、剣を以(もつ)て舞は
  【訳】どうか私に剣舞をさせてください
 
 請・願・庶・・・ (こフ、ねがハクハ・・・セヨ <どうか・・・してください>)
 
 大王急渡。

  【読】願はくは、大王、急ぎ渡れ。
  【訳】どうか大王様、急いでお渡りください
 戻る
 限定形
 ・・・耳 (・・・のみ <・・・だけだ、・・・に過ぎない>)
 (已・爾・而已・而已矣・也已・也已矣
 
 楚人沐猴而冠

  【読】楚人(そひと)は沐猴(もつこう)にして冠(くわん)するのみ
  【訳】楚の国の人間は猿が冠をかぶっているだけだ
 
 唯・・・ (たダ・・・ノミ <ただ・・・だけだ、・・・に過ぎない>)
 (惟・只・但・徒・直・特・祇
 
 百歩

  【読】直(た)だ百歩ならざるのみ
  【訳】ただ百歩でないだけだ
 戻る
 詠嘆形
 ・・・矣  (・・・かな <・・・だなあ、・・・なことよ>)
 (夫・哉・与・乎
 
 逝者如

  【読】逝者は斯くのごときかな
  【訳】流れゆく者はみなこのようなものよなあ
 
 嗚呼・・・(矣) (ああ・・・(かな) <ああ・・・だなあ>)
 (唉・嘻・噫・鳴・嗟・吁・嗚乎・嗟呼・嗟乎・吁嗟・于嗟・嗟于・噫嘻・鳥乎・于差
 
 嗚呼

  【読】ああ、哀しいかな
  【訳】ああ、悲しいなあ
 
 何・・・也 (なんゾ・・・や <なんと・・・なことよ>)
 
 楚人之多

  【読】何(なん)ぞ楚人の多き
  【訳】なんと楚の人間の多いことよ
 
 豈不・・・ (あニ・・・ずや <なんと・・・ではないか>)
 
 豈不

  【読】豈(あ)に悲しからずや
  【訳】なんと悲しいことではないか
 
 亦・・・ (また・・・ずや <なんと・・・ではないか>)
 
 学而時習之、

  【読】学びて時に之を習ふ、亦(また)説(よろこ)ばしからずや
  【訳】教わったことを折に触れて復習する、なんと喜ばしいことではないか
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