社会3年 公民(民主政治)

 地方自治
 [要点-地方自治]

①都道府県と市(区)町村をまとめて地方公共団体(地方自治体)といい、
地域に住む人々が地域の政治を自分たちで行うことを地方自治といいます。

②地方自治は民主主義の原点であることから「民主主義の学校」と呼ばれています。
地域の問題に国があまり関与しないで、できるだけその地域に住む住民の判断にゆだねるしくみが地方分権です。

③1999年に地方分権一括法が制定されました。
地方公共団体の仕事としては、上下水道、ゴミの収集、消防、学校の運営などがあります。

④地方公共団体の議決機関は地方議会で、法律に違反しない範囲で条例を制定します。
行政の長である首長は、議会の決定に対する拒否権や議会の解散権を持っています。
これに対して議会は、首長の不信任決議権を持っています。

⑤地方自治では、住民が市長と地方議会の議員の2つの代表を選挙で選びます。
このようなしくみを二元代表制といいます。

⑥都道府県知事の被選挙権は30歳以上で、市(区)長村長や地方議会の議員の被選挙権は25歳以上です。
任期はいずれも4年です。
 地方公共団体と地方自治

【地方公共団体(地方自治体)】都道府県や市町村など、地方自治が行われる単位となる団体。
【地方自治】それぞれの地域の住民が、自分たちの住んでいる地域の政治を自らの手で行うこと。
【住民自治】住民の意思にもとづいて地方の政治を行うこと。

 

(1)地方公共団体:
日本の地方自治を担う基本的な単位であり、
地域住民の生活に密接に関わるさまざまな行政サービスを提供しています。

①地方公共団体の種類
都道府県:
一番大きな地方公共団体の単位で、日本全国に47あります。
例としては、東京都、大阪府、北海道などです。

市町村:
都道府県の下にある小さな単位です。
市(例:横浜市)、町(例:軽井沢町)、村(例:村山市)などが含まれます。

②地方自治:
地方分権:
国から地方公共団体に権限を移譲し、地域のことは地域で決めるという考え方です。
これにより、地方公共団体は自分たちの地域に適した政策を実施できます。

③地方公共団体の役割:
行政サービス:
教育、福祉、環境保護、インフラの整備、防災など多岐にわたります。
例えば、小中学校の運営、ごみの処理、道路の維持管理などです。
条例の制定:
地方公共団体は、その地域に特化した条例を制定することができ、その区域内で適用されます。

④地域住民の参加:
住民参加:
地方自治は住民の参加が重要です。住民投票や直接請求などの制度があります。
選挙:
知事(都道府県)や市町村長、議会の議員は住民の選挙で選ばれます。

⑤財源:
地方税:
地方公共団体は地方税を徴収して運営資金を得ています。
主なものに住民税や固定資産税があります。
交付金と補助金:
国から地方公共団体に支払われるお金で、不足した財源を補います。
 民主主義の学校

【地方自治】それぞれの地域の住民が、自分たちの住んでいる地域の政治を自らの手で行うこと。
【直接民主制】代表者などを介さずに、所属する共同体の意思決定に直接参加し、
その意思を反映させる政治制度。

 

①規模の大きくない地方政治は、直接民主制が実現しやすく、
一般の人々が民主主義を学ぶには最高の場です。

②この意味で、イギリスの政治学者ジェームズ=ブライス(1838~1922)は、
「地方自治は民主主義の学校」と表現しました。
 地方分権

【地方分権】地方公共団体が自主的に地域の実情にあった政治を行うこと。
【構造改革特別区域法】産業活性化をはかるため、地域を限定して、
教育や農業、医療など特定分野の規制を削減・緩和する制度。

 

(1)地方分権の意義:
①権限の移譲:
地方分権は、国の中央政府が持っている権限を、地方公共団体に移譲することを指します。
これにより、地方自らが地域の特性に応じた行政を行えるようになります。

②住民に近い政治:
地方公共団体が地域住民に密着した行政を行うことで、
住民の声を行政に反映しやすくし、住民のニーズに即した政策が実施されやすくなります。

(2)地方分権の背景:
①集中管理からの脱却:
かつては中央政府が全国一律に行政を管理していましたが、
地域ごとの課題やニーズに迅速に対応するために地方分権が求められるようになりました。

②1980年代以降の改革:
日本では1980年代から地方分権を進める動きがあり、
1990年代には地方分権改革が加速しました。

(3)地方分権の具体例:
①機能の分散:
教育、福祉、都市計画など、地方公共団体が独自に行政を行う分野が増えています。

②財政面の自立:
地方公共団体が独自の財源を持ち、自らの判断で活用できるようにするため、
地方税制の見直しが行われています。

(4)地方分権の課題:
①財源の不均衡:
地方公共団体によって財政力に差があり、
豊かな地域とそうでない地域の格差が問題となることがあります。

②広域的課題の対応:
地方自治体のみでは対応しきれない広域的な問題(例: 自然災害、環境問題など)に
どう取り組むかという課題があります。
 地方公共団体のしくみ-首長

【首長】地方公共団体をまとめ、代表となる者。
【直接選挙】有権者の投票行動が直接的に反映される選挙。
【被選挙権】みんなの代表として国会議員や都道府県知事・都道府県議会議員、
市区町村長・市区町村議会議員に就くことのできる権利。

①地方公共団体の執行機関(行政)の長を首長といいます。
都道府県の首長は都道府県知事で、市(区)町村の首長は市(区)町村長です。

 

②首長(都道府県知事、市(区)町村長)は、いずれも住民の直接選挙で選ばれます。

③都道府県知事の被選挙権は30歳以上、市(区)町村長の被選挙権は25歳以上です。

④住民の直接選挙で選ぶという点で、国の行政権の長である内閣総理大臣の選出方法と異なっています。
 首長と地方議会

【首長】地方公共団体をまとめ、代表となる者。
【地方議会】地方公共団体における議決機関。

 

(1)首長について:
①定義と役割:
首長は、都道府県知事や市町村長(市長、町長、村長)を指します。
彼らは地方公共団体の最高責任者として、行政の執行を担当します。

②選ばれ方:
首長は地域住民による選挙で選ばれます。任期は通常4年です。
地域の行政や政策に重要な影響を与える立場にあります。

③主な業務:
地方自治体の行政機構を運営し、予算の編成や執行を行います。
地域の課題に応じた政策を立案し、実施します。
地方議会への条例案の提出や、予算案の提出を行います。

(2)地方議会について:
①構成と役割:
地方議会は、地方公共団体における議決機関です。
議員は住民の選挙で選ばれ、条例の制定や予算の承認、行政の監視を担当します。

②選挙と任期:
議員も首長と同様に住民選挙で選ばれます。通常の任期は4年です。
議会の規模や議員数は、地方公共団体の規模に応じて異なります。

③主な業務:
条例の制定、改廃を行います。
地方公共団体の予算を審議し、決定します。
行政が適切に行われているかを監視し、場合によっては監査請求を行います。

(3)首長と地方議会の関係:
①協力と牽制:
首長と地方議会は、互いに協力しながら地域の行政を進めます。
首長は行政の執行に責任を持ち、議会はそれを監視する役割を持っています。
一方で、意見が対立する場合もあります。
このとき、議会による不信任決議や、首長による議会の解散といった制度が機能します。

②住民への説明責任:
両者は住民に対して説明責任を持っており、開かれた行政を行うことが求められています。
 不信任決議・再議請求権
 
【直接請求権】地方自治で、住民が自分たちにとって重要な事項に対して直接意思を反映させられること。
【再議請求権】地方公共団体の長は、普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、
その議決の日から10日以内に理由を示して、これを再議に付することができこと。

 

(1)不信任決議:
①不信任決議は、議会(例えば国会)が政府に対して信任を失った場合に行う手続きです。
具体的には、衆議院が内閣に対して不信任決議を行うことができます。

②もし不信任決議案が可決されると、その内閣は総辞職するか、
または衆議院を解散して総選挙を行わなければなりません。

③この制度は、議会が政府を監督する役割を果たしており、
内閣が国民の意思に反していないかを確認するための重要な仕組みです。

(2)再議請求権:
①再議請求権とは、地方自治体の長(市長や知事など)が、
議会が可決した議案に対して異議を唱え、改めて議会に審議を求める権利です。

②例えば、予算や条例が議会で可決されたものの、自治体の長がそれに同意できない場合、
再度審議を求めることができます。

③再議請求が行われた際には、議会は再びその議案を討議し直し、採決を行うことになります。
再議請求があっても、議会が再度同一の決定を行った場合、その決定は確定します。
 地方公共団体の仕事
 
【地方公共団体(地方自治体)】都道府県や市町村など、地方自治が行われる単位となる団体。

 

①地方公共団体の仕事としては、
・ 町づくりの基礎になる、道路や河川、上下水道などの建設や管理。
(ただし、大河川や空港・港は国の管理) 
・ ごみの収集や処理、保健所の設置・管理、消防・水防。
・ 学校の設置・運営、図書館・公民館の設置や運営。
・ 高齢者福祉や障害者福祉、介護保険の運営 などがある。
 [要点-地方財政]
 
地方公共団体の歳入をあげると、
①第一は住民から徴収する地方税で、これは自治体が自由に使える自主財源です。

②第二は税収入の不均衡を是正する目的で、国が地方公共団体に交付する地方交付税交付金、

③第三は国から委託された仕事について国が交付する国庫支出金で、

④第四は住民への借金である地方債です。
 地方財政-歳入
 
【地方税】地方における行政府が課税し、地方における行政府に対して納付する税金のこと。
【地方交付税交付金】地方公共団体の財源不足を補うとともに、各地地方公共団体間の収入の格差を調整するため、
国から配分される金。
【国庫支出金】国から地方公共団体に支給される、国に委任された特定の活動を行うための資金。
【地方債】地方公共団体が、民間から資金を借り入れるために発行する債権。

 

(1)地方公共団体の歳入:
地方自治体(都道府県、市町村など)が行政サービスを提供するために必要な財源を指します。

①地方税:
地方税は、地方公共団体が独自に課税して得る税金で、地方自治体の重要な収入源です。
主なものには以下があります。
住民税:個人や法人が納める税金で、所得に応じて課されます。
固定資産税:土地や建物に対して課される税金です。
事業税:地域内での事業活動に対して課されます。

②地方交付税交付金:
これは、国が地方公共団体に財源を配分するための制度です。
地方間の財政力の不均衡を是正し、
どの地域でも一定の行政サービスを提供できるようにしているのがこの交付金の目的です。

③国庫支出金:
国庫支出金は、特定の事業を行うために国が地方公共団体に対して支出する資金です。
教育、福祉、公共事業など特定の分野に使われます。

④地方債:
地方債は、地方公共団体が資金調達のために発行する借金です。
インフラ整備など多額の資金を必要とする事業の財源として利用されます。

⑤使用料・手数料:
公営施設の使用料や各種手続きの手数料など、公共サービスの提供に伴う収入も歳入の一部です。
 地方財政の問題点
 
【地方財政】地方公共団体の財政。歳入と歳出からなる。

 

①地方財政の問題点は、自主財源である地方税による収入が十分でなく、
国からの補助である地方交付税交付金や国庫支出金にたよっている点です。

②財源が不足し、その多くを国に依存している現状では、
その地域独自の政策を行うことが難しい。

③地方分権をすすめるためには、自主財源の割合を増やす必要があります。
 市町村合併

【市町村合併】ある市町村がその周辺の市町村といっしょになり、1つの市町村となること。

 

(1)市町村合併:
複数の市区町村が一つの新しい市区町村に統合されることを指します。
これは、行政の効率化や財政基盤の強化などを目的に行われる場合が多いです。

①メリット:
行政サービスの効率化:
合併により行政のスケールが大きくなるため、窓口業務やインフラ整備などの効率が向上します。
財政基盤の強化:
合併により財政基盤が安定し、規模の経済が働くことでより多くの投資やサービス提供が可能になります。
地域の発展と活性化:
人口が増えることにより、地域の発展や活性化が期待されます。
広域的な計画の推進:
より広い視点で地域の発展計画を策定・実施できるようになります。

②デメリット:
地域アイデンティティの喪失:
小さなコミュニティ特有の文化や歴史が薄れる可能性があります。
行政サービスの低下:
中心地から遠い地域では、逆にサービスが使いにくくなることがあります。
住民の不安:
合併に伴う制度変更や行政区画の変更が住民に混乱を招くことがあります。

(2)日本における市町村合併:
2000年代に「平成の大合併」と呼ばれる一連の市町村合併が行われ、多くの市町村が合併しました。
これは、行政の効率化や財政の硬直化を改善するために奨励された施策でした。
この結果、日本の市町村数は大幅に減少しました。
 直接請求権・住民投票-直接請求権①:種類
 
【直接請求権】地方自治で住民が自分たちにとって重要な事項に対して直接意思を反映させられること。

 

(1)直接請求権:
地方自治における住民の参加を促すための制度で、
住民が直接政府や自治体に対して請求を行う権利です。

①条例の制定・改廃請求(イニシアティブ):
住民は条例を新たに制定したり、既存の条例を改廃することを地方議会に請求できます。
これは有権者の50分の1以上の署名を集めることで行われます。

②事務の監査請求(監査請求):
地方公共団体の仕事や財政の運営が適切であるかどうか監査することを求める請求です。
これには一定数の署名が必要です(例えば、住民の50分の1以上)。

③議会の解散請求(リコール):
地方議会を解散することを求める請求で、住民の3分の1以上の有権者の署名が必要です。

④首長や議員の解職請求(リコール):
地方公共団体の長(例えば、市長)や議会議員の解職を求める請求です。
これも住民の3分の1以上の署名を必要とします。
 住民投票
 
【住民投票】地方公共団体の住民による投票。

 

(1)住民投票:
地域の重要な問題について住民自身が直接投票によって意思を示す制度です。
これを通じて、住民の意向を反映した民主的な決定を行うことが目指されます。

①住民投票の意義:
住民投票は、地方自治の観点から住民が自らの意見を示すための重要な手段です。
これにより、住民は地域の重要事項に対して直接的な決定権を持つことができます。

②住民投票の種類:
法定住民投票:
法律に基づいて行われる住民投票。
例えば、地方自治法に基づく議会の解散請求や首長の解職請求など。
任意住民投票:
地方公共団体が独自に条例を制定して実施する住民投票。
具体的なテーマは自治体によって異なりますが、
大きな公共事業の是非や合併の是非などが挙げられます。

③住民投票の流れ:
提案:
住民、首長、または地方議会が投票の提案を行う。
署名活動:
必要な場合、住民が署名を集める。
投票実施:
定められた手続きに従って住民投票が行われる。
投票の結果はその後の政策決定に強い影響を与えますが、法的拘束力の有無は場合によります。

④住民投票の例:
住民投票は、地域社会において特に重要な決定を行う際に実施されます。
例えば、原子力発電所の建設の是非、新たな大型施設の建設計画、
自治体の合併問題などがテーマとなることが多いです。
 オンブズマン
 
【オンブズマン制度】住民の立場に立って、行政が適正に行われているかを監視したり、
住民からの苦情を処理したりする制度。

①オンブズマン制度は19世紀の初めにスウェーデンで生まれ、
20世紀中ごろから世界各地に広まりました。

②日本では、1990年に神奈川県の川崎市が初めて導入しました。
川崎市では、市長が任命した3人のオンブズマンが行政活動の監視を行っています。
主な職務権限は苦情処理です。

②また、市民が自発的に行政の執行過程を監視しようとする市民オンブズマンの活動が注目を集めています。
地方公共団体が国の職員を接待したりする官官接待の問題や、職員の食料費や出張費の公開などを通して、
地方公共団体の不適切なお金の使い方を追及したのも、この「市民オンブズマン」です。
 NPO

【NPO】民間の、営利を目的とせず社会的活動を行う団体。

①NPOとは、Not-for-Profit(利益) Organization(組織)の略称で、
ボランティア活動など利益を得ることを自的とせずにつくられた組織のことです。

②行政に頼らず、地域のための活動を独自に行う非営利組織などがあります。

③1995年の阪神・淡路大震災を契機に市民活動団体、
ボランティア団体等で法人格の必要性がクローズアップされ、
市民活動団体の法人格取得を容易にするため、1998年に特定非営利活動促進法が制定されました。
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